第12話
この章ではマミ・ムメモみたいな名前の生徒がもう1人登場します。
アイドルグループ・〇〇は国民的大所帯アイドルグループである。その人気メンバーの1人がミレニアム高校に在籍していることを知っている生徒はごく僅かだ。そんなことはさておき、いま冬丸は物凄く慌てていた。
冬丸「遅刻するーっ!!」
ミレニアム高校の生徒のほとんどが利用するミレニアム高校前駅にて。冬丸が大急ぎで電車を降り、連絡橋を渡って自動改札を出た。その瞬間、駅構内の柱付近に設置されているすべての大型デジタルサイネージディスプレイが動画を流し始めた。
冬丸「!?」
その動画は〇〇の新曲の宣伝だった。突然の出来事に冬丸は少し見入ってしまう。急いでいることを忘れて。
冬丸「急げーっ!!」
冬丸はこんなことをしている場合ではないと駆け足で構内を出た。今まで無遅刻無欠席を貫き、皆勤賞を狙う彼にとってどんなことをしても間に合わせなければならない。そんな中、いつもの通学路でマミ・ムメモという女子が鼻歌を歌いながらのんびり歩いていた。
ムメモ「ルンルンルン」
今の時間帯、冬丸と彼女以外誰も通学路を歩いていない。冬丸はムメモを見るなり走るのをやめた。
冬丸「マミじゃん」
ムメモ「おはよー」
冬丸「おはよう。のんきだねぇ」
ムメモ「そうかな~」
冬丸「いま何時か知ってるかい?」
ムメモ「わかんな~い」
冬丸「て! のんびりしてる場合じゃなかった! 遅刻だよ遅刻!」
ムメモ「そっか~」
冬丸「じゃあな先行くぞ! 遅刻すんなよ!」
ムメモ「遅刻しないから......あれ? 行っちゃった~」
冬丸はムメモを残してダダダっと走り去った。遅刻すると分かっていてもムメモは急ぎはせず。冬丸に向けて呑気に手を振っていた。冬丸は急いだおかげでなんとか間に合った。
御茶野「どうにか間に合ったな」
冬丸「よかったーっ!」
御茶野「皆勤賞を狙う春夏秋がギリギリなんて珍しいじゃねぇか」
冬丸「目覚ましかけ忘れちゃって」
御茶野「そうだったのか」
冬丸「はい」
御茶野「油断してると皆勤賞なくなるぞ」
冬丸「気をつけますハハ」
御茶野「それはそうと生徒会長が最後に来るんじゃない」
冬丸「最後じゃないですよ。マミが呑気に歩いていました」
御茶野「マミ?」
冬丸「そうマミムメモです」
御茶野「マミならあそこにいるぞ」
冬丸「えっええ!?」
冬丸は目を疑った。彼女はたしかに随分とうしろを歩いていた。いつの間に追い抜かれたのか。冬丸は信じられない感じでムメモに話しかけた。
冬丸「マっマミ」
ムメモ「春夏秋くん。間に合ってよかったね〜」
冬丸「うっうん。あっあのさ」
ムメモ「な~に?」
冬丸「さっさっき、のんびり歩いていたよな?」
ムメモ「うん」
冬丸「なっなんで俺より早いの?」
ムメモ「わかんない」
冬丸「わっわかんないか……ハハハっ」
ムメモ「ハハハハハ」
冬丸とムメモはお互いの顔を見ながら笑っていた。そんなことをしていると正門を閉めた御茶野から「笑っている場合か」と注意を受けた。
冬丸「セーフ!」
夏男「おはよう」
冬丸「おはよう」
夏男「間に合ってよかったな」
冬丸「安心したよマジほんと」
冬丸は皆勤賞が消滅せず。継続することへの嬉しさからその場でバク宙を2回してクラスメートを驚かせた。席に着くなり冬丸が夏男にムメモのことを話した。
夏男「またまたまた」
冬丸「ほんとだって」
夏男「瞬間移動でもしたっていうのかよ」
冬丸「まさにそれ! そうじゃなきゃ納得できねぇ」
夏男「そんなことあるわけないだろ」
冬丸「ほんとなんだって信じてよ。夏男ちゃ~ん」
夏男「うるせぇ」
冬丸の訴えもむなしく夏男は信じようとはしなかった。それからすぐホームルームが始まった。
担任「今年もマラソン大会を開催します」
と担任が言った。その瞬間「え~」という残念な声が出た。かと思いきや「やったーっ!」とクラスメートは歓喜に沸いていた。ミレニアム高校では年に一度、全員参加のマラソン大会が行われる。男女ともに同じ距離を走るのだが、男子生徒は女子生徒より遅れてスタートする。また、順位に応じて点数が定期試験の総合点に加算されることから成績に大いに影響がある。
冬丸「また俺が優勝しちゃったりして~」
夏男「これで成績優秀だったらモテモテなのにな」
冬丸「頭よかったらモテモテかぁ」
夏男「たぶんな」
冬丸「がんばっちゃおうかな~」
とホームルーム後、冬丸は女子に囲まれてキャーキャーされている想像をするなりニヤニヤし始めた。とその時だ。1人また1人と女子がララ美へと変貌していく。
ララ美「冬丸様―っ!! キャーっ!!」
冬丸「うぉぉ!?」
冬丸が大勢のララ美に囲まれて押しつぶされる場面になった途端、椅子を倒す勢いで立ち上がった。何事かと一瞬だけクラスメートに注目された。
夏男「どうした?」
冬丸「すんげぇもんが見えた」
夏男「凄いもの?」
夏男はそれがどのようなものなのか気になっていると冬丸が尻もちをついた。それは椅子が倒れていることに気づいていなかったからだ。その瞬間、冬丸はおしりをさすりながら痛がっていた。
第13話へ続く




