第七話 始まりの街
説明回?
〔チュートリアルフィールド〕から転移した先は〔始まりの街〕その中心地にある広場の噴水だった。
石畳の道は中心地の広場から放射状に広がり、その道に沿って石造りの建物が所狭しと並び立つ。そんな風景が町の外周を囲う壁まで続いている。
まさに中世ヨーロッパ的ファンタジー世界観を実現している。この光景を見て感じる事が出来るだけでもこのゲームをやる価値がある。
『さてエキトさん、まず最初に何します?』
最初か…定番はやっぱり冒険者ギルドに行って冒険者登録だろうけど、先程から良い匂いを漂わせてくる屋台の食べ物も気になるところ。
『それなら、屋台に寄ってから冒険者ギルドに行きましょう?どうせ通り道にいくつもありますし、気になった物を食べてみませんか?』
確かにそれで良いな…って
「シアさん?なんでしれっと、今まで以上に的確に心を読んでおられるんですか?もはや会話になってますよ?」
『アレ?言ってませんでしたっけ?』
「いや、確かに心が読めるって言ってたけど」
『あ、いえ、そちらではなく。〈精霊言語〉などの精霊に関係するスキルを持っていない人達には、精霊を見る事は出来ないんですよ?』
「聞いてないよ?」
『ごめんなさい…ともかく、そう言う訳ですのでエキトさんが私に話しかけているこの状況は、他の方から見ると何も無いところに話しかけて会話している可哀想な人に見えてしまうんです』
なん…だと…
『はい、ですのでその様に心の中に留めておいた方がよろしいかと。ちなみにですが、私の声は私が指定した人だけに聞こえます、基本はエキトさんにしか聞かせないのでそのつもりでお願いします。』
うん…まぁなんだ、知り合いに会う前に教えてくれて良かったよ。ありがとう
『いえいえそんな…お詫びではありませんが冒険者ギルドまで案内します。さ、行きましょう。』
すぃーー ふわふわ ちょこん
シアさんや、なぜ肩にお座りに?
『良いじゃ無いですか、ここの方が私の声がエキトさんに良く届きますし。髪の毛のここ掴んでも大丈夫ですか?』
別に構いませんよ、それじゃあ美味しい屋台目指して出発!
『最終目的地は冒険者ギルド…ですよね…?』
◇ ◇ ◇
冒険者ギルドへの道すがら、通りの屋台を冷やかしつつ俺の現在置かれている状況についてシアさんに聞いている。
つまり俺は最大MPが43050を越えない限り新しい精霊との契約は出来ないと?
『勿論です。それまでエキトさんのMPは0のままですからね、テイム系は仲間にしてもMPが減る事はありませんが〈調教〉スキルの発動にMPを使うので動物を仲間にするのが難しいですね。可能性があるとすればゴーレムですが、チュートリアルでも言った様に入手が困難ですし、ゴーレムが出回る頃には最大MPが増えてると思います。』
暫くはシアさんと2人で頑張るしか無いか。所でデメリットてそれだけなの?シアさんの強さ的に〈勇者〉とか〈魔王〉みたいに色々制限されるのかと思ったんだけど。
俺の質問ハッとした表情をした後に申し訳なさそうな表情へ変わるシアさん。
『実は言い忘れていたデメリットが2つ程ありまして…1つ目に私はPvPに参加出来ません。この見えない特性と心が読める特性はPvPでは強すぎるんです。エキトさん自体は参加できますが、私はその瞬間から終わるまでただ見てる事しか出来なくなるので注意して下さいね。』
それは確かに反則だわ…でもそれなら他の精霊使いもPvP出来ないのでは?
『それはAIとしての性能の差ですね、心を読んで話せている私、いえSシリーズと呼ばれるAIが積まれた〈大精霊〉が特殊なだけです。Sシリーズについては今度詳しくお話ししますが、これだけスムーズに会話が出来るのは〈大精霊〉クラスだけ、そして心を読む事が出来るのはSシリーズの〈大精霊〉のみ…と覚えて置いて下さい。』
つまり(相手から見て)指示無しで攻撃をしている様に見えるのはシア達SシリーズのAIにしか出来ない芸当と言う事ですか…それが規制の対象と…
『ですね、そして2つ目のデメリットですが、イベントへの私の参加の是非についてです。コレはそのイベント毎にエキトさん宛に運営からメールが届くので必ず確認する様にとの事です。』
シアさんや、そう言う大事な事は早く言ってくれると嬉しいな…いつか言い忘れで痛い目に遭いそうです。
『以後気を付けます…それと〈勇者〉や〈魔王〉との違いですが、潜在能力で言えば私の方が上です。ですが彼らより私達の方がデメリットが少ないです。その理由は簡単で、力を行使する最終決定権が私、システム側と呼べる精霊にあるから。それだけです。』
勇者達はあくまでプレイヤーなので何やらかすか分からないが俺たちはあくまでシアが強い訳で、そのシアがAIだからデメリットは少なめ…と。
『とりあえず現状の説明としてはこんな感じですかね?わからない事があればいつでも説明しますので聞いて下さいね』
ありがとう、また今度Sシリーズとやらについて教えてくれ。
『わかりました。あ、エキトさんあの屋台のホットドッグ美味しそうですよ?』
シアさんが指さした屋台では1人の少女がホットドッグを売っていた。
ま、肩に座ったシアさんが指さしても見えないんですけどね…
八代部下a「肩乗り精霊…だと…」
部下b「俺は頭に精霊乗せたい」
部下c「私は谷間に…」
近くにいた人達「それは無い」
部下c「あ゛ぁ?」←貧n
戻ってきた八代「abde何でココで寝てるんだ?」
部下c「昨日徹夜でもしたんじゃ無いですか?^ ^」
八代「お、おう」