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16 属性技能

 なになになになにこれ!?

 気色悪う!

 なんで、俺の足元に、百は超えそうな量の死体があるんだよ。

 おかしいでしょうが。

 件の屍達はどうも、切られたり、噛まれたり、抉られたりしたような、見苦しいにもほどがある状態で横たわっていた。

 それも、俺を中心に同心円状のように広がっていた。

 過去に、気を失うことは何回かあったが、それは主に死にかけた時だ。

 一回目は確か、ゴブリンシャーマン?に殺されかけて。

 二回目は、バビリアリザードの大群に襲われて。

 んでこの三回目では、ええと、なんで記憶がないんだっけ。


【極度の空腹により、精力が飢餓を記録し、狂乱したためです】


 そうそう、確かに腹が空っぽになった感触があったわ。

 なんというか、痛みがこう抽象的というか、傷心したような苦痛だったんだよなあ。

 実際、この体には主な感覚がほとんどない。

 視覚・聴覚・触覚はかろうじて存在するも、嗅覚・味覚が曖昧だったり、痛覚がどうも電気のような変な痛みとなる。

 この体の構造上の問題だろうが、やはり、五感の2つが頼りなく、感覚が気持ち悪いのは腑に落ちない。

 なんか方法はないのだろうか。


【方法を検討します】


 おおう。

 頼もしい限りこの上ナッシング。

 頼りにしてます、聡慧先輩。

 さてさて、早速ですがあ、この魔物達をどうしてくれようか。

 現在のステータス、とは言ってもなんか俺のやつエライことになっているんだよなあ。 


――――――――――――――――――――――――――――――――

 ステータス シャドー Lv10 属・闇


 攻力0

 防力28

 体力30

 魔力38

 精力63

 俊敏42


 紋:不屈の影・欲張り・殺戮加護


 スキル:聡慧・霊化・体力即時回復・魔力即時回復・痛覚耐性・火無効・光無効・存知・掘削・影操作・魔吸収・腐食毒無効・防御


 P3000所持中


――――――――――――――――――――――――――――――――


 なんか、レベルが5からいきなり10に増えてんだよなあ。

 それにスキルも増えてる。

 何だよ「腐食毒無効」とか「防御」とか。

 ありがたいけどさ、つまりそれってそれほどまでに激戦を繰り広げたってわけでしょ。

 怖えよ何それ、俺ちゃんそんなに強くないって。

 それに、この紋は何さ。

 殺戮加護。

 何だろう、不吉だわあ。

 殺戮に加護あれって?

 新しい宗教かよ。

 聡慧さんの検索網へポイっと。


【・紋「殺戮加護」 累計殺戮数が一定値を超えることで手に入る。レベル×1分攻撃力を底上げする。狂乱時のみ適用】

【・「腐食毒無効」極限の免疫力により、外から破壊する毒を無効化する】

【・「防御」 魔力を消費し防力を上げる】


 殺戮加護、レベル倍分攻撃力を底上げするという紋。

「とうとうこれで俺も戦闘デビューだ!」……とはならない。

 なーにが、狂乱時のみ適用だ。

 いい加減にしてほしい。

 それに、防御のスキルだって、マジックポイント使用しないと意味がない。

 どうしたらいいんだよ、こんなゴミ能力。

 自分の晴れ姿を、高揚を、この目で拝めないとか。

 終わってるわー……ともならない、実は案外そうでもない。

 腐食毒無効……これは、スキルの毒も無効化できるらしい。

 なんでも、毒は火や水といった属性的な無効と異なり、状態異常として体力を削る。

 メタく言えばシステム的な面で、分類が違う。

 だから、物質的なもの、魔法やスキルで生成されたもの、全ての腐食毒に分類される細胞の破壊行為をこれで止められるようになったのだ。

 因みに対義的に神経毒耐性なるものもあるらしいがそっちは珍しいっぽい。

 いつもよりまともそうな能力を得て、少し上機嫌。


 そんな俺の目を続けて引いたのは、表示追加されていた属なるもの。

 闇…属性?

 何というかもういろいろ察したわ。

 恐らく、相性とかあって、それによって攻撃が通りやすいとかあるんでしょ。


【流石、明晰です。属性には「火、水、風、光、闇」の原色があり、更に光と原色のどれかを織りなすことで、「土、電、竜、聖、霊」属性が編み出せます。他には「空・神」属性があります】


 おおおおお!!!!!

 これぞ、ザ・ファンタジー!!!!!

 ですけどなんというか、普通マイナーなバトルゲームじゃ、この原色しか存在しないけど、ここではそこにさらに7つも加わるらしい。

 これは戦略ゲーですなあ。

 日露戦争の猛者、東郷平八郎先生でもいてくれりゃあなあ。

 あ、でもあの偉人様は海軍だから、陸は無理か?

 なら織田信長パイセン?

 いやなんか無理そうだな。

 本能寺の変の憎悪とかで逆恨みされそう。

 失礼かもだけど、どうもそのイメージがあって末恐ろしい…

 何事も一人でしなきゃダメってこったな。

 いや、今は頼もしき相棒がいるから大丈夫だな。

 しかし、相性属性はどんなもんよ?

 聡慧さんに聞いてみた。

 しかし、表示される相性表を見てもイマイチ覚えられなかった。

 簡単なことだろうに何故か忘れてしまう。

 ええと、火が風に強くて?

 水と土に弱く?

 竜は風に強くて?

 ダメだ、忘れた。

 これは慣れるしか方法はなさそうだ。


 俺は周囲を見渡す。

 辺り一帯の爆弾石や鉱物は戦闘で粉々になり、光が反射したりせず、暗黒が辺り一帯を支配していた。

 誰かが鳴くこともなく、それでいて気味も悪い。

 却ってそれが幻想的ですらあるが。

 ……そういえば関係ない話だけど、無効系スキルは魔力を使用するのか?


【一般に、何かを軽減・無効化するスキルの殆どは、その者自身の体性なので、魔力の消費はないですが、それ以外のものはしっかりと消費します】


 おう、セーフティー。

 全てのスキルが魔力使用だったらどうしようかと思ったわ。

 てかあれだな。

 過去にビーバーに追われたときに「認識阻害」が発動しなかったのは、魔力が割と不足してたからだな。

 納得。

 一抹の不安はもうないかな。

 そんなことをしているとき、ふと気づいた。

 Pが増えていることに。

 さささ、三千!?

 こここ、これ、すげええええ!?

 何でこんなに増加しているんですか?

 高度経済成長ですか。

 バブル経済ですか!


【紋を持つバテックゴブリン、カストロイを倒したおかげです】


 は?

 バテックゴブリン?

 何それ美味しいの?

 詳しく詳しく、ガイドプリーズ。


【まず、Pは、紋を持つこの世の全ての生物を討伐することで得られる代物のようです】


 あ、そういえば前に、

【私にも理解不能のポイントです。消費すると即座にスキルを得られます】

 とか言ってたな。

 調べてくれたんだな、俺が寝ている(狂乱している)間に。


【そして、ゴブリンには主に以下の種類がいます。


 ・ゴブリン

 ・ホブゴブリン

 ・ハイゴブリン

 ・グレートゴブリン

 ・ゴブリンシャーマン

 ・ゴブリンルーマー

 ・ゴブリンクイーン

 ・ゴブリンキング

 ・悪小鬼王(バテックゴブリン)


 並びに、バビリアフラッシュカスターの上位種がカストロイになります】


 う、聡慧さんが張り切って、この箇条書きをノートのように目の前に召喚してくれたお陰で、脳が揺り動かされるような痛みが…

 気を付けてやってほしい。

 仮にも俺のスキルなんだし。

 で、種類多くね?

 普通は精々3、4種くらいしかいないと思ってたのに。

 ルーマーとか知らん奴おるし。

 そういえば「バテック」って「頂点」を英語で言った発音かな?

 バーテックス(vertex)だから少し発音違う気もするけれども。

 え、何故俺がそんなこと知ってるかって?

 確かに前世でもそこそこ勉強はできたけど、今は聡慧さんパワーです。

 俺自身も忘れていた微かな記憶を、脳内で景色として蘇らせてくれた。

 前世の俺がこの単語を恐らくスマホか何かで見てたんだろうな。

 どうしてそんなことが出来るのか、今はどうでもいい。

 そんなことより俺、マジ、グッジョブ!

 まあ、つっても、頂点のゴブリンを倒した記憶とか達成感とか、俺には皆無ですけど…


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