第十二話 運営2
八代と愉快な仲間たち
私は八代の部下c名前はまだ無い。
私の主な仕事はプレイヤー同士のトラブルにGMとして仲裁や制裁をする事。
そんな私の仕事に、つい最近新しい業務が追加された。「ゲームバランスを崩し兼ねない公認プレイヤーの保護観察」だ。
今の所この域に達しているのは1人だけで、Sシリーズと呼ばれるAIを搭載し、精霊達の中で最も強い〈大精霊〉を最初の相棒として選んだ幸運少年で、プレイヤーネームは〈エキト〉。
ただこの子に関しては一応監視対象と言うだけで実際にゲームバランスを崩すかと聞かれれば微妙な所。
理由は、精霊が強いだけで彼自身は寧ろ普通より弱いと言うのがまず1つ。
2つ目は、彼が常にトップを狙う様な向上心の塊の様な少年だったら問題が多発しただろうが、今の所ゲームより夕飯の準備を優先する家庭的な良い子だからだ。
なのでこの保護観察部は他の業務を行いつつ、余裕のある時に観察する息抜きの場となっている。
◇ ◇ ◇
「見ていられないわね…」
「どうしたc?そんな悲しそうな顔して」
「あ、八代さん、これ見てくださいよ」
「んーどれどれ…あー〈エキト〉がログアウトしたのか…」
「はい、それでシアちゃんは1人FWOの世界に残される訳じゃ無いですか、エキトさんが消えてから徐々に表情が暗くなっていって…今日2人で通った道を往復したりを繰り返してまして…」
「それで最終的にあのイルとか言う料理人の頭の上で俯いてるのか…」
流石の八代さんですら苦笑いを浮かべる。
「流石にここまで酷いのは最初だけで、そのうち慣れるとは思うんですけど、どうにかなりませんかね?」
「でもこればかりはどうしようも無いぞ?その感情を無くしちゃ、あの子があの子で無くなってしまう。」
「それは分かってます。分かってますけど、だからこそ見てられないと言うか…」
「まぁ、言いたい事は分かる…」
周りで聞き身を立てた同僚も頷いている。
「あ、あの!」
皆んなでうんうんと頷いていると、1年後輩の同性の同僚、部下fが話に入ってきた。
「エキトさんがログアウトしている間、シアちゃんを現実世界にダイブさせる…と言うのは出来ないのでしょうか?」
abcde八代「「「「「「それだ!」」」」」」
a「プレイヤーがログアウトしている間、使役している動物や精霊を現実世界のロボットにでも宿らせますか」
b「SシリーズからA…いやBシリーズまでのAIならロボットの操作程度なら出来るはずです。そこらのペットロボットより余程愛着が湧きますし、コレは行けますよ」
d「確かエキト少年が使っているDREAMはouネットワークのキャンペーンの景品でしたよね?その情報を元に試作品のテスト依頼と言う形で世間より早く押し付ける事も可能です。」
e「とは言えロボの生産には時間がかかる、すぐには無理では無いか?」
八代「俺が社長に直談判してくる、今すぐ家庭用愛玩ロボット関係の会社全てを買収しろとな。そうすれば1から作るより断然早く事が進むはずだ」
c「それでも最短で一年近くかかってしまうのでは無いですか?買収は必ずしてもらうとしてもそれだけでは問題の早期解決には不十分ですよ」
f「え?え?そんな簡単に決めちゃって良いんですか?私はただ、プレイヤーのスマホアプリに専用のお部屋とか作れないのかなって思っただけで…」
abcde八代「「「「「「それだ!」」」」」」
c「ロボの開発を進めている間はスマホで我慢してもらいましょう」
a「それならプログラマー連中を時間加速◯倍の空間に入れれば今月中にでもβ版が出来ると思います。」
八代「決まりだな、ちょと社長の所行ってくるからabcfは今のを企画書に纏めておいてくれ」
abc「ハッ‼︎」
f「え?え?ふえぇ〜〜〜〜」
数ヶ月後、部下fの給料が倍になったとかなんとか…
イル「なんだか風が心地良い…」




