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1 能力査定

 誠に残念ながら。

 影(?)になったことは認めましょう。

 というかこれは影というより幽霊だな。

 人型とは言えないけど、なんだろうな。

 気味が悪いよね。

 眼だけ白いのが何とも奇妙。

 日本の幽霊にもこんなのいなかったぞ…

 体を横に捩じってみる。

 うん、紛れもない黒半透明。

 何だろう。真っ黒何とかの擬人化って感じだねこれ。

 上半身だけだけど。

 過去のステータス引き継いだなこれは。

 余りの暗さに体も影になったとか。

 キレる通り越して、笑える通り越して、一周回ってやっぱりキレるレベル。

 もう帰してよ、とも言ってられないのがリアルだね。

 まあ容姿気にする暇ありゃ、行動せいって話だよ。

 怖いだけで格好悪くは無いのだから。


――――――――――――――――――――――――――――――――

 ステータス シャドー Lv1


 スキル:認識阻害・物理攻撃無効・能力査定


 P1000所持中


――――――――――――――――――――――――――――――――


 ぎゃッ!?

 あ、恥ず!

 声が、出てないね。良かった。感覚で声が出ただけです。聞かれなければどうということはない。

 ってなんだ今の。

 アンドロイド?

 機械音声?

 校内放送?

 Did you listened?

 いや、馬鹿なことしてる場合じゃねえや。

 ええとなんだっけ。

 目の前に変なプレートが出たと思ったら、フェイドアウトして視界に保存されてないし、急にだったから聞こえんかったし。

 んーあれだよね。

 旅のお供というか、ガイド的な。

 声が脳に響いてきた感じだったから、頭痛がしそう。

 なんか痛み無いけど。

 ……すみません、もう一度宜しい?

 ……無言か。

 そうだよね、普通機械が喋りだすことないよね。

 それにしてもやっぱり異世界なのかと感じさせられてしまう。

 いや、ここがフィクションチックな世界なのだと直感はしてたよ?

 だって、こんな手の付けられていない洞窟。

 異様な蜥蜴。

 さっきの人の武装。

 俺の体。

 それでも追い打ちをかけるかの如くこの音声入れるかね。

 やはり地球じゃないんだと慟哭(どうこく)しそうな気持ちを抑えに抑え、鍋蓋に更に蓋して、声のトリガーを探る。

 何か言ったっけ?

 合言葉とか…

 あ、“ステータス”かな。



――――――――――――――――――――――――――――――――

 ステータス シャドー Lv1


 スキル:認識阻害・物理攻撃無効・能力査定


 P1000所持中


――――――――――――――――――――――――――――――――


 おお来た来た。

 ええと、あ、消えた。

 ダメダメ、忘れそう。

 認識…阻害とやらはわかる。

 問題は物理攻撃無効は何?という疑問である。

 そんなんチートじゃん?

 え、俺ってばてっきり無力じゃねって思ってたのに。

 そうか、これは新たな魔物転生無双シリーズ開拓か?

 オォウ、すべらしいな!

 そして、能力査定っていうのはなんだろ?

 もしかしなくてもこの声がこのスキルなのか?

 え、これってば持っていないとステータス見れない系か?

 最強じゃないかこれ?

 俺の力の底が見えねえ!


――――――――――――――――――――――――――――――――

 ステータス シャドー Lv1


 攻力0

 防力1

 体力5

 魔力10

 精力15

 俊敏15


 スキル:認識阻害・物理攻撃無効・能力査定


 P1000所持中


――――――――――――――――――――――――――――――――


 また能力見ちゃった。

 って……………ん?

 よく見たら……

 攻力……0?

 防力……1?

 体力……5?

 あっ。

 察してしまったよ。

 これスキルに天秤傾きすぎてる。

 つまり攻撃されずできず。

 挙句の果てに有能すぎる認識阻害(無能すぎる影の薄さ)で誰も気づいてくれない。

 恐らくダメージ食らったら即死。

 余りにも撃たれ弱すぎる。

 あれ、なんか両の目から涙でそ……

 どうしたって過去を悔やんでも取り返しはつかない。

 まぁ、それぞれ、攻力は攻撃力、防力は防御力、体力はヒットポイント、魔力はマジックポイント、精力はスタミナ、俊敏は素早さってところだろう。

 この辺りはゲーマーとしてすんなりと理解できた。

 ひと段落して、俺は「散策」を目的にして動き出す。

 さらっとスルーしていたけれど、歩くというより滑るような動きをするんだね。

 ほぼスライドしてるから、視界が上下しないから気持ち悪いったらありゃしない。

 まあ慣れたけど?

 今進んでいる洞窟の壁には鉱石っぽいのが沢山見える。

 ここがほぼ未開の地らしいことだけは察するよ。

 今しがた既開の地だけど。

 人もいたし。

 ……にしても貧弱すぎだろ。

 何?

 0とか1とか。

 影じゃなかったら、どこぞのスライムや、記念ステージにいる攻守共に異常に緩いモンスターなんかにも負けると思うよ。

 というか、異世界なんだよね?

 さっきの蜥蜴、1m位という大きさからして魔物だし。

 で、魔法とかたぶんあるよね。

 スキルあるし。

 なら、物理攻撃以外あるよね。

 あれ、これもしかして、ヤバい?

 待て待て待て!(2回目)

 それって本当に危険なんじゃ…

 井の中の蛙な今の俺が、超常現象日常茶飯事の異世界で、非物理をどうかわしていくのさ。

 それで死んだら、また…

 いや、あの時は痛み感じる前に驚きと気絶が勝っててよく覚えちゃいないけどさ。

 でも死が横に肩を並べているのは事実。

 どうしろと?

 もう一度、ステータス。


――――――――――――――――――――――――――――――――

 ステータス シャドー Lv1


 攻力0

 防力1

 体力5

 魔力10

 精力15

 俊敏15


 スキル:認識阻害・物理攻撃無効・能力査定


 P1000所持中


――――――――――――――――――――――――――――――――


 マジで怖くなってきた。

 心臓の奥にモヤモヤしたものを感じる。

 心臓あんのか知らんけど。

 恐怖。本当にシャレにならん。

 異世界への知識があったのが不幸というべきか、幸いというべきか。

 力の底が見えねえとか言ったの誰だ。

 俺だな。あーそうだよ俺だよね!

 くよくよしても仕方ないさ。やれるだけやってみよう。

 死んだらそこまでさ。

 黒い体を引っ提げて。

 恐怖や畏怖を隠して。

 洞窟の奥に音もなく進んでいく。


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