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雪の降る夜 3

 アノマを乗せた車が向かう訓練施設は、半径二百メートルほどのドーム状の建物だ。空軍基地の近くにあり、ひときわ異様な外観を誇る。そのためか、近辺住民からは「監視」と「統治」の象徴とも取られる。アノマは施設に着くと早速、目的の場所へ足を急ぐ。

 特殊部隊「第七課」の教官がアノマを出迎え、モニタリングルームへ案内する。歓迎されてもアノマは、口を真一文字に結んだままだ。まるで冷え切った彼女の心を誰も溶かすことが出来ないかのようだ。一方モニタリングルームからは、兵士たちがホログラム相手に戦う姿を観ることが出来た。


「ご苦労」


 そうアノマは一言、教官に告げると着席する。座席からは、兵士とホログラム化された「仮想敵」の、身体能力のパラメータも確認出来る。


「いい仕上がり具合だ」


 アノマは、この訓練施設のシステムにいたく満足して、兵士たちのトレーニングを見守る。第七課は特殊部隊の中でも、特に優れたエリート集団の一つだ。アノマは一度、襟を正すと朱色の唇に笑みを浮かべる。


「見せてもらおうじゃないか。その腕を」


 兵士たちを鼓舞するかのような、アノマのその言葉を皮切りに、トレーニングは始まり、レジスタンスとの籠城戦、密林でのゲリラ戦へと展開していく。


「素晴らしい」


 アノマは「第七課」の戦いぶりがとても気に入ったようだ。悦に入るようにそう口にした。次いでアノマは、教官にアドバイスと改善点について求められたが、満足しきっていた彼女は、ゲリラ戦での様子を格別褒めるに留める。アノマは過大評価も過小評価もしない。「客観」をそのまま形にしたような女性でもあった。

 やがて約一時間に渡るトレーニングが終わると、秘書が告げる。


「宰相との会談が近づいおります」

「分かった」


 アノマは、第七課の面々に敬礼するとその場を離れる。海軍施設、食事会、訓練施設、そして宰相との会談。スケジュールはぎっしりと詰まっていたが、彼女にはそれが心地よかった。


「いいテンポだ」


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