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7 野獣料理

 ほんとうに何してくれてんだビーバー野郎。

 体力は無傷でも、俺は心臓に毛が生えていないんだ。

 少しの爆破で、寿命が軽く15年は縮むんだよ!

 はあ、屍骸に難癖付けたところで、得られるのは虚しさだけ。

 もう気にしない。

 とりあえず、頂こう。

 いただこう。

 いただだ……こう。

 う、なんかむず痒い。

 なんだろう。

 俺が俺じゃないみたい。

 まさか、俺、本当に心までも魔物になっているわけじゃないよな?

 まっさかー。

 んなわけないない。

 …ない、よな?

 バリッボリッ、と音を立てて吸収。

 毛皮を剥いで、肉と骨を小分けにしつつ。

 バリ、ムシャムシャ。

 うん、焦げ臭い、気がする。

 味もよくわからんし、星、マイナス一つ。

 まあクオリティ求めてないからいいものの。

 さて、行こうか。

 こんなところでじっとしていても始まらん。

 餌を、糧を見つけないと。

 俺の精力も結構ぎりだ。

 欲張りの効果で、空腹速度が異常に速いから何とかしないと。

 でもどうだろう。

 このまま行ったら、なんか強敵と遭遇しそう。

 そんな気がする。

 勘だけど。

 だから聡慧さん、ちょっといいかな?


【いかがなさいましたか】


 この石、どういった代物なのか教えてもらうのと、これを持ち運ぶ方法を聞いてもよろしい?


【・爆弾石 濃厚な熱を持ち、少し傷をつけることで爆発する】

【取得には、爆弾石の周りの岩石を掘らないといけません。所持については検討します】


 爆弾石。

 そのまんまか。

 まあわかりやすくて結構。

 で、その石を傷つけずに、化石のように運ぶのが鉄則と。

 むずくね?

 んー。

 岩掘ろうと頑張ったら、なんか取得しないかな。

 ということで、手を爪のように…お、おおお!?

 なんかどこぞの鬼の手みたいだ。

 妖怪もびっくりよ。

 右手が膨張し、先が爪のようになった、黒一色の闇のクロ―。

 それを振りかざす、岩に向けて。

 するとザクっと音を立てて、見事岩に亀裂を入れることに成功。

 うおお、これすげえ。

 でも、これは純粋な鋭利が物を言っている気がする。

 攻撃力がゴミ同然の0だからか、土木作業のように手に力が入っている感覚がない。

 うーむ。言わば、貧弱な人が包丁持ってる感じ?

 そう考えていると、聡慧さんからお告げが。


【スキル「採掘」取得。熟知して、スキル「掘削」を取得】


 なんか猛スピードで熟知されて、上位スキルになった。

 そもそも、聡慧さんがどうやってスキルを育ててるのか知らんけど、これってズルだよね?

 普通はなんかこう、魔物を倒して経験値を稼ぐとかそんな感じなはず。取得してすぐ成長ってどんな課金プレイだよ、インフレかよ!

 まあ、いいさ。

 俺の得になっているんだし。

 で、それは置いといて。

 待望の攻撃に使えそうなスキルじゃないか?

 これで、攻撃力が無くても敵を切れたりして。


【・「掘削」 岩を好きなように削ることができる。岩以外には効果が乗らない】


 オウ…

 何という期待外れ。

 聡慧さんってやっぱり無能では?

 いや、そんなことないな。

 ごめん、聡慧さん。

 俺の感覚がおかしかったわ。

 だって、生まれてすぐ、ガイドがついてて、物理攻撃が利かない。

 秒でスキルがフルレベルになるようになった。

 今思えば、能力査定…いや、あれでもまだ未熟だった。

 聡慧なんてスキル。

 恐らくだけどそんなにみんな持ってないと思う。

 能力査定はあったとしても。

 あの時、聡慧誕生の時。

 俺は多分死にかけた。

 でも、何らかの作用で生き残った。

 アレこそまさに奇跡。

 そのお陰か、能力査定は化けた。

 でもなんで生きてたんだろう?

 そういや、紋のお陰かなって想像していたような。

 ちょっとステータスプリーズ。


――――――――――――――――――――――――――――――――

 ステータス シャドー Lv3


 攻力0

 防力2

 体力10

 魔力21

 精力43

 俊敏27


 紋:不屈の影・欲張り


 スキル:聡慧・体力即時回復・魔力即時回復・透化・物理攻撃無効・火無効・光無効・存知・掘削


 P0所持中


――――――――――――――――――――――――――――――――


 不屈の影。

 これ、多分シャドー専用の紋じゃないかと。


【・紋「不屈」 体力全回後、死になる攻撃を受けたとき一度だけ体力が残り瀕死になる。瀕死の状態で、持続ダメージでない攻撃を受けたとき、防力が1000倍になる】


 これか!

 忘れてて調べてなかったわ。

 でもこれは本当に便利だな。

 その節はありがとうございました…

 そしてなるほど、専用と言うより、「不屈の影」の「不屈」の部分が紋なんだな。

 さてさて、長い間吟味していたかな。

 動こう。

 生きるために。

 んで、くり抜きまして、慎重に手に持っているこの爆弾石。

 聡慧さんどうしたらいい?

 いわゆるアイテムボックスとかない?


【物を収納、放出するスキル「魔吸収」がLv5で使えます。もしくはPを500使うことでも取得が可能です】


 なん、だと。

 まだ先か。

 Pの取り方もろくにわかってないからな。

 とりあえず、この一つを持っておこう。

 投げりゃ手榴弾以上の代物だし。

 いざという時の奥の手になる。

 欲を言えば、その魔吸収とやらで、10個は所持したかったが。

 行くか。

 俺の冒険はまだまだ、続く。

 そう、続く、はずだ。


『ズシズシズシズシズシズシズシ』


 滑車のように足を回して近づいてくるものがいた。

 恐らく、あの爆音を聞いて駆け付けたんだろうけど。

 まあそいつは少し見上げるほど結構大きい。

 そして色が独特。

 三本の途轍もないほど長い角に、黒い筋が入った黄色い眼球。

 石化を使い、高速で走り、光る魔物。

 その進化個体か、成長しただけか。

 つまりその威圧感に気圧されそうになっているんだよ、俺は。

 聡慧に調べてもらう。

 それは聡慧も想定済みで、すでに行っていた。

 査定結果は。


――――――――――――――――――――――――――――――――

 ステータス バビリアエルリザード Lv10


 攻力48

 防力100

 体力238

 魔力482

 精力321

 俊敏302


 スキル:石眼・毒皮膚


 P0所持中


――――――――――――――――――――――――――――――――


 まごうことなき強者。

 バビリアリザードの平均レベルは20。

 進化することでレベルは統合されて1になるので、この個体は、その20以上の先が幾つあるかもわからないレベルに10レベル加算され、少なくとも30では効かないレベルとなる。

 ただの成長値だけでもこの差。

 このとき彼、その化け物との間に大きな隔たり感じけり。

 果たしてシャドーは生き残れるだろうか…


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