43 向カウ影
朝の香ばしい空気が、窓から光と一緒に流れてくる。部屋にノックと共に入って来たのは空気、ではなくカゲハル。そして寝巻き姿でベッドの上に座っているのが、名付けによる契約を交わしたミレメルという亜族。彼らには壮絶な過去があり、それを互いに察して支え合っている。
「おはよぉ……」
「うん、おはよう」
何気なく、何気ある日というのはすでに始まっていた。
今日は遂にラルシア王国に向かう日。カゲハルにとっては久しぶりの人の多い所。不安もあるが、好奇心の方が大きかった。なにせ前世では自炊をするため、アルバイトをするため、スーパーマーケットというのは必須だった。もちろん店に限ったことではないが、ものが売り買いされる場所というのはそれだけでありがたいものだった。
「やっぱり美味しい……」
「いやあ、俺の腕も衰えることを知らねえな。イケてるわ」
食事のレパートリーを増やしたいというのは異世界転生・転移者が思う事の一つなのだろうが、それ以外にもいろいろとあの王国にはありそうなので、カゲハルは並外れた興味関心を抱いていた。
「ごちそうさんま」
「ごちそうさ…んま?」
日本文化のアドリブに、ミレメルは困惑してしまう。当然だ。しかし、文化というものの在り方も難しいものだ。変わっていく表現を一つの文化と捉えるか、伝統を文化と呼ぶか。人によって感性は変わるし、文化というのは一概に言えないものだ。
食器を片し、旅支度を始める。
ミレメルは慣れた様子で魔法を使い、弱い足を軽やかに動かして階段を上がっていった。普通なら松葉杖とか、車椅子に乗るはずなのに異世界というのは恐ろしい。内心心配していたカゲハルを他所に着替えに行ったミレメル。対してカゲハルは、ミレメル製の服を魔吸収から取り出し、着ていた服と入れ替えた。体の表面でそれができるため、ほんとにビフォーアフターのようだ。
十数分後、白髪の女は再び階段から姿を現した。その身を包んでいたのは、美を超えてしまった眩しいほどの衣装……などではなく、探偵チックで素朴な服装。被っている帽子がディアストーカーハット風なため、ほんとに探偵にしか見えない。だが、白髪と探偵服の絶妙なバランスは安定している。
「似合ってるな」
世辞でもなんでもなく言ったはず。だが、
「……ほんと? 冗談言ってる?」
「んなわけあるかい。イットイズトゥルーよ」
手を仰ぎ否定するも、上目遣いで確認を取ってくる。ハットをポンと叩いて笑顔で目を合わせてやると、彼女の方も納得してくれた。契約による意思疎通だろうか。
家族の愛らしさと安心感で、良くも悪くも心臓が脈打つカゲハルだったが、ミレメルの呼びかけによって冷静になる。
「行こっ」
「おう」
玄関から一歩出ると、絶好の買い物日和だった。空がガラスのように透き通り、太陽が笑い、木々が絵本の世界を生み出している。空気が美味しいとはよく言うが、カゲハルは気体であるため、その純粋な酸素や魔力に胸だけでなく脳まで踊る始末。感覚全てで味わうそれは三ツ星レストランいや、五つ星レストラン。
深呼吸するカゲハルを気にも留めない様子でドアを閉め、その体勢で後ずさるミレメル。それに気づいて、何をするのかとカゲハルは振り向く。
すると前触れも無く、彼女が魔法を使いだした。
「コントロール!!」
家が揺らめき、辺りの草や地面が浮き上がる。そして木製の家全体が、柱やドア、屋根といった部分ずつに分離していく。辺りの動物が一気に逃げ出すほどの魔力の動きが、家を恐ろしくコンパクトにすると、彼女の緑に輝く目は部品全てを吸い込んでしまった。
余りにも浮世離れした光景に、異世界好きのカゲハルもあんぐり。目の中に家って意味不明・意味深長なこの状況。どうしてくれよう。
「……あのぉ、ミレメルさん? 今何を……」
「ごめん、驚かせちゃった? てっきり能力査定で、私の翠眼のこと知ってると思った」
そう、家の部品を吸収した今の力の正体は「翠眼」というスキル。家を分解して浮かせたのは「コントロール」という魔法だが、その先は違う魔力の動かし方。
魔力とは何か。未だ具体的な解明は成されていないが、その力の使い方を深く追求した者の特権こそがこれである。
それ故に、妬みや利用目的で常に狙われていたわけだが。
翠眼について大まかな説明を受け、カゲハルは頷く。
「やっぱりすげえな。……ま、それが狙われる原因でもあるんだろうけど」
「……そうなの。……今でもちょっと怖い」
「萎えるのは違うぜ? それは長所で、恨むべきとこじゃない。……前にも言ったが、もし利用されそうになったら守ってやっから。安心して誇れ」
そう言い肩を叩き、街に向かって歩き出すカゲハル。それを小さな足取りで急いで追いかけるミレメルは、彼には気づかないほど奥底で心底喜々としていた。
「………で、家を収納したってことは戻ってこないの?」
「うん、流石に追ってくる人が多いしね。それに、旅をするんでしょ?」
意図を汲んでもらって、嬉しくなって、カゲハルはゆったりとした返しをする。
「旅といっても長旅だから、定在したり動いたりすると思う。その場所ごとにいい立地を見つけて過ごしていこうや」
旅の形式は行商人に似ている。寝床は転々と移ろい、その地の食を味わう。自由は旅の醍醐味だ。
「うん!」
旅の中で強くなりたい理由はオーナメンタルを倒すためだが、正直すぐに実現できるような気もしない。それに、オーナメンタルは完全なる敵ではない。今すぐに強くなろうとするよりも、彼女と過ごす方がカゲハルとしても心地良い。
そんなわけで、数十分で目的地は見えてきた。そこは平原の中に佇む一つの王国。町を囲む巨大な石レンガの壁は、魔物の侵入を確実に防いでいる。無論、現在朝故に危険性物などいないが。
「お……!」
「ラルシア王国よ。私が言う事じゃないけど、ようこそ」
その大きさは推測できない。どのくらいであろうか。日本の一つの市くらいはあるのだろうか。凄く荘厳だと、アパート住まいの少年は感じた。
(見えている家は西洋風。いや、所々に出店も見えるから北アフリカとかアジアにも似ている気が……それにあのお城、ドイツなんかにもありそう……)
アパート1DKほどの住まいの窓から見る都市とはまた違ったゴツさ、そこに歴史的な観点で観察したくなる。テレビに映る世界遺産などでは感じられない、生の素晴らしさ。それを実感として感じる今はまさしくエキサイティング。
遠くで見続けるだけでも建物マニアなら丸一日潰せるはずだが、カゲハルは別にそこまででもない。感動はするが、今は調味料や冒険に飢えている。
「よし、あと少し!」
王国まであと数百メートル。ここからいよいよ永い旅が始まる。どんな未知が、どんな道があるのだろうか。
そんな好奇心と冒険心に燃えていたカゲハルたちは、試合のゴングを鳴らされたような感覚を得る。
『ズドオオオオオオオオオオオオ!!』
急に発したデカすぎる轟音。カゲハルの主たる能力である「知恵の詔」は、瞬時にそれを情報として取得、からの解析でそれが何かを判別しようと試みる。それでも流石に遠いか。アバウトな事柄しかカゲハルは得られなかった。
「……誰かが暴れてる?」
「すごいね、この距離でわかるなんて」
「まあ、あくまで動きだけ。容姿とかまではアイ・ドン・ノウ」
しかし、ここでずっと尻込みしているのもなんなので、急行することに。
カゲハルは影操作で大きく蛇を生み出す。それは今まで出してきたシェドラの5倍はあり、その口の中には十人程度はすっぽりと収まりそうだ。
そんな大蛇が大きく口を開けただけで、人は少なからず反射で動いてしまう。
「わわっ!?」
「大丈夫。入って入って」
カゲハルの後ろについたミレメルだったが、彼の言葉で納得し、それでも恐る恐る口に入っていく。そして二人が入った瞬間、蛇は口を閉めてヌルヌルと動き始める。それも、透明になって。
彼が使ったのは真霊化。そこには認識阻害の上位互換「透化」も含まれている。この力はカゲハル自身だけでなく、彼が許可した生物や物体すらも見えなくさせる。その効果は絶大だが、残念なことに魔力の蛇が通った後は思いっきり跡が残ってしまっている。
ま、彼は少し抜けていて気付かないわけだが。
「……すごく揺れるんだけ……ッどお!」
「そんなだったか。すまん。だがもう着いたぜ」
足がよろつき尻餅をついたミレメルに、スッと手を差し伸べるカゲハルは、蛇に口を開けさせる。そこには、煙の立ち上る大きな石壁がそびえ立っていた。
「……え?」
「到着!!」
そう。数百メートルを僅か五秒ほどで走破して見せたのだ。カゲハルの影操作は余りにも底知れず、ミレメルは頼れるという感情の他、畏怖すら出てきた。
しかしながら不思議なものだ。蛇が通った跡は地面にくっきり残っているのに、この国の人々は誰も気づいていないらしい。石壁があるとはいえ、兵士の一人や二人いるはずだ。音沙汰というのは壁の中にしかない。
「………大歓迎なんて俺は好きじゃない。だが、ここまで静かなのもあんまり良く感じないな」
冒険は程よい刺激が求められる。それはカゲハルの基準だと、人との会話程度。宇宙のような静かさは嫌いだし、暴動や天変地異が欲しい訳は微塵もない。
そんなこんなでどうにかこの国への入り口、門を見つけた。だが、予想通り開門していなかった。
「うーん……どうしよう」
「日を改める?」
「バッカ言え。せっかくここまで来たのに、また来ますって留守中だった友人を訪ねた人みたいにUターンするって言うのか? 俺やだ、めんどくちゃい……」
駄々をこねるものの、正式な入門ができないのは目に見えて明白。地球にいたころに比べてカゲハルが人を倒せるようになったとはいえ、家に煙突から入るような真似はしない。それこそサンタクロースじゃないのだから。
礼儀は一般人並みに正したい彼の思いは、今ここで立ち往生する状況を生み出している。どうすべきなのか、悩んでいると。
「……ならすり抜けたら? あと、その力が私にも使えるなら一緒に行こ」
「あーなるほど」
もっとも、カゲハルは人でもなければ魔物なのかも怪しい気体生物(魔物だが)。真霊化を持っている彼に通り抜けられないものなんてこの世にあるのだろうか。
カゲハルはその力をミレメルにも使えるか試した。だが、使えたのは透化の見えなくなる力。同時の不法侵入は不可能となってしまった。
「う~ん……どうしよ」
「なら、先に見てきてよ。私はここにいるから」
「それは危険だ。俺が目を離した隙に何が起こるか……」
カゲハルは冷静で、たまに被害妄想が激しくなる。一度食材を取りに行って、いざ戻ったら彼女が人質されていた過去があるからだ。
「心配は嬉しいけど、まずは門が開くかだけ見てきてよ」
「……りょ」
渋々といった様子で足を動かすカゲハル。木製の大門をするんと、一反木綿のように、日本人が嫌う昆虫Gのように、無理なく通り抜けていく。放射線の透化能力に近いが、ここでは少し違う。まあそれは別のお話。
すり抜けた先に彼が見たのは、真っ直ぐ続く大通りの遠くの方で人が集まっている光景だった。そこから聞こえるのは悲鳴。彼の知恵の詔は、間もなく情報を取ってくる。
大衆の奥にはひょろい男。それとあからさまにぶちのめされた大柄な男たち。どうやら暴動らしい。でもそんな面倒なこと気にする余裕なんて、ゴミ箱とドブに捨ててきましたと言わんばかりに、カゲハルは門の左右を見渡す。そうするとどうか、右に門の操作室があるではないか。
「ッ!……ら、ラッキー!」
急いでその部屋に向かう。石壁の中に埋まっているような構造の部屋には、回転式の操作物が一つ。その見た目は船の舵のようだ。
「うおおおおおおお!! 面舵いっぱああああい!!」
無意識で脳超加速を使ってしまうほどに。
【スキル「腕力」を取得しました】
スキルを取ってしまうほどに。
「おおおおおおおおおおおお…………お、あれ」
目一杯込めた力で目が塞がっていたため、何も見えていなかった。目を開くと、舵に自分の腕が付いたままで、自分の胴体と切り離れてしまっているではないか。余りにも浮世離れした状況に驚愕したが、別に痛みは殆どない。恐らくはスライムのような分裂に近く、体への負担が無いからであろう。その証拠に、腕の切れ目からは魔力の血ではなく黒い煙が出ている。
腕をロボットのように合体させた後に門を見てみると、一ミリたりとも開いていない。残念、舵を回す方向が違ったらしい。
「なら、取舵イッパアアアアアアアアア!!」
「お前! 何をしているんだ!」
「うぇ!?」
回そうとした瞬間、あろうことかここの担当みたいな男に見つかってしまった。後ろからは何故か警官(?)も来ている。
「何故お前は門を開けているんだ! このタイミングで、怪しい奴め。捉えろぉ!」
「ちょ、ちょおおっと待ってくれええ!」
男たちに押さえつけられて、持っていた舵から手が滑り落ちる。無念そうに呻き、ジタバタする彼はこう考えていた。
(ここで真霊化を使ったら、次来た時怪しまれるか。そうなったら人の姿がこれ一つしかない俺としては気安く入れなくなる。ミレメルとせっかく来たのに街を堪能しないのはまずいなぁ……でも彼女を置いていく訳には……くそぉ……)
まあ必然的な葛藤である。
男たちは今尚必死に押さえつけ、彼の気持ちなど知ったことではない様子。目を血走らせ、汗を流し、慌てている。それを見たカゲハルは一瞬、あの奥にあったものが関係しているのだろうか、と考えを巡らせた。
その時、カゲハルは脳超加速をもう一度発動。体は遅くても脳だけが速い世界で、最適な弁明を探していく。
「わ、悪い。勝手に操作したのは謝るから!! なんか揉め事なんだろ? 手伝うからそれでチャラにしてくれないかッ……」
「あ? なんでお前そんなこと知ってんだ? いや、お前が悪人なら何が起きてるか知っているはずだから、お前は……まあ知らんなら教えてやる。……あれは数日前に起きた事件だった…」
「そんな語り口調にせずとも……」
「ここから少し遠い位置に、『獄容所』という刑務所があるんだが、そこで変死体や脱獄跡が大量に見つかったんだ。そして、今あっちで騒いでいるのがその獄容所で唯一生き延びていた極悪人だ」
地面に顔をこすりつける形で不思議そうに聞いていたカゲハルだったが、やっぱり日本とは比にもならない。自然に現実味は薄れようとしたが、危機感だけはいまだ彼の中に。
「ふーん。そいつは因みにヒューズ?」
「……ああ、そうだが。お前が勝てるようには見えんぞ?」
全くその通りで、男二人とはいえそれに抑えられている青年が、とても極悪人に勝てるようには見えなかった。
「それはどうかなぁ?」
「は? どういう……」
瞬きというのは場合によるが、大体十分の一秒。光の速さならまだしも、音よりだいぶ劣る動物のスピードでは到底目から逃れることはできない。そのはずである。なのに。それなのに。男の腕の中にいたはずの人物はその跡を絶っていた。
「実は門の外に連れがいるんだ。足を痛めていて、当然俺みたいに侵入できない。あんたらが門を開けてくれたら、俺はその悪人を止めてやる。開けないなら……その悪人に加担してやる。どっちがいい? 決めるのはあんたら自身だ」
別に悪人に加担してカゲハルに利なんてない。だが、男たちは掻い潜ったカゲハルに対して、恐ろしいほど身震いしたうえ、いそいそと舵を回し始めた。それが適切だと直感したからだ。
ゴゴゴゴゴと、重厚な木と歯車の音がする。どうやらこれは純粋な物理技術らしい。てっきり魔法陣的な仕組みかと彼は考えていたのだが。
「あ、カゲハル!」
「おお、良かった……ちゃんと、拉致られてないね」
「そんな訳ないよ。どうやら騒ぎ立っているんでしょ?」
門の下、和む様子で駄弁り始める。核という名の心臓は拍動を緩め、視界にはもうミレメル以外が映っていない。
男たちはミレメルを見て、その愛らしい顔に頬を赤らめものだが、耳が森人族のものであることや、異様な雰囲気を出していること、「足が不自由」ということなどに、排他的な姿勢になる。いわゆる口に出さない差別だ。まあ、出さないだけマシなのかもしれないが。
そんな彼ら全てから、平等に希望を削ぎ剥ぎ落す者達が。それは門の奥。丁度、カゲハルたちが来た方角より響いてきた。
突然平原の地面が吹き、割れ、赤くどす黒く開く。それはマグマの明かりなどではない。魔物の色だった。
「ひゃ!?」
「ミレメル! 大丈夫か!?」
「な、何だぁ!?」
「お、おい! あれ見ろよ!」
裂けた割れ目から、更に傷口を広げるように剛腕が突き上がる。それは地面を鷲掴みにした後、繋がっている本体を引きずり出す。狭っ苦しい環境から解き放たれた奴は、感無量を声に乗せて、言われなくとも叫ぶ。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
目が一つ。腕が六つ。足は二つ。角が一つ。その容姿で、ゲーム等にたびたび登場する魔物といえば、絞られてくるはずだ。
カゲハルは幾度となくこの魔物を倒している。前世のゲーム「FFF」で。
「な……」
「さ、ささ……」
「サイクロプスだァアア!?」
その体格は山岳地帯のごとく荒く、体長は城下町を囲む壁を越えて、ゆうに四十メートルはあった。名を――――言うまでもなく「サイクロプス」という。
「……なんか、デジャヴ感あるな? 見たことある魔物としては、スライムとゴブリンとこのシャドー以外では初かな。某有名RPGゲームではよく戦ったし、FFFでは経験値稼ぎ要員だったなぁ」
ゲームができないのは寂しいものの、今のワクテカは過去の人生以上の経験値。
だが、この相手にミレメルがやられることだけは、自分のランクをAからCもしくはD以下に下げる事となる。それほどまでに重要ミッション。
そんな中、彼に襲い掛かる緊急ミッション。
「オオオオオオアアアアアアアアアアアアアアア!!」
今現れたサイクロプスの反対側、つまりはラルシア王国をはさむように、もう一体のサイクロプスが姿を現してしまったのだ。
壊滅的な状況。
町の人々は恐怖する。
だがそれに反して、物語の重鎮達はそれぞれ違う反応を見せた。
「この短いスパンで物語が進行する感じ……ゲームっぽい。面白い。この気持ち、良い傾向だ」
魔物の子は期待する。
「………あ?………へッ。こんな小童より、よっぽど戦い甲斐のありそうなのがいるじゃあねぇかぁ……ギタタタタタタァ……」
悪人は魅せられる。
(……ゲーム、って少し甘く見すぎな気がするけど、もう私は誰にも屈しない。私にはカゲハルという家族がいるから、決意と安心に満ちているから、大丈夫)
少女は身構える。
「…………どこ、か……だ、れか……」
小さな女の子は彷徨う。




