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ハルカアキ  作者: 珈琲之助
生徒会長は抽選で選ばれました。
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第1話

こんにちは珈琲之助コー・ヒーノスケです。

ミレニアム高校は2000年に開校した元女子校で全校生徒は約1000人。そのうち男子生徒10人以下と少ないのです。

ある日、ミレニアム高校の体育館で全校集会が行われていた。伊藤園子イトウ・ソノコという校長が舞台に姿を見せた。そして演説台に立つと園子はザワザワする大勢の生徒を見渡した。そんな中、目についたのは物語の主人公である春夏秋冬丸ハルカアキ・フユマルだった。彼は今にも寝落ちするのではないかという様子だ。冬丸は園子に注目されているとは知らずに大きなあくびをした。園子は彼に微笑み生徒たちに目を向けた。そして真剣な顔をして生徒たちに言った。


園子「静かに!」


園子はざわざわする生徒たちに呼びかけた。すると一瞬にして体育館が静まり返った。その直後、冬丸が2度目のあくびをしてしまった。彼の声は体育館中に響き渡る。


園子「大きいわねぇ」

冬丸「えっあっすいませんハハハ」


冬丸は陽気で怖いもの知らずだが校長に注目されたのか恥ずかしそうにした。そんな彼をよそに園子は生徒たちに向けて挨拶をした。


園子「おはようございます!」

冬丸「おはようございます!」


他の生徒があまり声を出さない中、冬丸だけがバカでかい声を出した。冬丸はどうだというようなドヤ顔を見せた為、また園子の注目の的になった。


園子「あなた元気いいわねぇ」

冬丸「ありがとうございます!」

園子「あ! さっきの!」

冬丸「はい!」

園子「はい。という訳で今日、皆さんに集まってもらったのは大事な報告があるからです。真剣に聞いてください。いい? 言うよ」


と園子が言うと生徒たちはどのような言葉が発せられるのか。生徒たちは少しだけザワついた。園子が生徒に向けて演説台を両手でバンっと叩くと静かになった。園子は少し間を置いて話を始めた。


園子「この学校には生徒会がありません! だから立ち上げるようと思います! いいみんな! 今日から1ヶ月! 1ヶ月以内限定で生徒会の役員を募集します! みんな! どしどし応募して! いいね!」


園子はこのとき応募が殺到しすぎて投票を目的とした大規模なイベントをしなければならないこと想定した。だが実際、生徒会に興味のある生徒は1人だけだった。


冬子「絶対! 生徒会長になってやるーっ!!」


ある日、物凄い気合を入れて生徒会に入ろうとしている女子がいた。しかし、その女子はあんなに意気込んでいたにも関わらず直前で悩み始めた。彼女は春夏秋冬子ハルカアキ・フユコという1年の女子生徒だ。一応言っておくが春夏秋冬丸とは何の血縁関係もない。赤の他人だ。冬子は直前であることを心配した。


冬子「あたし1人だけだったらどうしよう」


冬子は自分1人しかいなかった場合、どうすればよいのか。そう思うと急にやる気がなくなってしまった。そして結局、入会することを諦めてしまう。それから何日か経って入会期限が過ぎてしまった。数日後、園子はどれだけの応募があるのか期待をして結果を見た。彼女はそれに開いた口が塞がらないほど驚いた。


園子「ヤバい! ヤバすぎる! ってかありえなくない? うそでしょう!?」


校長室で入会希望者がゼロだったことに園子はショックを受けた。生徒会創設は理事長の念願だった故に気が重くなる。そんな園子のもとへ教頭の珈琲谷コヒタニが来た。


珈琲谷「結果はいかがでしたか?」

園子「ここまでヤバいとは思わなかった。チョベリバね」

珈琲谷「私から1つ提案をさせていただいてもよろしいでしょうか?」

園子「なに? なになになに?」

珈琲谷「生徒会の役員ですが私たちで決めてはいかがでしょう?」

園子「そんな!? あたしたちで生徒会長を選ぶの!?」

珈琲谷「その通りでございます」

園子「ヤバくない?」

珈琲谷「ヤバい? それはどういう意味でしょうか?」

園子「かわいそうだって言ってんの」

珈琲谷「かわいそう?」

園子「だって!」

珈琲谷「理事長の念願が叶うまで後もう一歩のところまで来ているんです。このままでいいんですか?」

園子「ん~っそう……そうなんだよね~」

珈琲谷「校長!」

園子「先代の意思を受け継いでやっとの思いで生徒会を立ち上げた。簡単に諦めるなんダメよね! よし!」

珈琲谷「その意気でございます!」

園子「でもさでもさ」

珈琲谷「どうかされましたか?」

園子「何で理事長は生徒会を作らなかったの? なんで? なんでなんで?」

珈琲谷「私に言われましても……」

園子「理事長に聞いてきてよ」

珈琲谷「私より校長がいかれたほうがよろしいかと思います」

園子「だよねぇ。そうだよね」


という訳で校長は生徒会長をくじ引きで選ぶことにした。その方法は彼女と教頭2人だけの秘密だ。その結果に驚いたのは選出された生徒のいる学年の先生たちだ。


御茶野「こいつが会長に!?」


強面の数学教員・御茶野オチャノを中心に教員たちが抽選のやり直しを園子に申し出た。だが園子は面倒くさいと彼らの主張をその場で退けた。


御茶野「どうしてですか!」

園子「時間かかるし、それに面倒だから」

御茶野「校長!」

園子「この子に何か問題でもあるの?」

御茶野「はい」

園子「もしかしてコテコテの不良だったりして~」

御茶野「不良ではありません」

園子「じゃあなんなのよ」

御茶野「これを見てください」

園子「成績? 誰の?」


御茶野は生徒会長に選ばれた生徒の成績を園子に提示した。園子はそれを見た瞬間、笑わずにはいられなかった。


園子「あと1点で赤点確実じゃない!?」

御茶野「そのような生徒を生徒の代表に選出して本当によろしいのですか?」

園子「いいじゃん別に」

御茶野「校長!」

園子「御茶野先生」

御茶野「はい」

園子「この子の成績と生徒会長に何の関係があるの?」

御茶野「しかし!」

園子「ちょっと待って。なんかあたしこの子気に入った!」

御茶野「えっ」


園子はどういう訳かその生徒を気に入り、早く会って話をしてみたいと思うようになった。そして御茶野に言った。


園子「成績最下位の常連でも追認試験を受けたことがない。で、あってる?」

御茶野「その通りでございます」

園子「無遅刻無欠席! だよね?」

御茶野「その通りございます」

園子「元気でいいじゃない!」

御茶野「確かに校長の仰る通りです。ですが!」

園子「決まり! あっそうそう御茶野先生、生徒会の顧問よろしくね」

御茶野「こっ校長!」


結局、2度目の選出は行われることはなかった。御茶野は大変なことになってしまったと溜息を吐いた。会長に選ばれてしまった生徒は2年生だ。ちょうど今、そのクラスで定期試験の結果が配られていた。

いかがでしたでしょか。それでは第2話をお楽しみください。

珈琲之助

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