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☆プロローグ

♢ この書を開いてくださり光栄の極みです。

もしあれば、感想・辛口コメント・評価・スキルなどなど、どしどし打ってください。それを糧に、吸収し、磨き上げていく所存です。

拙き箇所があれば推敲・改稿するので、宜しくです。

/(. - .)\

 人々を助ける勇者と、狩る魔王。

 彼らの戦いは一万年以上続いている。

 それはあまりにも長く、辛い。


 勇者は一人、魔王は十人いて、必ずしも全ての魔王が勇者に敵するわけではない。

 勇者も魔王も一万年以上生きているが、若干勇者の方が若い。

 高齢、でもその肉体は老いることを知らない。

 若き青年は、いつでも悪事を働く魔王を滅すべく戦っている。

 そして魔王はその性格もバラバラなため、傍観したり、好戦的だったり、欲がありすぎたり、なさすぎたり。

 時代を気にすることなく、思うがままに生きている。

 でも、中にはとてつもなく悪事が好きな者がいて、その者は幾年も勇者と戦い続けてきた。

 その戦火は、あちこちに注ぎ、今もなお止まるところを知らない。


 この世界には、魔力があった。

 地を、水を、空を、果ては宇宙までも微粒だが流れる、力の元。

 この世界に住む者はみな、この元素的物質を取り込むことができる。

 そしてこれは複雑な現象を表現する。

 魔力を操れるか、操れないか。

 それだけで、生き方が随分と変わってくる。

 扱える者は、知識を蓄え、その力を人畜有害に振るい、扱えない者は、生活的知識を身につけて、物を育てたり、売買したりして、生活した。

 適材適所を目指して、皆必死に今を生きていた。

 そして、魔王と勇者の戦いも、最後の仕上げ。

 クライマックスを迎える。

 勇者が放った最大級の魔法。

 それは彼の魔王に一直線に飛び、その胸を穿った。

 魔王は光と共に力を損ね始め、やがて小さな玉となって、その意識を絶った。


 封印魔法。

 勇者にしか扱えない真技であり、とてつもない威力を持っていた。

 しかしその力は矛先を失い、魔王が玉になった瞬間、爆ぜた。

 旋風を巻き起こし、勇者本人も飛ばされた。

 玉は拾うこと叶わず何処かに行ってしまう。

 それでも勇者の勝利に変わりはない。

 彼は浮く身に満悦感を残して地面に落ちる。

 まあ、そんなこんなで勇者は街へ戻り、祝杯をあげられ、称賛され、当然皆に認められる強者となった。


 彼の身は衰え始めた。

 長すぎる戦いにおいて時を止めていた体が蝕まれ始めたのだ。

 目下世界の敵だった魔王を止めてくれた彼の息が、絶えるのは時間の問題だった。

 そこで彼は自分の子息にこの力を受け継がそうと考えて、ある女性と結婚。

 生まれた子は凄まじい力を持ち、父は使命を果たしたとばかりに亡くなった。

 その故人は作戦成功に笑みを浮かべているようだった。


 ……まぁ、そんなことは一先ず置いておこう。

 今回お話しするは、

 その旋風による影響を少なからず受けた、

 地球と呼ばれる場所の、

 何の変哲もない少年の物語である。

 どう影響したか。

 それはいわゆる神様とやらしか理解出来ないような事象が関わっている。


 実は、かつての封印魔法の旋風が時空に干渉した。

 何にとは表現できない亀裂が、手を伸ばす。

 干渉は、地球のとある物体に力を発揮。

 意思を持ったとしか思えない軌道を描く白い機体。

 それが、この物語の主人公を殺した。

 その後彼は、知らぬ土地で目を覚ます。


 わかっただろうか。

 まあ、要するに。

 俗に言う、「彼は転生した」、ということだ。






        ⬜︎⬜︎⬜︎






 待て待て待て、

 どうなった!?

 死んだのは覚えてるんだよ?

 で、今目の前にいるこいつら何?

 暗くても、少しは見える。

 この洞窟とこの有象無象。

 俺と同じくらいの大きさの体に、異様に発達した二本角。

 目が大きくギョロっと辺りを見渡していて、グロテスク。

 そんなトカゲ。

 怖いって。

 気づいた当時これ?

 どういう拷問?

 俺が何したってんだ。

 というかこんな生物地球にいたっけ?

 居なかったよな?

 それになんで俺気づかれてねえの?

 こいつら馬鹿なの?

 怖いから早くどっか行って。

 マジで。

 蜥蜴達は音もなく素早く去っていった。

 はぁ、ビックリした。

 ええと、こういう場合、物語じゃ「落ち着け」ってテンションだよな。

 ふぅ、深呼吸ぅ……

 できてるかなこれ?


 ええと、思い出そう。

 まだ慌てる時じゃないはずだ。

 意識がはっきりしてんのが妙にキモい。

 現実なんだよな、ここ多分。

 別に夢であってくれとは思わない。

 だって…死んだから。

 そう確か、ゲームしてた。

 アパートの、俺の部屋で。

 そういやみつりは?

 愛猫のみつりがいねえ。

 まあ、お察しだけどさ。

 だって俺、飛行機に墜落してこられたもん。

 そうだよ、家で派手に事故死だよ!

 気分?

 まさにあの飛行機と同じ角度だわッ!

 ……みつりも俺も死んだんだろう。

 で?

 初期スポーン地点洞窟て。

 アホだろほんとにどうしろと?

 いやマジで何かしらは欲しいわ。

 あっもしかして、いまだに天国か地獄にいるパターン?

 まだ転生してないよーってか?

 よし、待とう。

 1…2…3…4…5…………59…60……

 ば、馬鹿な……

 人一人来ねえだとぉ!?

 ボッチかー。

 はい。

 することないです暇です退屈ですどうにかしてください誰か助けてください。

 悲しいかな。

 悲しいかな。

 もう泣きそう。

 と言うか泣けない。

 しょーもな。

 段々苛立ってきたわ。

 誰かいねーの?


 「ポッ」


 遠くから、何かが視界に映った。

 ……おっ、灯りじゃん。

 よかったわー。

 もうこのままミイラ化すると思ったぜ。(棒)

 ……ん?

 あれ待って?

 灯りってことは人?

 よく見たらあの人なんか西洋の甲冑的な武装してる。

 ハイ、オワタ。

 斬られて死ぬ未来が見えた。

 おーすげー走馬灯だわこれ。(失笑)

 本気で怖いな。

 思ったよりも転生人生短かったわ。

 よし来い!

 正直飛行機のが怖かった。

 覚悟はできてる!


『無視』


 あっ。

 そうっすか。

 今し方俺の緊張が嵩みきったってのにスルーですか。

 そうだよ!

 確かに前世もそんなに影なかったよ!

 学校でも、せいぜい気の合う人(1人)としか喋らないほどに暗かったけどさ。

 まさかそれが引き継がれるとかなくね?

 俺出来るだけ天寿全うしたと思うんだけど、なんで天誅くらってんの?

 確かに超とか極とかが付くレベルのゲーマーだし。

 廃人と言われちゃそこまでだけど。

 ハァ、しゃーない。

 とりあえずここを出よう。

 でも、さっき来た人は洞窟の入り口に帰っているのかな?

 それともこの如法暗夜を進んでいたのかな?

 よーし、俺も行動するかー。


 まず、足は………無いね。 

 手は………なんか微かだけど見える。

 目は………なんとなく暗闇に慣れてきて。

 口は………手に息を当てようとしても感じるものがないし、無いなこれは。

 と言うか、顔に当てた手が消えてまた生えてきた。

 は?

 はっはっはぁー。

 やっぱりこの体おかしいわ。


 首を振ると、視界には水溜まりが入った。

 あ、あれで体が見えるー!

 ……うん、知ってた。

 手がなんか変だったし。

 見えてる俺は黒い半透明物体。

 顔らしいものはおろか、毛から足に至るまで、人として足りないものが多すぎる。

 お分かりいただけただろうか?

 ってくらいには怖いよ何このお化け。

 でもなんだろう。さっきの蜥蜴といい、人といい。

 ここはやはりファンタジーな世界なのではなかろうか。

 でもって推測するに。

 これって闇とか影の魔物ってことか?

 うん、魔物というより、生物として原型とどめてないね。

 俺、転生したんだね。

 なるほどなるほど、完全に理解した。(棒)

 いや、納得はしねぇよ?

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