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【世界樹】
人類に厳しいこの世界にも、救いはある
それが人類の希望たる世界樹だ
各国の王城の中心にある世界樹だが、正しくは世界樹を中心に国があるが正しい
国とは世界樹を中心に同心円状に出来るもの、というか、それしか出来ないとも言える
世界樹の一番の特性は《魔素を吸収して育ち、魔素を消す》と言うことだ
世界樹に近いほど魔素は存在せず、育てた作物も人体に何の悪影響も無い物となる
その為、人類は働き蟻の様に世界樹に魔素の詰まった魔石をせっせと運ぶのだ
【魔法】
魔法とは、魔導具によって引き起こされる現象の総称だ
例えば魔剣型の魔導具で切り裂いた敵に炎を与える魔法
例えば杖型魔導具で傷付いた仲間を癒す魔法
例えばランプ型魔導具に灯りを点ける魔法
といった具合に、魔導具の効果を魔法と呼ぶ
【騎士】
人にはそれぞれ、吸収できる魔素量がある
個人差はあれど、この魔素吸収限度はある程度遺伝する
その為、自然と吸収限度が高い者同士が婚姻を結ぶことが多く、子孫も徐々にではあるが吸収限度が高い者が増える…というか低い者は魔物との戦いで淘汰されていく
魔物を倒した時に人体に吸収する魔素はすぐ魔石に吸わせるのだが、その暇もなく魔素が吸収限度を超えてしまうと昏睡、最悪の場合は死に至る
その為、一般的にBランクと呼ばれる魔物を単独で倒すことのできる許容量を持つ者を騎士、その血筋を騎士爵とし、国が優遇するのだ
何度も限度近くまで吸収と排出を繰り返すと、僅かながら限度が上がる…と言われているが、ハッキリとはしない
市民の中でもそれなりの吸収限度を持つ者は《冒険者》と呼ばれる魔物ハンターとなることが多く、ある程度までの魔物を倒す許容量を持つハンターもまた人々から尊敬され、いずれ自分の血筋が騎士爵となることに憧れるのだ
小型の魔物しか倒せないハンターもまた、より強い魔物を倒すまで耐えられる許容量を持つ日を同じく目指すことが多くなる
つまり、吸収限度の高い者は優遇されると共にその許容量に見合った戦闘力を持つことが義務だと言えるのだ
【祝福】
祝福とは世界樹の精霊《女神マーテル》が与えて下さる力で、魔素に体が慣れて魔素吸収限界が落ちつくとされる10才を迎えた全ての者に、マーテル教会から配られる世界樹の葉を食べることで身に付く魔物と闘う力である
祝福を受けた者が繰り返し魔物を倒すことで、祝福は強化されるとされ、長年闘いに身を置く騎士には人外じみた力を持つ者もいるという
そして、レオンハルト=フォン=グリムワルトは未だ許容量の限界が見えずにいた