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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
暇な生徒会はうちだけでしょうか
10/55

第10話

ホント生徒会って人気がないんですね。

誰か1人でも入ってほしいところです。

放課後、冬丸と冬子は生徒会室にてビラ配りの効果がどんなものかと応募者を待っていた。だが1人も来ないことに冬子は残念な顔を見せた。


冬子「誰も来ませんね」

冬丸「だな」

冬子「なんで?」

冬丸「人気ないからに決まってんじゃん」

冬子「ぶ~っ」


冬子がそういう顔を見せた直後、スマホを操作し始めた。その瞬間、扉がバッと開いて御茶野が入ってきた。


御茶野「活動開始!」

冬丸「ギャっ!」

御茶野「お前ってホント面白いヤツだな」

冬丸「あ~っも〜、心臓が飛び出たらどうするんですか?」

御茶野「その時が来たら考えよう……という訳で副会長~」

冬子「あっ」


御茶野がそう言うと冬子がサッとスマートフォンをポケットにしまった。彼女のとっさの行動を冬丸は見逃さない訳はない。


冬丸「なになに? 彼氏?」

冬子「違います」

冬丸「またまた」

冬子「怒りますよ」

御茶野「2人とも聞いてるか?」

冬丸「はい!」


と冬丸が元気よく返事をした。これに冬子は「なんなんだコイツは」と思っていた。


御茶野「今日の美化活動! 頑張るぞーっ!」

冬子「オーっ!」

冬丸「おっお腹が……」

冬子「やる気あります?」

冬丸「ない!」


冬丸のキッパリした言葉に冬子は呆れた。結局、冬丸の腹痛はすぐに嘘だと見破られてしまう。その後、御茶野にここからここまでと清掃エリアを指定した。冬丸はダラけながらやっている。誰もがそう思っていた。その予想を覆すかのように冬丸はサササっと素早く丁寧にキレイに仕上げていく。


御茶野「いいか春夏秋。面倒くさくてもなぁこれは……おぉ!?」

冬丸「サーサササササ!」


御茶野はもとより冬子も手を止めて冬丸の素早い動きに見とれていた。そして冬丸はドヤ顔を見せて美化清掃を終わらせた。


冬丸「終了しました!」

御茶野「すっげぇ!」

冬丸「スゴイでしょう!」

御茶野「上出来だ」


満面の笑みで冬丸を褒めた御茶野は冬子のエリアを手伝うよう指示を出した。この時、彼は終われば帰れると思っていただけに残念な顔を見せる。


冬子「さっきまでの勢いはどこいったんですか?」

冬丸「帰った」

冬子「はあ!?」

冬丸「会長~」

冬子「なんですか?」

冬丸「先生が来た時、スマホいじってたじゃん。あれ彼氏? ねぇねぇねぇ?」


冬子はムカっとした勢いで箒で冬丸のお尻をバン!っと打った。もう言わないと誓ったはずの冬丸は打たれた箇所を両手で押さえながらピョンピョンと飛び跳ねた。冬子はこれ以上怒ると体力と気力の無駄遣いだと大きな深呼吸をして冷静になろうとした。


冬丸「なにすんだよ!」

冬子「普通聞きます? そんなこと!」

冬丸「聞く」

冬子「アァ!?」

冬丸「じょっ冗談です冗談です!」

冬子「さっさと終わらせますよ」

冬丸「俺はもう終わった」


冬丸のドヤ顔を冬子は無視をして清掃を再開した。溜め息をつく冬子を見かねた冬丸がさっきのパワーを呼び起こした。


冬丸「やるぞーっ!! サーサササササ!!」

冬子「先輩ってホントわからない」


それからしばらくして美化清掃が終わった。御茶野から了承を得た後、冬丸が手を使って箒を頭の上でクルクル回した。だが受け取れず頭に当ててしまう。それを見て冬子は笑った。冬丸もつられて笑ってしまう。


夏男「冬丸―っ!!」


どこからともなく夏男が春子とともに現れた。冬丸が何事かと夏男に尋ねた。夏男は音楽室からピアノ演奏が流れていると言い、慌てていた。


春子「本当なんです」

冬丸「もしかして」

夏男「そうだよ。アレだよ。放課後のピアノだよ!」

冬丸「もしかして夏男の彼女か? 絶対そうだ」

春子「はい。そうです」

冬丸「やっぱり~。俺、春夏秋冬丸よろしく~」

春子「春子です。よろしくお願いします」


この時、春子は思った。これがアノ噂の生徒会長かと。そんな春子をよそに冬子がイケメン過ぎる夏男に見とれていた。


冬子「この人、春子の彼氏?」

春子「うん」

冬子「めっちゃイケメンじゃん」

春子「でしょ~」

冬丸「イケメンだって」

夏男「おっおう」


大きく話がズレたのも束の間。春子が冬子の友達だと分かったところで4人は音楽室の近くまでやってきた。この演奏に関して夏男たちは幽霊だのなんだのとアホらしい推測をしていた。一方の冬丸は演奏者が秋美であることは分かっていた。だがこの場の雰囲気が面白いので明かしはしない。


夏男「絶対そうだって!」

春子「それが本当だったらコワすぎるっつーの!」

冬子「どうかイケメンでありますように~」

冬丸「クククっ」


3人の言葉に冬丸はつい笑ってしまった。冬子が彼に言った。


冬子「先輩は誰が弾いてると思います?」


冬丸は少し脅かしてやろうとオバケの仕草をした。それに震えあがったのは夏男と春子だった。冬丸は冬子に向けて同じことをするも効果はない。


冬丸「あれ? 怖がってない?」

冬子「怖くないんで」

冬丸「あの2人見習えよー。って! そんなにコワかった?」


冬丸が夏男と春子に聞いた。ヤバ過ぎるという2人の返しに冬丸は喜び、冬子は呆れた。少しして冬丸を先頭に扉を開けよういうことになった。そして目の前まで接近する。ついにその時がやってきた。


冬丸「大丈夫だって」


冬丸が開けた瞬間、夏男たちはサッと後ろに下がった。そんな彼らを放って冬丸が足音を立てずに中に入った。


秋美「!?」

冬丸「やっぱり」


そこにいたのは冬丸の予想通り、秋美だった。彼女はとうとう見つかってしまったと下を向いていた。そこへ冬子たちが音楽室に入った。そして彼女を見るなり冬子と春子は驚いた。


冬子「うそでしょ! 放課後のピアノの正体って!」

春子「秋美のことだったの!?」

秋美「ごめん」


秋美は彼らにだけいつから弾いているのか明かす。春子と冬子はホッとしていたのだが夏男は違った。なぜなら無断で使用しているのがバレたら大変なことになるかもしれないからだ。


春子「このことは内緒にしとくから安心して」

冬子「先輩! 絶対に他言禁止! わかった?」

冬丸「どうしよっかなぁー」


この場においてふざけた冬丸に冬子はガンを飛ばした。それに恐怖を感じた冬丸は誰にも喋らないと約束した。夏男ももちろん賛成している。


秋美「ありがとう」


秋美が感謝をして和やかなムードが漂っていたその時、御茶野がやってきた。彼らは逃げる間もなく御茶野に出くわしてしまう。


御茶野「お前らここで何してんだ!」


夏男たちがこの場をどう乗り越えようか困っていた。すると冬丸が校内で噂になっている放課後のピアノを突き止めようと中に入ったと御茶野に言った。


冬丸「結局、なんもわかりませんでしたハハハっ」

御茶野「七不思議を確かめるのもいいが許可なく音楽室に入るんじゃない。今回は大目に見てやる」

冬丸「はい」


冬丸を覗く4人は速やかに部屋を出た。冬丸はピアノの上にあった秋美の楽譜を御茶野に気付かれぬようサッと後ろに隠した。そして壁伝いに歩く。


御茶野「なにしてる?」

冬丸「こうやって歩きたいんです」

御茶野「手に持ってる物は……なんだ鞄か」

冬丸「そっそうです」

御茶野「まぁいいさっさと出なさい」

冬丸「はい」


冬丸はどうにか御茶野にバレず。秋美の楽譜を持ち出すことに成功した。御茶野が部屋に入るなり周囲を確認する。生徒5人はその場を離れた。


冬丸「はい楽譜」

秋美「ありがとうございました」

夏男「焦った~」

春子「まさか先生が来るなんて」

冬子「先輩やるじゃないですか」

冬丸「俺もやるときはやるんだ」

春子「でも無許可で使用するのは今日限りにしてね」

秋美「うん。わかった」


噂のピアノの正体が秋美だと判明したことで一件落着した5人はそれぞれ帰路についた。数日後、思いもよらない事件が秋美を襲うことになる。

第11話へ続きます。

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