第四十三話 vsジャイアントベアー ②
戦闘開始から約20分、エキト達はジャイアントベアーのHPの半分を削る事に成功していた。
HPを半分に減らしたジャイアントベアーに対し、エキト達3人の損耗は軽微。
リーサが相手の攻撃を逸らしきれずに負傷した程度で、その傷も既にアイラの《ヒール》によって回復済みとなっている。
「負ける気はッ…しませんけど、時間かかりますね!」
「そうだね!僕も攻撃に加わってるのに、まだ半分しか削れてないよ…」
リーサがジャイアントベアーの攻撃を引き付けている間にアイラによる攻撃も行われているが、それでも攻撃力不足は否めない。
とはいえ、これ以上DPSを上げる手段が無い以上もう20分かけて残り半分のHPを削り切る他ない。
前線に女の子を配置してお前は何をしてるのかって?勿論チマチマと弓による攻撃ですよ?
これでもいろいろな部位に当てて何処が1番ダメージが通るのか調べて、効率よくダメージを稼ぐ努力はしてるんですよ?
今の所1番良いのは腹、次点で足。
俺はてっきり頭が弱点だと踏んでいたのだが、寧ろ頭は1番ダメで、矢が弾かれてしまうのだ。
シアさん曰く、『頭に矢が刺さらないのは矢の貫通力不足だと思います。』だそうなので、リリさんに貰った矢を使えば大ダメージを与える事ができるかも知れないが、三本しか無いために実験に使うのは躊躇わられた。
◇ ◇ ◇
その後順調にジャイアントベアーのHPを減らしていたエキト達だったが、敵のHPがレッドーンに突入した時問題が発生した。
「え?ちょ、こっち向けっての!」
「エキトさん!ジャイアントベアーが私達を無視してそちらに向かってます!」
「残りHPが少なくなるとヘイトを無視して後衛に襲い掛かるタイプだったか…」
リーサ達に背中を斬られながらもこっちに向かってくるクマ公。
最後の悪足搔きか…
よろしい、正面から受けて立とう。
ここでふざけすぎると死亡フラグが立つと学習済みのエキトは、リリさんに貰った試作品の矢二本を使い、《パワーショット》と《ダブルショット》の同時発動という現時点で最も火力の出る一撃で、ジャイアントベアーの迎撃を試みる。
「この場合アーツ名は何になるのかな…んー、まぁ良いやショット!」
悠長にカッコいい名前を付けている余裕は無いのでとりあえず矢を射る。
放たれた2本の矢はしっかりと熊公の頭と腹に命中、一気にHPを削る…
やったか?
エキトの位置から熊公のHPバーを見れば確かに0になっている様に見えただろう。しかし実際にはジャイアントベアーのHPは4残っており、まだ倒せていなかった…
「まだです!倒せてません!」
「ってここに来てスピードが上がるのはズルイでしょ!」
俺の攻撃を耐えた熊公は俺に向かって走り出し、リーサとアイラの間合いから外れてしまう…
俺はとっさに矢筒から一本、矢を取り出して構えようとするが間に合いそうに無い…
そういえば「やったか?」はフラグだったな…
俺は熊公の攻撃を喰らうと覚悟したが、熊公は別の事を考えていたらしい。
走ってきたジャイアントベアーはそのままエキトの脇を抜け、後ろで隠れる2人へと向かっていった。
「野郎、俺じゃ無くてララさんとリリさん狙いか!」
「嘘でしょ⁉︎」
「ノア!」
ララさんとリリさんがジャイアントベアーから距離を取ろうとするのと、エキトが悪態を吐きながら後ろを向いて矢を放つの、そしてリーサの指示でノアによる土壁が形成されたのはほぼ同時だった…
結果
エキトの矢を背中に受けHPが0になったジャイアントベアーは、ノアによって形成された土壁に顎を打ち付ける形で倒れ、ポリゴンとなって消えていった。
a「おー倒した」
b「最後ノアがストーンウォール使ったけど、それより前に倒せてたな」
c「3人ともよく頑張ったわね」
八代「お前ら今忙しいって分かってる?」




