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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
生徒会長はすごかった
13/55

第13話

ムメモ「始めるよ~」


ミレニアム高校ダンス部はダンス室という完全防音教室で練習をしている。幽霊部員2名を含め合計12名。彼女たちは5人1組に分かれて練習をしていた。近く開催されるパフォーマンスに向けたものかと思われる。


ムメモ「フォーメーション、エックス~」

部員たち「は~い」


チームAのリーダー・ムメモの一声でエックスという名のフォーメーションになった。彼女たちはやる気があるのか無いのかだらだらと指示されたカタチになる。その近くでチームBがオーという名のフォーメーションを作った。するとムメモが不思議なことを言った。


ムメモ「突破されたり~、阻止できなかったら~、秋矢アキヤ君に怒られちゃうよ~」


突破や阻止。彼女は一体何を言っているのか。ダンスとは何ら関係ないようにみえるのだが……。それからしばらくした後、ドアノブがカチャガチャ鳴った。その正体はダンス部を牛耳る存在といっても過言ではない御曹司・秋矢アキヤの登場だ。


ムメモ「今開けるからね~」


ムメモが鍵を解除すると秋矢が部室に入る。それと同時に部員たちが幽霊部員の1人である秋矢に向けて威勢よく挨拶をした。


部員たち「おはようございます!!」

秋矢「マミと奈仁! 来い!」


生意気な口調で秋矢がムメモとチームBのリーダー・奈仁ナニぬねのを外へ連れ出した。そして秋矢が憎たらしく2人に状況の説明を命じた。


秋矢「完璧なんだろうな?」

ムメモ「完璧だよ~」

ぬねの「だっ大丈夫……だと思います……はい」


ぬねのは緊張しているのかそれとも秋矢を恐れているのか言葉を詰まらせていた。そんな自信なさげのぬねのに秋矢の怒号が飛んだ。


秋矢「オィ!」

ぬねの「ごっごめんなさい」

秋矢「突破されたらお前の責任だからな。分かってんのか!」

ぬねの「は……はい」

秋矢「なんだその返事は!」

ムメモ「いいじゃん別に~」

秋矢「あ!」


秋矢に口答えができるムメモはプンプンしていた。秋矢の鋭い視線がムメモに向く。それでもムメモは動揺することなく秋矢を見つめた。秋矢は痺れを切らしたのか何も言わずその場を後にした。


ぬねの「ありがとう」

ムメモ「全然いいよ」


ムメモは満面の笑みでぬねのと部室に戻った。中に入った瞬間、ぬねのは秋矢から逃れることができホッとしていた。秋矢が彼女らに傲慢な態度をとっている場面は遠くから真夏マナツというもう一人の幽霊部員が目撃していた。


真夏「またやってる」


彼女は秋矢の態度に呆れていた。そんな真夏が幽霊部員である理由。それはアイドルグループ〇〇の人気メンバーで芸能活動が忙しいからだ。秋矢は彼女の彼氏で付き合っている事がバレたら大問題となる。だがそのことを知っている人は不思議と誰もいない。その頃、部室では秋矢を批判していた。


部員「マジなんなのアイツ」


など秋矢に対する文句が絶えない。しかし、歯向かうとあとで恐ろしいことが待っているかもしれない。そのことから何もすることができない。部員たちはぬねののことが心配だった。


真夏「ねぇ秋矢」


校内の誰もいないところで秋矢と真夏がなにか話をしていた。それは真夏が以前から知りたがっていたことだ。


秋矢「なんだ」

真夏「なんでそんなに優勝にこだわるの?」

秋矢「アイツに負けたあの日が忘れられないからだ」

真夏「アイツ?」

秋矢「そうか。お前は知らないか」

真夏「知らない。だって1年生だもん」

秋矢「なら教えてやる。アイツ……昨年、俺は生徒会長に僅かの差で負けた」


秋矢は前年度のマラソン大会でわずかの差で冬丸に負けた日のことを真夏に語った。それがキッカケで秋矢は来年のマラソン大会にて冬丸を阻止してほしいとダンス部に頼んだ時は誰もが賛成してくれた。それは彼のおかげで念願の防音室を手に入れて部費もタダになったからだ。しかし、毎日のように秋矢がチームリーダーのムメモとぬねのに嫌味を交えた説教をする場面を知った日から彼女たちのやる気は低下していった。ちなみに冬丸の走行を妨害しようとしていることはダンス部以外知っている人はいない。


ララ美「今の聞いた?」

ルル香「聞いた聞いた」

リリ子「なんかアイツに興味なくなってきちゃった」

ララ美「なにリリ子、アイツのこと狙ってたの!?」

リリ子「うん。玉の輿に乗ろうと思ってた……」

ララ美・ルル香「えーっ!」

ララ美「もうダメだね」

ルル香「相手スーパーアイドルだもんね」

リリ子「最悪! 超最悪!」

ララ美「てかスクープだよね」

ルル香「だね!」

リリ子「アイツ脅して金撒き上げてやる」

ルル香「いいねぇ」

ララ美「やめなさい」


ルル香とリリ子はノリ気だったが後でとんでもないことになりかねないと即、断念した。3人はぶらぶらと帰路に着こうと校舎を歩いていたその時だ。体調不良で休んだ日の補習授業を終えたカキ・クケコという女子生徒が腹痛で歩けなくなっていた。3人がすかさず近寄りララ美が様子を伺った。


「......」


今日も相変わらず生徒会は活動をしていた。やる気があるのかないのか。それともすることがないのか。副会長の冬子が「〇〇」の新曲をイヤホンで聞いていた。

第14話へ続く

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