第四十八話 王都散策④
『見当たりませんね…』
南西部の屋台、南部の食料品店と探しましたがイルさんらしき人は発見できず…
次は可能性の最も低い北西部の飲食店エリア
イルさんが王都で店を開いたなら居るかも知れませんけど…
あまり期待せずに北西部の飲食店エリアを飛び回るシアだったが、第一城壁近くのお店の入り口に
ホットドッグ 300z
の文字を見つけて急停止する。
『ホットドッグ…それにイルさんの屋台と同じ300z…もしかしたらもしかしますね…』
やっと見つけたそれらしきお店にシアはあまり期待せずに入っていった。
◇ ◇ ◇
飲食店の立ち並ぶエリアの角、第一城壁に最も近い位置にあるそのお店は三階建ての小さなお店だった。
中に入るとカウンター席が6つとテーブル席が2つ。ぱっと見ではバーにしか見えないが売っているのはホットドッグだけの様だ。
シアはそんな可笑しなお店のカウンターの中で目的の人物が鍋を洗っているのを確認した。
「可愛いお客さん、いらっしゃい」
『イルさんこんにちは、どうやら無事に〈精霊言語〉のスキルスクロールを入手出来た様ですね?』
「私の事を知ってる?もしかしてエキトの精霊の…シア?」
『はい。エキトさんの精霊のシアです』
「こんなに可愛い精霊だったんだ…エキトは居ないの?」
『エキトさんは今・・・』
他に客も居ないのでエキトが居ない理由やイルを探していた事などを伝えるシア。
『と言う訳でエキトさんと〈精霊言語〉のスキルスクロールが欲しいパーティーメンバーを連れて午後に会いにきますね』
「ん、了解。知り合いのお店まで案内する。そうだシア、ホットドッグ食べる?」
事情説明を終えたシアにホットドッグを進めるイル。
シアはエキトからお金を貰っている事を告げ、6000z分のホットドッグを自分のインベントリに保存したい旨を伝える。
「任せて、少しおまけしてあげる」
『ありがとうございます。そう言えばイルさんはどうして王都でお店をされているんですか?始まりの街を旅立った時には帰ってくる様な素振りでしたけど…』
「あー…実はよく覚えていないんだけど、気付いた時にはここでお店をする事になってた?」
『そうですか…』
よく覚えていない?NPCであるイルさんが?
これは…運営による強制介入があったと考えるべきでしょうね…でも一体なんの為に?
その後イルがホットドッグを作り終える迄の間に幾つかの可能性を考えたシアだったが、正解がわかる訳では無いと考えるのをやめ、イルから33個のホットドッグ(イルがかなりおまけしてシアのインベントリの一枠にストック出来る限界量にした)を受け取ってエキトの元へ戻っていった。
リーサ「♪〜」
アイラ「ご機嫌ねリーサ」
リーサ「それはもちろんエキトさんと2人きりのデート回ですから!」
アイラ「喜んでる所悪いんだけどね、リーサのデート回はシアちゃんのイルさん探しの回になったからリーサのデート回は飛ばされるみたいだよ?」
リーサ「なんで⁈」
シア『あらすじに書いてある通りこの話はエキトさんと私のお話なので、貴女方ヒロインはおまけなのですよ』
リーサ「そんなぁ…」




