序章
歌だけだったのに文字数が足りなくて急いで増やしました。
終わりは終わりに非ず
終わりは新たな始まり
永遠に繰り返される
終わることのない営み
全てを終わりにしたい
終わりになどできない
解放されることなどない
永遠の眠りを
永遠の忘却を
永遠の死を
我は望む
我は生贄
我は覡
終わりが有り終わりの無い生を生きるもの
死の果てに訪れる眠りを
死の果てに訪れる忘却を
真の死を望み焦がれるもの
ーーーーーーーおぎゃあ
ーーーぉぎゃあ
部屋の中に赤ん坊の泣き声が響き渡る。
元気の良い泣き声だった。
おそらく産婆なのだろう老女は生まれたばかりの赤ん坊に産着を着せてあやしながら抱き上げる。
「奥様、大変元気の良い男の子ですよ。
それに奥様と同じ燃えるような赤い髪でございます。ルファールナ王家に赤い髪のものが生まれるなど何年ぶりのことでございましょうか。
きっと父上様の跡を継ぎ立派な王になられるでしょう。」
老女は涙ぐみながら寝台に横になったままの女に話しかける。
それに対し、女は笑みを浮かべ。
「ルネさん、奥様はやめて頂戴といつも言っているでしょ。
私はあの方の正式な妻ではないのだから。
ああ、それよりも私の子を見せて頂戴。」
女は気だるげに体を起こし、ルネと呼んだ老女から赤ん坊を受け取る。
赤ん坊は生まれたばかりとは思えないほどの豊かな赤毛をしていた。
「本当に生まれたばかりとは思えないほどの豊かな髪だこと。」
そう言いながら女はいとおしげに赤ん坊を抱きしめその髪をやさしく梳いてやった。
だが、そうやって赤ん坊の髪を梳いていた女の顔が突然こわばった。
それは愛しい我が子ではなく、まるで化け物を見るような顔であった。
「ひっ」
女の変わりようをいぶかしく思ったルネは、再び赤ん坊に目をやり引きつった声を上げた。
赤い髪に隠れ気づかなかったが・・・・・・・・
・・・・・・・赤ん坊の額には本来なら存在しない、親指の半ばほどの大きさの真珠色の・・・
小さな・・・
小さな・・・・・・・
角があった・・・・・・・・・・・
ーーーおぎゃあ
ーーーーーおぎゃあ
部屋に漂う異様な空気の中でただただ赤ん坊の泣き声だけが響いていた。