11話 虹色部隊がやってくる!
遅れました
ーーーーーーーサラマ町馬屋-------
「ここがこの町の馬屋だよ」
案内された建物は三階建のようだ
「なんかデカくない?馬屋としては」
「宿屋も兼ねてるからね、まぁ泊まるつもりはないけどね」
扉がギィーっと軋む音と共に俺らは建物へ入ってカウンターへ向かった
(中は思ったより綺麗だなぁ、まぁ接客業だし当たり前か?)
「どのようなご用件で?」
帽子を被った優しそうなおじさんだ
「ツーソンまで馬車を雇いたい」
「ツーソンですか?では1500ユードルですが」
「ほい」
ジェーンは硬貨を三枚差し出した
「ちょうどお預かりいたします、準備に少々時間がかかるのでこちらの鍵の部屋でお待ちください、準備が整い次第お呼びいたします」
店主はそう言い、104の鍵を渡してきた。
「よぉ〜し、行くか」
俺たちは鍵に書かれた番号の部屋に入った
トイレや準備を済ませて部屋のベッドに腰掛けたときジェーンが少し真剣な表情で尋ねてきた
「さて...そろそろ教えてくれないかい、追っ手を撃退した方法をね」
(追っ手...ジェーンの寝込みを襲ったやつだろう 、まぁ彼女には隠す気はなかったし教えるか)
「特殊魔法って知ってるよな?」
(前に言ってたし)
「特殊魔法?モチロン...ってまさかキミ....」
ジェーンは察したようだ
「あぁ、多分ジェーンが思ってる通りだ、俺は特殊魔法持ちだ」
「ナルホドねぇ...それでもよく追っ払えたね」
「これのおかげだ」
そう言いカイトはノートを出した
「うわ!なんだいそれ!?手帳?」
「あぁ、手帳だ、だがただの手帳じゃないぞ」
「ほうほう、一体全体どんな秘密が!」
ジェーンはさっきまでの表情から打って変わって俺の【スクリブルノーツ】に興味津々だ、この辺は猫っぽいなぁ
「試しに木の棒と書いてみます、すると」
いつも通り木の棒が出てきた
「つまりこの手帳...書いた物がだいたい出てくる手帳なんだよ」
「...つまり物資はほぼ無限ってことかい!?正直手帳なんか出したからどんなヘボ能力かと思ったら割と強いのね...」
辛辣なこと言うなコイツ
「どんなことも見た目で判断するのは良くないぞ」
(いつぞや漫画では名前書いたら死ぬノートあるし)
コンコン
扉がノックされたようだ
とりあえず出るか
「はいはーい」
カイトはテキトーに返事をしながら扉を開けたら、さっきのおじさんが出てきた
「お待たせいたしました準備が済みましたのでお早めに待合室へお願いいたします待合室は入り口から左です」
そう言いおじさんは扉を閉めた
「ジェーン!そろそろ行くぞ!」
「えぇ〜お腹空いた〜」
子供かよ!!
「ほら、これやるから行こ?な?」
そう言いカイトはノートでカンパンを出した
ーーーーーーーー
「ここが待合室か」
既に何人かの人は待機していた、男が三人、女が一人か...特徴を言うと筋骨隆々のおっさんとイケメンと 坊主頭と魔法使い風だな
「ねぇカイト、水ある?」
ジェーンがカンパンを食べながら尋ねた
(たしかにカンパンって口の水分奪われるよな)
「ほらよ」
流石に人前で能力は使えないので俺が朝に興味本位で買ったひょうたんの水筒を渡した
「う〜ん口の中がパサパサするけど非常に美味」
「皆さん揃いましたね、ではこちらの馬車にお乗りください」
そう言われ、俺たちは馬車に乗り、ツーソン行きの馬車は出発した
ーーーーーーーー
10分ぐらい経ってるがまだ町の壁が見える、以外と速度は出さないんだな。
あと輸送の仕事もこなしてるのか乗客のものではなさそうな荷物もある
「オイオイ〜盗んだりするなよぉ〜」
イケメン剣士がこっちに話しかけてきた
「いやいやそんなことしませんよ」
(大体は出せるし)
「はは、僕はネルドリップ・ピーサー、三人で旅をしてるんだ!こっちのマッチョがルーカスで魔法使いがエスプだよ」
「「よろしく(頼むぞ)」」
「あぁ、こちらこそよろしく、俺はカイト、こっちのネコがジェーンだ」
「ネコって言うな」
(人間で言う猿って言われるような感じなのかな?)
「あの人は放置でいいの?」
ジェーンが言ってるのはあそこで優雅に昼寝してる坊主頭の人だろう
「あぁ〜...起こしたら悪いし放置でいいんじゃない?」
寝起き機嫌悪い人だったら嫌だし
「そういえば馬車って以外と速度出ないんですね」
徐行より少し速いぐらいの速度だぞ、これ
「バカ言えこれ以上速度上げたら馬が途中でバテちまうんだよ」
ルーカスさんが教えてくれた
「はえ〜そうなんですか」
(カルチャーショック)
ーーーーーーー
しばらく雑談してて、森入ったときそれは急に来た
ザクッ!!
「なッ!?」「っっ〜!?」
(何が起こった!?)
ジェーンが肩に、ピーターさんが背中に矢が突き刺さっていた
「おい!二人とも大丈夫か?」
「あぁ...なんとか奇跡的に急所は外したみたい」
「左腕がもげそうなくらい痛い...」
とりあえず負傷で済んでるみたいだな
「ここで安静にしてて、なんとかするから...多分」
「あわわわわ...」
御者さんはかなり慌ててるみたいだ、よくよく見たら馬も矢で射抜かれるな..
「負傷者もいて逃げられないか...」
(非常にマズイぞ)
「盗賊か....目視で五人はいるな...」
ルーカスさんが剣を抜き、呟いた
「オイオイ、今これどういう状況だ?...ってうぉ!?」
ガンッ!!
坊主頭が転んで泡を吹いている...人間ってマジで泡吹くんだなぁ
(ってそんなこと考えてる暇なんてない!こっちはマトモに戦えるのが更に減って三人だけだ!)
(見たところ鳥獣人の弓兵二人と人間の近接兵が三人か...ロス教団か?いや獣人もいるしただの盗賊かな?だがその割には妙に落ち着いてるし荒々しい印象は見受けないな...まぁいいや)
じわじわと近づいてくる敵にこっそりそしてゆっくり狙いを定めて...
ーーーーーーー
パシュッ!
近接兵の眉間にクリーンヒットしたな
「「「「!!!!」」」」
いきなり味方が倒れて盗賊も驚いてるな、滑稽滑稽
「何があったんだ?...」
「急に倒れましたね?」
ルーカスさんたちも驚いてるな
「俺はあの弓兵を始末してきます!ルーカスさんとエスプさんはあいつらをお願いします!」
「「あ、あぁ..分かった任せろ!(分かりました)」」
そう言いルーカスさんは既に抜いてある剣を構え、敵にじわりじわりと近づき一手二手、
エスプさんは後方から炎の玉っぽい物で援護、しかしそれを阻止するように空でホバリングしている弓兵が弓を構えた。
(あれは俺がやらねば!)
パシュッ!パシュッ!パシュ!!
一人の弓兵が墜落し始めた
(一人はやり損ねちまったか)
「お前らはこっちだ!いや、今はお前と言った方が正しいか?」
ヒュンッ!!
頬に何かが掠めた、弓兵が次の矢をつがえている
「クソッ」
(人がちょっとカッコイイこと言ってるときに!)
トリガーを引き一二三発と弾丸を撃ち込む
が、強烈な突風が発生し、弓兵はその風にのり空を舞い、銃弾を避けた
(な...なんだありゃ!?...風を纏ってやがる台風みてーに...あれも魔法なのか..!?)
だが考えてる暇はなく、カイトは再び引き金を引いた
パシュッカチッカチッ!
また避けられ、攻撃はあらぬ方向へと飛んでいった、そして銃はホールドオープン状態になっていた
「クソ!弾切れか」
カイトは馬車から少し離れ手頃な木の裏に隠れ、マガジンを交換し、弾を再装填した
(まずいな攻撃があたらない、どうやら俺の武器がすごいボウガンってことがバレたらしいな、あと素人ってことも)
遠距離武器の基本は動けば当たりにくいということはあいつは分かってるのだろう
(畜生!どうすれば..)
不意に木の陰からヤツを覗いてみた
ビィィンッッ!
「んひぃぃぃ!?」
矢があと数センチズレてたらカイトは落ち武者みたいなことになっていた
(興奮してたから何も思わなかったけど、冷静に考えたらさっきのやつもやばかったな...)
少し顔が青ざめた
(ど..どうしよう...あの台風みたいなやつを剝がせれば...?..台風?...今こっちが風上で向こうが風下なんだよな、もしかして《これ》使えるんじゃないか?)
そう思いカバンから取り出したのは合間を見て大量生産したブービーボム、そしてノートから手鏡を取り出す
(よし、手筈は揃ったッ!)
カイトは手鏡で敵の位置と味方の位置を確認し、大量のブービーボムを敵の方向にぶち撒けた
「!」
いきなり大量の紙が飛んできて鏡越しでも敵の驚きが伝わってくる、そしてその紙はヤツの風魔法に巻き込まれ始めた
ーーー今だ!!
パァン!!
《点火!》
錬金術を行うようにカイトは大きく手を合わせたと同時にけたたましい爆発音が森中に響き渡った
自分自身も木の裏にいながらも爆発の熱を肌に感じ取った
(これじゃああいつは即死だろうなぁ...)
カイトは、はち切れんばかりにバクバクしている心臓と自分を落ち着かせるべく深胸に手をあて深呼吸をし始めた
「すぅうううぅぅぅ......はぁあぁぁぁ...」
酸素がじわ〜っと毛細血管に入り、脳が冴え、負が息と共に出て行く、そんな感覚をなんとなく感じる...なのに
心拍数はさらに上がる、呼吸は乱れ始め腕は震え、遂にカイトは地べたに崩れ落ちた。
“人を殺した”虫でもゴブリンでもない、人を殺したのだと冴え切ってしまった脳は再認識してしまったのだ
(あぁクソッ!!仕方なかったんだ!やらなきゃこっちが殺されたッ!!怪我人だっていたんだッ!)
精神衛生上のために、本能が言い訳を模索をし始めた時、ふとジェーンの顔が思い浮かんだ
「そ..そうだこんなことしてる暇なんてないんだ..!」
馬車の方を援護しに行こう
「おーい、片付けてきました...って大丈夫ですか!」
二人とも地面を這っていた
「はぁはぁ...すまねぇカイト『もう一人』いた」
「え?」
ザクッ!!
気がついた頃には遅かった、既にカイトの土手っ腹に矢が突き刺さっていた
「ぐうぉぉぉぉっっ!?」
衝撃で銃を落とし、後ろに倒れてしまった
(クソ!マジかよ!!ここまできてこれかよ!)
敵がゆっくり歩いてきている
(あぁクソッ!ここまでなのか...早すぎだろ、俺の第二の人生)
ナイフが目の前まで来ている、カイトは恐怖で目を閉じた
「ふわぁぁぁぁ...ってなんだなんだ!?ストップ!!ストップ!!」
さっきまで泡吹いて気絶していた坊主頭が慌ててる声が聞こえる、
ーーーーーーーーーあれ?
ふと目を開けると、敵はピタッと止まっていた
「え?」
(どういうことなの?)
「お前ら大丈夫....じゃなさそうだな、出でこいドク!」
男がそう言うと、さっきまでピタッと止まっていた敵が煙のように消え、中世の医者のような尖ったマスクを被った者が出てきた
「は?」
(どういうことだ?この坊主頭、敵なのか?味方なのか?)
「すまんが色々質問したいだろうが後にしてくれ、お前らの応急処置が先だ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よし...これで最後だな」
男と医者は俺たちの応急処置を終えた後、一息ついた
(ペスト医師みたいな格好で心配だったが腕は確かっぽかったな)
「じゃーなードク」
そう言うとさっきの医者はやはり煙のように消えた
「エェーっと...質問はあるか?」
「「「「「大アリだよ!!」」」」
「まず、あなたナニモノですか?」
エスプさんが質問した
「俺か?俺の名はゼロ、ゼロ・メジャーマン、結論から言っちまうと俺はロス教徒だ」
「「チッ!!」」
俺とジェーンは臨戦態勢をとった
「おいおい!待て待て!傷口が開くぞ」
「〜ッ!!」
(痛ってぇぇ!!)
すると突然、茂みからガサガサと音が聞こえたと思ったらざっと12人ほどの盗賊が出てきた、そしてセンターにいる一番大柄な男が口を開いた
「おいお前らぁ!!食いモンと金目の物置いて行きな!...ってなんでもう死にそうなんだ?まぁいいそっちの方が都合がいい」
あの女はもらっていいっすか?など下品な会話が飛んでくる
「クソッ!こんな時に...」
本物の盗賊か!!
「まぁ落ち着け、十数人か...余裕だな、出てこい!!“ナイト”」
そこから目にした光景は時代劇の殺陣のような、一方的な蹂躙であった
魔法名:虹色部隊
使用者:ゼロ・メジャーマン
種族 人種 国籍 民族 職業 精鋭 素人 あらゆる者を自分直属の部隊として召喚する能力、出せるのは最大6体までで、一人死亡したらその日は五体、二人死亡したらその日は四体というように部隊が死ぬごとにその日一日の一度に出せる数は減って行くが、日付が変わるとリセットされる、また引っ込めることや交換は可能