16話 待ち伏せ
約一年で16話というクッソガバガバな投稿ペースなので今回からペースを早めようと思います、サボりません。失踪だけは絶対しません
あれからといったもののカイトたちは特に何もせず、ある程度ロス教団を警戒しながら余暇を過ごした。
そして出発当日の朝。
カイトの最近にできた日課である朝の懐中時計のネジ巻きから始まる。
顔を洗い飯を食い、歯を磨き終えたところで集合がかかった
「よし!今日の予定を確認しよう!カイト、地図!」
リーダーを任されると張り切るタイプなのかジェーンがいつもより生き生きしている
「地図?..えーっと....はいこれで合ってるな?」
カイトは図書館でみた地図をノートで出し、広げた
「うん!これであってるよ、え〜っとどこいったかな?...」
ジェーンは次の目的地を指探している
「あったあった!次の目的地【ソラック】だよ」
「ソラック?」
ジェーンはここ、ツーソンから大体南西に位置するところを指差した
「一体どんなところなんだ??」
当然の疑問である
「え?うーん、どんなとこって言われてもねぇ...あぁー...」
必死に思考を巡らしたが諦めたらしく、ジェーンはゼロに視線を送る
「え?オレ?ん〜っと....まぁ..うん、そんな感じのところさ!」
ゼロも何も出てこなかったらしい
「要は何もないってことか」
(日本で例えると福井県ってとこかな?)
「そーいうこった、ど田舎だ」
(ひどい言われようだなぁソラック...あ、そうだ)
「なぁジェーン、俺らが乗る馬車ってやっぱ他の人も乗るよな?」
カイトがジェーンにおもむろに質問した
「うん、たとえ乗客はいなくても御者はいるだろうね」
「俺考えたんだけどさ、【多分だが絶対】に敵は馬車での移動中襲ってくる」
「.........?【多分だが絶対】?」
「多分絶対だ」
「それはどっちなの?」
ジェーンは謎を残すのが嫌なタイプなのか追求してくる
「いやだから多分絶対だ、言い方を変えると大体75%ぐらいだ」
「最初からそう言ってくれたまえよ...ていうか意外と確率低いのね【多分絶対】...」
「まぁ実際オレもそこを襲ったしな結構ありえるぜ、【多分絶対】にな」
ゼロは夫婦漫才から話をもどした
「んで、わかってて一般人を巻き込むわけにもいかないだろ?そこでだ、馬車を買おうと思う」
カイトはゼロに続けて話した
「え?でもたしかここで馬は買えないよ?乗合馬車しかないよ?」
ジェーンはキョトンとした顔でこちらを見た
「そうなの!?....いや大丈夫だ!」
「?」
「高い金積みゃ解決だろっ!」
カイトはノートをトントンと指で叩き答えた
「うわぁ..悪どい!」
ジェーンですら苦笑いである
「まぁ巻き込まれるよりか幾分マシか...?」
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カランカランっと客が入店した音が店の中に鳴り響いた。
男はまたか、今日は客が多いなと思いつつもいつものビジネススマイルでいつも通りの接客をした、だがその客はおかしなことを聞いてきた
「あ〜すいません、今日使わない馬っていますかね」
見たところによると冒険者だ、乗合馬車の店で馬を買えると思っているのか?男は面倒な客に当たったなと思い答えた
「二頭ほど馬は余っていますけど、当店は馬の売買は行なっておりませんので」
「あぁ、知ってる」
じゃあ聞くんじゃねぇよ!と男はキレそうになったが接客業という仕事柄、変な客に当たることも多い、怒りの感情を抑えるのは容易であった
「勿論そこらの馬屋と同じ値段で買おうとは思わない、これで手を打ってもらえないか?」
(だから売れねぇっつーの、今日はアンラッキーデイだなぁ)
客はカバンをがさごそとあさり、重そうに何かを取り出した
「なっ!?」
金、金塊であった、その輝きは数多の人を魅了し、扱いを間違えれば大戦争にまで発展する金塊であった
「あ〜重かった...六つだこれでいいか?」
「え!?い、いやでも上司にぃ.......わかりました
上にはなんらかの事故で馬が逃げたってことにしますのでこのことは内密に。
それと流石に荷台まではキツイですね、馬だけで勘弁してください」
「あぁそれはこっちで工面しよう...あ、そうだ その金塊、早めに換金することをオススメするよ」
「...?んまぁわかりました、明日にでも換金してきます。ではコッチへ..」
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馬を購入し、揺らされてからどれくらい経つだろうか、まだ森を抜けられていない
「あ゛〜暇、暇だよオリヴィエ〜」
ゼロが警戒のために出したオリヴィエがジェーンに絡まれている
「粗悪な馬車でお尻を痛めながら過ごすよりはずっとマシでありますよ」
カイトが出した馬車はサスペンション形式で屋根付きの高性能な馬車であった、ちなみに馬はゼロが出した御者に任せている
(生前なんとなく見た馬車の本がこんな形で役に立つとはねぇ)
「とはいえ暇なのは確かだな カイト、なんかないのか?」
「うーん4人で遊べるものかぁ」
カイトが真っ先に思い浮かべたものはスマ○ラ、マ○カ、などであったがもちろんできるわけない、やろうと思えばできるが接待プレイほど楽しくないものはない
「そうなるとやっぱトランプかな?」
「トランプでなにをやるでありますか?」
「そうだなぁ...」
カイトはこの世界にトランプあるんだ...と思いつつ少し考えたあと
「大富豪って知ってるか?」
(この世界に大富豪があるか不安だが、ないならないでルール説明すればいいか)
「「「大富豪?」」」
(あちゃー、知らないか)
「大富豪って言うのは、まずカードを全員に配ってだな、それを順番に捨てていくゲームだ。
捨てるカードには強さがあって3が一番弱くて2そっから45678と続いていって2が一番強いn
「あぁーっ!!わかった!王様カードだね!」
ジェーンが食い気味に言った
「なんか既知感のルールかと思ったら王様カードか」
「地方によって名前違うんでありますのかねぇ?」
「まぁ知ってるならいいか、追加ルールは何にする?」
「とりあえず下克上は絶対でありますな」
(革命か)
「ビーキラーはみんな知ってるよな」
(ビーキラー?...蜂?あっ...8切りか)
「ンゴェャッヨ砲も欠かせないね」
(!?!?!?!?!?ッッ)
「いや待て!それは知らないぞ聞いたことないぞ!」
「え?知らないでありますか?ンゴェャッヨ砲」
オリヴィエはキョトンとしている
「うん、全然知らないその...ンゲォッヨ法?」
「ンゴェャッヨ砲だ、まぁ仕方ない地方によって特殊ルールも名前も違うしな、このゲーム代わりにイレブンバックでも加えるか」
カイトはJバックかイレブンバックかで軽い議論が起こった中学の始めあたりを思い出した
「んじゃ配るぞ〜」
ゼロは手慣れた手つきでカードを配った
「順番はこの前教えたじゃんけんで決めるよ」
「はいよ〜」
「「「「ジャーンケーン」」」」
「よし、俺、ジェーン、オリヴィエ、ゼロで回していくぞ、特殊ルールはイレブンバック、ビーキラー、下克上、三連縛りと反則上がりなしな」
「「「はーい」」」
さーて俺の手札は?
【♣︎3、♣︎4、♠︎5、❤︎6、♠︎7、♣︎9、❤︎10、♣︎10、♦︎J、❤︎Q、♣︎Q、♣︎A、♠︎2、♦︎2】か....8がないのはキツイか...?まぁさっさと出すか、34は革命、イレブンバック対策で残しとくか)
「❤︎6で」
カイトはカードを中央にぱさりと置いた
「6かぁ〜」
ジェーンは顎撫でながら少し考えたあと、
【♦︎K】を出した
「うー...出鼻挫かれたであります、パスで」
「あー、パス」
(ここでkを出したってことは...6〜Qまでが、無いか、ペアがあるか、8を出し惜しみしてるかだな)
「【♦︎2】で」
「「「パス」」」
(弱いカードから捨ててくか)
【♠︎5】
「おっ!ゴミを捨てられる!」
ジェーンは笑顔でゴミと呼ばれた、
【♠︎6】を中央に捨てた
「【♦︎9】であります!」
「【♠︎Q】だ」
(うーん今A2を失いたくないなぁ)
「パス」
「うーんパス」
「パスであります」
「Qで親になるのか...まぁいい
【5♦︎、5♣︎】だ」
「お、ここにきて初ペアか!
【10❤︎、10♣︎】で」
「うにゃ〜出せない!パス!」
「全然出せないでありますねぇ...パス」
「う〜む...【J❤︎、J♣︎】だ、イレブンバックありかなしか選ぶのってダメか?」
「ダメだ」
「駄目」
「ダメであります」
全員一致である
「う、うーん まぁいいぜ」
(あっ!)
「【10❤︎、10♣︎】で」
「なんの!【9♠︎、9❤︎】」
「おやおやぁ...ジェーンさぁん」
「??」
ジェーンはキョトンとしたが、すぐ気づいた、記号は❤︎と♣︎で縛られていることを
「完全に忘れてたよ...」
ジェーンはカードを回収した
「あっ!自分出せるでありますよ〜
【4❤︎、4♣︎】」
(なにぃぃぃッ!?完全に俺親だと思ったのに!)
「「「パス」」」
「え〜っと【5❤︎】であります!」
「【8♣︎】だ、そのあと【10♦︎、10♠︎】」
(まずい!この流れは上がりコンボする気だ!誰かが出さなかったらゼロは上がる!ここは防ぐ!)
【Q❤︎、Q♣︎】
「う〜〜んどーしよっかなぁ〜....ほい【A♠︎、A❤︎】」
「「「パス」」」
【9♠︎、9❤︎】
「【K❤︎、K♠︎】であります」
「パスだ」
「パスで」
「パスだね」
「【Q♦︎】であります!」
「【2♣︎】だ!」
「かかったでありますな!【JOKER】!そして【A♦︎】」
「う...パス」
「パス」
「あ、私2出せるよ〜【2❤︎】あ〜んど【8♦︎、8❤︎】そして〜【7❤︎、7♦︎、7♣︎、JOKER】ラストは〜【4♠︎】あっがりぃ!!う〜〜〜ん気持ちがいいッ!!」
「げ....下克上しやがった...!」
「や...やべぇ」
「うぅ...」
「下克上にこだわったせいで少し苦戦したよ、でもこうやって場を乱して上がるのはやっぱ気持ちがいい......っ!!オリヴィエッ!」
(急にジェーンがさっきまでのアホ猫面とは違い、真剣な表情へと変えた)
「ジェーンさんも察知したでありますか!」
「あぁ...」
「どうしたんだ...!敵か...?」
カイトとゼロはトランプを放り、ジェーンたちに問いただした
「うん...150メートルほど先に、おそらく待ち伏せだろうね」
(クソッ!どうする...?)