第三十七話 新装備
「やあエキト、一昨日振り。竿はまだ出来ていないよ?」
「今日は竿では無く弓と防具を受け取りに来たんです…」
「いらっしゃいエキト、防具の方はちゃんと出来てるわよ?」
「弓はちゃんと出来てる、出来ていないのは竿だけ」
後日、俺は再びララさんとリリさんの露店に足を運んでいた。
今日は頼んでいた防具と弓の受け取りで、午後からはリーサ達と試射を兼ねて〈南の森〉へ行く約束をしている。
「じゃあこれ、レザー装備一式ね。魔猪皮製だから防御面では期待できないけど、最大MPは1000程上がる様になっているわ。」
ララさんはそう言って俺に防具一式を渡してくれる。
頭、胴、腕、脚、靴の5つ。
胴以外はそれぞれ防御+2・MP+150。胴は防御+5・MP+410の補正が付いていて、合計で防御+13・MP+1010上昇した。
「胸当てだけ内側に銅板を仕込んでおいたわ、気休め程度の性能だけど、無いよりはマシでしょう?」
これはアレだね、魔物狩人世界の初期装備って感じでカッコいいね。
『・・・・・』
現代人にファンタジー装備を解説する機会なんて無いんです。例えを出さなければやってられません。語彙力も無くてごめんなさい。
『程々にして下さいね』
うっす。
「それとただの見た目装備なんだけど、コレもあげる」
新しい防具を装着した俺を見て満足そうに頷いたララさんは、濃い灰色の布を差し出してくる。
「これは?」
「ローブだよ、エキトは精霊使いって言ってたから、精霊メインで戦うならその格好よりローブの方が良いかなって思って作ってみた。」
「なるほど、そう言う事ならありがたく頂戴しますね」
せっかくなのでローブも装着。
これで杖もって森で暮らせば賢者になれそうだね…顔が若すぎるか?いやでもエルフだからセーフセーフ
シアさん、ローブありと無しどっちが良いと思う?
『私はどちらでも好きですよ?でも、あえて言うならローブありですかね…』
そっか、なら普段からローブも装着しよう。
◇ ◇ ◇
「それじゃあ次は私。はいコレ。〈トレントの木材〉と〈コドモショウトカゲの骨〉で作った複合弓〈ウッドショウMk-Ⅲ〉今の私の最高傑作だから、変な使い方して壊さない様に…ね?」
〈ウッドショウMk-Ⅲ〉よろしくな。
Mk-Ⅲって所が良いよね、ナンバリングにMkを付けるだけでカッコ良さ5割マシ。
それにこいつの前に作られたMk-IとかMk-IIを参考に改良がなされたMk-Ⅲとか、Mk-I以前に作られた試作型とか有ったら…なんて考えたら心躍るよね?
Mk−とはそんな可能性が秘められたネーミングなのだ。
『・・・・・。』
リリさんなら分かってくれる筈です…
「リリさん、これからも俺の弓は貴方が作って下さい。試作段階でも必要な素材が有れば私がどうにかしますので。」
「それは助かる。早速だけど1つ頼まれて欲しいことがある。」
「構いませんよ?何が必要ですか?」
「アイテムじゃ無くて」
アイテム以外?
「リリを王都に連れてって?」
どこからツッコミを入れれば良いのかな…
「えっとその…リーサとアイラに確認取らないとなんとも…」
「自信無い?」
『・・・・・』
俺がどうしたら良いのか分からないで居るとララさんが助け舟を出してくれる
「リリ、その辺にしときなさい。あと、連れて行って欲しいのは貴方だけでは無くて私もよ?」
「ララさんも?」
「ええ、実はリーサとアイラには伝えてあって、「エキトが良いなら良い」って返事を貰っているの。だからエキトさえ良ければ貴方達のボス攻略に便乗させて貰いたいんだけど…」
「そうでしたか。それなら構いませんけど、私達で良かったんですか?もっと強い人に頼んだ方が良いんじゃ無いですか?」
「自信無い?」
「リリ…まぁそれは強さより人柄で選んだから…ね?もしデスペナしても気にしなくて良いから、お願い出来ないかしら?」
シアさんどう思う?
『若干気乗りしませんが、良いんじゃ無いですか?2人の生産能力が上がればエキトさん達が強くなるのにも一役買います。それに、例えジャイアントベアーが相手でも、あの2人を守るだけならノア1人居れば十二分です。』
それなら連れて行っても普通に戦える…か
「分かりました。2人を王都に連れて行きます。」
『ララさんよりリリさんでしたか』
「エキトとリリさんの思考回路が似ていたとはね」
「どうするんですか?」
『どうもしませんよ?決めるのはエキトさんですし、この空間に居ないと言う事はまだ大丈夫ですから』




