四話
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バタン・・・
「収穫はありましたか。」
部屋から出てすぐにかけられた声の主に風矢は思わず恨みがましい視線を向ける。
「おうか~
お前、今の俺を見て収穫があったと思うのかよ。」
「まったく思いません。」
風矢の恨み言にきっぱりと簡潔に答えたのは、桜花という名の魔族の女だった。
彼女はある理由から魔族でありながら風矢の側近を務めている。
しかし、いくら風華の第三王子の側近といえども魔族である彼女が人間界に行くことは許されないため、風矢が任務で人間界に赴くときは一時的にこの光輝塔に預けられることになっている。
二人は連れ立って自分たちにあてがわれた部屋へと向かう。
「いつもと同じだったよ。
見ればわかる。
それだけだ。
それ以上は本当に何も言いやしねぇ」
風矢がアルヴィのもとを訪れたのは、呪いを持つ魔族の見分け方を聞くためだった。
しかし、その問いに対するアルヴィの返答はいつも同じだった。
『見ればわかる』ただそれだけ、何を見ればわかるのか、アルヴィは一体魔族の何を見ているのか、それは誰にもわからなかった。
中には、アルヴィが初めから教えるつもり等なくただでたらめなことを言っているだけだというものも多い。
むしろ、そちらのほうが世間一般には事実として認識されているといってもよかった。
「なぁ、桜花」
風矢は足を止め、桜花の顔を見据えて口を開く。
「魔族のお前でも呪いの有無はわからないんだよな?」
「・・・・・っ」
嘘や偽りは一切許さないというような鋭い眼光を向けられ、一瞬息をのみながら桜花は答える。
「ええ、呪いの有無に関しては、私たち魔族にもわかりません。
実際に私も自分の死後に呪いをまき散らすことになるのかはわかりません。」
おそらくではあるがそれは他の魔族も同じだと桜花は告げる。
同族であるはずの魔族はおろか、本人にさえわからないはずの呪いの有無、それを本来ならばありえないような正確さで的中させるアルヴィ
一体、どのような方法で見分けているのか、本人に聞いても帰ってくるのは、
見ればわかる
ただそれだけ、それ以上は決して答えようとはしない。
「ああ、もう一体何なんだよ見ればわかるって。」
乱暴に頭を掻きむしりながらわめく風矢をなだめながら桜花は自分たちにあてがわれた部屋に向かうのであった。