第3話 変わった義姉
義弟sideになります。
僕の名前は、ウィズリー・フェリシアス。
フェリシアス家の一員だが、義父様とは血の繋がりはない。
かと言って義母様や義妹とも血の繋がりはない。
義妹のルリカと僕はお互いの連れ子だった。
義母様と僕の父様は再婚で、父様が亡くなっても義母様は本当の息子として育ててくれた。
優しい義母様に似たルリカは、僕にとって大切な義妹。
だからルリカが階段から落とされそうになったと聞いて頭血がのぼった。
義姉様のリオナは初めてあったときから、とにかく厳しかった。
皆に愛されるルリカには特に厳しかったため、階段から突き落としてもおかしくはない。
そう思って、朝食の際問い詰めた。
それなのに義姉様は、僕の話を全て無視。
そのことに苛立ちを覚え、どんどん思ってもいない言葉が出てくる。
「義姉様。その服はなんですか?私は純清アピールですか?貴方には似合わないので辞めた方がいいですよ?」
今までと違い、清楚な服で食堂に現れた義姉様。
一瞬目が奪われたが、服装がいつもと違うから目が行くだけだと自分に言い訳する。
「無視ですか?貴方にそのし「さっきからうるさい。静かに出来ないんですか?」っ……」
冷めた目で見られ、ビクッと肩が揺れる。
何でそんな目で僕を見るんですか?
心底どうでもいい顔をされ、ズキズキと心が痛む。
「今日の昼食からは部屋にして」
「はい?」
義姉様は食事を終えると席を立ち近くの使用人にそう言う。
義父様含め食堂にいた者は皆唖然とする。
「聞こえなかったんですか?夕食から部屋に持ってくるよう行ったんですが」
義姉様が冷めた目で見つめると震えだす使用人。
待って、今なんて?
あんだけ、家族で食べたいと訴えていた人が別々で食事を?
突然の変わりように驚くばかり。
「か、かしこまりました。あの、私達には敬語を使わなくても……」
そう言う使用人に首をかしげながら
「親しくない人達に砕けた口調は使わない主義ですの。それに今までされた事を考えると貴方達と親しく話すなんて……嫌気がしますわ」
そう言って出ていった。
今までされた事?
一体何のことかと義父様も僕も首を傾げる。
「……一体どういうことかな?」
使用人に睨みを利かすと皆顔色を悪くし、土下座をして謝り出す。
使用人の口から出た義姉様に対する態度に驚きが隠せなかった。
義姉様、今までずっと我慢してんですか?
何で早く言わなかったんですか?
……いや、答えは分かりきってる。
最初に悪と決めて冷たく察していたのは僕達家族。
そんな家族を義姉様が頼るはずない。
後悔しても遅かった。
食堂の件以来、義姉様は家族の誰とも話すことはなかった。
義姉様の変わりようはこれだけではなかった。
皇太子殿下の婚約者候補だったが、ある日を境に手紙が届いても暖炉に放り投げて燃やすようになり、週に何回か図書室へ行くようになった。
そして、1ヶ月後。
「公爵閣下。私、母様の領地へ行こうと思ってますの」
爆弾発言とともに義姉様は公爵家を去った。
義父様は止めなかった。
……いや、止めさせて貰えなかった。
止めようとした際、義姉様はこう言った。
「何を仰ってるんですか?今までされてきたことを考えればここを去る理由は明確ではありませんか?皇太妃にもなりたくないし、家族としてここにいるのも嫌。私は、私の好きなように生きますので」
そう言って微笑んだ義姉様の顔が忘れられない。
公爵家にきて初めて見た微笑みだった。