第十一話 相棒の実力
先程と同程度のホーンラビットは直ぐに見つかった。
『チュートリアルで説明した〈精霊使い〉の戦い方は覚えていますか?』
自分で精霊に逐次指示を出して相手を攻撃するか、精霊に全てお任せで攻撃してもらうかですよね?
精霊の〔格〕が高いほど精霊魔術の命中率が高くて、全てお任せの判断もより的確な行動をしてくれるとか?
『その認識で大丈夫ですよ。そしてエキトさん、貴方の相棒である私は〔格〕は最上位である〈大精霊〉です。後は分かりますね?』
はっ!全てお任せするであります!>
『はい。任されました。』
シアさんは若干の苦笑いを含んだ笑顔で頷くと、ウサ公IIへと向き直る。
『ここのホーンラビットならHPは…くらい…のはず。Lv5の〈風〉…だと*%#h;a<までしか使えませんか…なんの問題も有りませんね。』
一部上手く聞き取れ無かったが問題はないらしい。
そしてシアさは右手を上げ、その手をホーンラビットのいる方向へ振り下ろす。
『《*%#h;a<》』
放たれたのは風の刃。
シアさんの技名はシステム的に隠されている様で聞き取れ無かったが、あれは俗に言うウィンドカッターだろうか?
シアさんの放ったソレは真っ直ぐにホーンラビットへと飛んで行き、ウサ公IIの頭と胴体をサヨナラさせてポリゴンへと変える。
「お、お見事」
一撃ですか…そうですか…俺の存在意義がピンチですね…
『ありがとうございます。ですがLv5では威力不足ですね…』
いえ、それ以上はオーバーキルかと…
〈!〉ホーンラビットの肉×2
〈!〉ホーンラビットの角×1
お!レベルアップは無かったけど、目的の角は落ちた。
『目的達成ですね。しかしレベルアップしませんでしたか………。エキトさん、16時までまだ少し時間が有るので、もう少し狩りを続けて良いですか?エキトさんは何もせず、私の魔術のみの戦闘で検証せねばならない事がある様なので』
よくわからないけど、やりたい事があるならやろう。敵はもう一度ホーンラビットで?
『いえ、敵の種類は何でも良いので検証が終わるまで片端から狩りましょう。大丈夫です、5匹も倒せば分かるはずですので』
◇ ◇ ◇
それから狩りを続ける事10分、全て一撃で仕留めるシアさんぱないです。
15分で6体の魔物を狩りました。内訳はウサ公×2 シカ×2 飛んでた鳥×1魔猪×1。全員頭と胴体グッバイポリゴン。まさに殺りk(ry 無双してました。
そして検証とやらの結果
『やはりエキトさんに経験値が入っていませんね…』
確かに、まだLv2だし6体も倒せばLv3になっててもおかしく無いはず…
『これもデメリットなのでしょうか?それともバグ?一度運営に確認を取ってもらっても良いですか?』
確かにこれがバグなら死活問題だ(主に俺の)バグ報告ページから運営に問い合わせる。
◇ ◇ ◇
運営からの返信を待つ間に更に2体、頭と胴体にお別れしてもらったが、俺のレベルが上がる事は無かった。
〈!〉FWO運営:エキトさんへ経験値が加算され無いのはバグではありません。正式契約である最大MP43050を達成するまでエキトさんに個体目〈シア〉が獲得した経験値が加算される事はありません。
だそうですよ、シアさん。
『運営もやってくれますね…いえ、仕方ないですね。暫くの間、私の役目はエキトさんのサポートですね』
今日はもう時間だから終わりにするけど、明日は友達と一緒にやる予定なんだ、その時頑張ってレベリングと戦闘の練習をするよ。
こうしてエキトのFWO初の狩りは終了した。
その後始まりの街に戻ったエキト達は冒険者ギルドで依頼達成を報告。
ちょうどリアル時間16時頃だったのでログアウトした。
八代「精霊使いの経験値ってどんな計算なんだ?」
部下b「戦闘終了時に、精霊の得た経験値とプレイヤーの得た経験値を足して、精霊がプレイヤーの指示で動いていたなら1:2、精霊のオート戦闘なら1:1の割合で割り振られます」
八代「だから〈エキト〉に経験値が入らなかったのか…」
部下c「エルフの強みである魔法関係を封じられた状態でのレベリングを強いられますから、苦労しそうですね。」
部下a「物理攻撃系アーツの発動に必要なSPが種族的に低いのも痛いね…」
八代「ま、大精霊を得た代償だ、頑張りたまえ」




