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51話 ラルフール・ルネス

 ──昔は、私だって弱いものを助けたかった。


 この世界を変えたかった。強いものが弱いものから搾取してくどうしようもなく腐った世界を、変えたかったのだ。


 けれど、いつの間にかそれがすげ変わってしまった。


 いつからだろうか。変わってしまったのは。いや、違う。いつからだろうか。自分の中に眠る残虐性が顔を出し始めたのは。


 少なくとも、騎士になりたての頃は、そうじゃなかった。


 誰かのために、戦えていた。誰かのために、剣を振るえていた。そうやって、弱いものを守ろうと何度も言い聞かせて──。


 でも、いつしか、私は狂っていった。平民風情が何の後ろ盾もなく、騎士になってしまったことへの妬み。僻み。


 行われる度を超えたいじめや、虚偽報告。私が何かいいことをすれば、その手柄は全て上司のものになり、上司が不都合を起こせば、私のせいにされる。


 疲れてしまったのだ。もう、居る意味を失ってしまったのだ。


 昔の想いは、とうに崩れてしまっていた。誰かのためにではない、もう私の中にあるのは、ただただ自分のためだけ。


 どうやったら自分が上に上がれるか。それしかない。そのためならば、私は私を否定しよう。守りたかったものを、この手で穢そう。


 そうだ。私はもうとっくに──戻れないのだ。



 あの日、貴族に従い、守るべきものを殺した時から──。






「一応、魔力残滓が彼女への道を指し示してくれるわ。でも……ほんとに、あの人なの?」


「ああ、俺の知る限り……たぶん、エリシャちゃんの誘拐に関する人は、一人しかいない。けど、確証はないし、証拠もない。完全なる博打だ」


 シルヴィアとユキがいる診療所を後にし、シュウがやってきたのはジュンゲルの入り口付近だ。そこに腕を組みながら待っていたのは、王国魔法士が一人、レイだ。


 いつまで経っても解決しないエリシャ案件に関し、シュウは一つだけ手を打たせてもらった。と言うのも、エリシャにわざと連れ去られてもらう、ということだ。


 無論、酷な事は分かっている。なにせ、これから酷い目に遭うかもしれないのに、自ら連れ去られに行けなど、鬼畜の所業でしかない。が、これはあくまでレイとシュウの二人で考え付いた作戦なのだ。


 全てを打ち明けたレイが、まず最初に提案してきたのが今回の作戦の大元である、エリシャが自ら捕まる作戦。その後、レイが悟られないように付いて行き、動かぬ証拠を持って捕まえることが彼女の作戦であった。


 が、シュウはそれを却下。なにせ、それはエリシャ本人が許可するかどうかも分からないし、相手がに魔法士に対しての策があれば、それこそレイだってどうなるか分からない。


 ゆえに、二人の知恵を捻って編み出したのが今回の作戦。あまり変わってないように見えるが、そこはご愛敬だ。


「ほんとなら、あんま無茶はさせたくなかったんだけどな」


「仕方ないでしょ。……こうでもしないと、尻尾を出さないんだから。こっちもリスクを冒さなきゃ、リターンは得られない。基本でしょ」


「……そうだな。絶対に、助ける。そんで、ここまで引っ掻き回してくれた犯人にぎゃふんと言わす。あとは、王国の地下牢にでも放り込んどけ」


「ええ……もし、あの人が関わっているなら。今まで関与が疑われていた事件の全てが、明るみになるでしょうからね。……そうなると、裏で手を引いていた貴族も、少しずつだけど権力を失っていく。芋づる式ね」


「しかし……結界。マジでなくなってんだな」


 その傍ら。今回までシュウを悩ませてきた問題の一つである結界が完全に消滅したことに、不思議な感傷を抱いていた。


 なんというか、目標をやり遂げて虚無に陥るような。そんな感覚。が、今はそんな感情に浸っている場合ではないと叱咤し。


 密林都市ジュンゲルから、魔力残滓を辿りながら生い茂る森の中を進み──二人が辿り着いたのは。



「……第一戦線基地。今はラルフール・ルネス……きな臭すぎる騎士がこの基地を取り締まっている基地、か」


「ここで、間違いないんだな? レイ」


「ええ、間違いなく。ただ……この基地のどこ、かまでは分からないわ。この基地、微妙に魔力が撹乱されてる。たぶん、見つかったんでしょうね」


「まあ……ここまで来れば、誰がやったかは分かるしな。あとは、犯人をお縄につかせるだけだ」


 そう、長い間シュウを苦しみ、苛み続けた問題。ダークエルフとの決裂を毎度のごとく引き起こしてくれた野郎に文句を言ってやらなければ気が済まない。


「なあ、ラルフールさんよ」


 ──迷いなく、シュウは一つのテントに入っていった。それは、過去の周回の中で彼──この基地の最高責任者であるラルフール・ルネスが寝泊まりし、雑務を行うテントだ。


 そう、シュウが見切りをつけた犯人──それはラルフール・ルネスその人である。


「……随分と、物々しい入り方だな。この基地から逃げ出した風情が、よくこの場所に姿を現せたものだ」


「それはどうも。生憎と、この基地に居たら背中でも刺されそうだったんでね。早々にやるべきことやらせてもらいにいったよ。結果、逃げたんだと思ったんなら僥倖だったね」


「ぺらぺらと。よく喋る口だな。今すぐに黙らせてやろうか……?」


 最早隠そうともしない悪意を、しかしシュウは気にも留めない。その程度の悪意ならば、もう受けてきたのだ。百回を超える中で、その程度の薄さの悪意は身に染みて分かっている。よって、シュウは今更どうとも思えない。


「……ラルフール卿。貴殿の態度は、騎士として余りあるものでは? ご自身の立場を鑑み、熟慮した発言にするべきかと」


「……女狐風情が。平民如きが、騎士たる私に口答えをするんじゃない。卑しい魔女はそこで指でも加えて見ているがいい」


「はあ……考える脳のない猿はこれだから」


 発言を見かねたレイが冷静になるように諫めるが、聞く耳を持たない。どころか、更なる嫌みで返す始末。さしものレイも手に負えないとばかりに首を振った。


「気にすんなよ。どうせ、何も出来やしねえ。──いいぜ、黙らせてみろよ。つーか、早いとこそうしねえと、お前が散々隠してた過去が詳らかになっちゃうしなあ? うん、やっぱり今すぐ斬るべきだよ。自分の名誉のために……今までも散々そうしてきたろ」


「貴様……どこまで、私を侮辱するか……!」


「そこまで言うなら、しゃあない。──なあ、分かってんだよ。こっちは。返せよ、エリシャちゃんを」


 刹那。ラルフールの目つきが今までにないくらいに鋭さを帯びる。それこそ、この瞬間にでもシュウを斬って捨ててしまうぐらいには。


 それをしないのはひとえにレイが後ろで控えているからだろう。魔女、とレイを呼んだのがその最たる例だ。要は、その有用性を認めているからこその発言。


 しかし──それは悪手だ。全てを知っているシュウを今ここで口封じしないのは、やってはいけないこと。


 そうでもしない限り──彼の状況は詰んでいくだけなのだから。


「とぼけるんなら、言ってやるよ。まず、なんで俺があんたがエリシャちゃんを攫っているのかと。結論付けたか。簡単だよ、自分の地位を上げたかった。ただそんだけだ」


 ──たったそれだけだ。自らの欲のためだけに、彼女を攫い、時に殺してきた。


「どうやって知ったかは知らねえが、あんたはここにダークエルフが居ることを知っていた。当然、エリシャちゃんの事も。知ってて、全部企てた」


 何らかの手段を使ってか、ラルフールは知っていたのだ。この森にダークエルフが潜んでいることを。世界樹付近に生息していることを。そして、エリシャというダークエルフの防波堤が存在することを。


 その上で、彼のシナリオはこうだったのだろう。まず、エリシャを誘拐、もしくは殺害する。その事実に気づいたダークエルフ達がここまで攻めてくる。そこをラルフールが跳ねのけ、皆殺しにすることで王命を全うしようとした。


 ──それが筋書き。彼の、思い描いていたストーリーなのだ。


「んで、自分は王命を全うしたことにより、地位を上げてもらえるし……何より、大っ嫌いだった俺は、そこで死ぬ。いやあ、一石二鳥だね。よく考えられてるなー、ほんと」


「貴様……」


 だが、ここで最大のずれが発生。そう、当人のシュウがそれに気づいてしまったのだ。


 ──とはいえ、百回やってようやく気付くことができたレベルだ。そこはラルフールを褒めるべきだろう。百回やっても悟らせなかった彼の手腕に。


 第一、気付くこと自体は出来たのだ。


 そもそも、なぜ第一戦線基地は用事があった。シルヴィアとシュウに護衛の騎士も、見張りも付けられないのはなぜ。


 五人将が来ているのにも関わらず、変わらないのはなぜだ。早くに気づくべきだったのだ。全ては、ダークエルフとの戦いを想定し、兵糧を溜め、兵を集め、策を練っていたことに。


「……これが、ループものの強みだよな。一見しちゃ気づけないようなことも、改めて見れば気が付いてしまう。俺からすればありがたいのなんのだが……そっちからすれば悪夢でも見てる気分だよな」


 言葉を紡がないラルフールを前に、シュウはそんなことを呟く。


 ループしているシュウには、多くの情報が自然と多く集まる。ので、一回じゃ気づけないようなことも気づいてしまえるのがループの強み。


 正直、もう二度とやり直す気はないが……気の毒だとは思う。


「ふ……既に、全てはお見通し、ですか。なんとも、言い難いものですね」


「諦めるってか?」


「ええ……もう、抗う意味はない。どうせ、まだ策はあるのでしょう? 例えば、基地全体にこの会話を流すとか……方法は、幾らでもある。相手を貶める方法を長年考えてきた私には、それが理解できてしまう。だから、これ以上言葉を重ねる意味はない」


 自嘲気味に言うラルフールに、シュウは。


「なあ……あんたは、いつから、そうなったんだ?」


 ふと、湧き上がっていた疑問をぶつけた。どんな悪役にもそうなるに足る背景があるはずだ。つまり、それは彼にも当てはまるわけで──。


「そうやって、見境なしに情けをかけると? 馬鹿馬鹿しい。そんな体たらくでは、この先巨悪となんか渡り合えませんよ。──この国に潜む、本当の悪にね」


「……どういう」


「少し、昔話をしましょう。なに、そう身構えなくても構いません。私がしゃべりたいから喋るだけ。聞こうがそうでなかろうが、どちらでも」


 達観したかのようなラルフールの言葉に、シュウは真意を問う。しかし、ラルフールはそれには答えず、一度シュウから視線を離すと上を見上げて──。


「騎士になる前……私は、とある片田舎に生まれた次男坊でした」


 どこか郷愁漂わせるラルフールに、レイもシュウも邪魔せずに聞き入る。


「平民嫌いの騎士……皮肉なことに、その私もまた平民なのですよ。どこそこの貴族の日を引いているわけでもない。……ええ、それはもう、大変な日々でしたよ。騎士になってからは。平民であることで、疎まれ、蔑まれ、妬まれる。私の手柄は全て上司に持っていかれ、上司の不始末は私に押し付けられる」


「つまんねえ貴族が、騎士がいたもんだな」


「その騎士は、既にいなくなっていますがね。もう十年以上も前に、任務中に魔獣に喰われましたから。大した実力もないくせに、権力を使ってねじ込んだからこその自業自得ですよ。しかし、それは上が変わってもなんら待遇に関係はなかった」


 苦労したのだろう。生まれた環境が違うだけで、なぜこうも苦しまねばならないのかと、悩んだのだろう。


「……いつしか、私は考えるようになりました。なぜ、この国の貴族は、騎士は、こうまで腐っているのだろうと。強い者が弱い者から搾取する現実は、いつになったら終わりを告げるのだろうかと」


「先代国王……その時が、一番酷かったとされているわ。今の国王……ダリウス様が即位されてからは、そういった貴族は処罰されるなりして、表に出なくなっていったのだけど……こう言っちゃなんだけど、巷では先代国王は暗君扱いされている」


「ええ。その通りです。下の者が権力を使い、好き勝手やっているのに気づけず、挙句の果てに騙され、貴族優遇をした……愚かな君主。それが、ディリウス・イリアル。イリアル王国きっての暗君ですな」


 ラルフールの時代──先代国王の統治を聞き、シュウはどうしようもない憤慨に駆られる。だって、つまり、それは肩書だけの世界だ。能力も、人柄も、何も関係ない。ただ血に正統性があるか、ただ家柄がいいかどうか、それだけで上に上がれるかどうかが決まる。


 どうしようもない国の暗黒期。それを立て直したのが今の国王ダリウス・イリアルだそうだ。


「……終わらぬ疑問を投げかけている間。私は、腐ってしまった。私の想いは、崩れ去ってしまった。最初の想いなど、なくなってしまった」


「……それは」


「私が騎士を目指したのは、境遇を変えたかったからです。とは言っても、そんなに立派な事じゃない。ただ、身の回りにいる誰かを幸せにしたかった。……ただ、それだけだったのですよ」


「……」


「しかし……時は過ぎ、戦争が悪化していく中。同時に、貧困や疫病なども流行りました……そして、王国はそのような人間達を治すことはしなかった。自分達が助かりたい、その一心で疫病がはやった村を、焼き払ったのです」


「な──!?」


「私の故郷も……もう、遅かった。守りたかった家族は、灰になり。友は、骨すら残らなかった。──いつしか、私の中の正義が、歪んでいった。もう、思い出したくもない。私は、自分の手で。守るべき民を……焼き殺した」


 机に爪を立て、今もなお身を焦がす後悔を抑え込むような仕草に、シュウは何も言えない。


「同情される余地はない。なぜなら、私は誰に唆されるでもなく、自分でこの道を選んだ。自分が成り上がるためだけに、貴族にすら取り入った。豚どもの足を舐め、辛酸を舐め、苦渋を味わった。そのためなら、私はなんだってできた。──とある貴族に肩入れをした。魔族ともつながりを持った。最早狂気殺人者とすら言えるボルザーク・スコットの手引きも、この基地の前任者であるリア殿の殺害も……! 全て! 私が仕組み、実行した! 貴族からのありがたい進言は確かにあっただろう。だが、実際にやったのは、この私だ」


「……あんたは」


「気を付けたまえ。この国には、悪が潜んでいる。未だ、ダリウス王ですらも取り除けない、最悪が。至る所に糸を張り、いつでも愚か者を捉えられるように。──私のようには、なるな。一人になったところで、何もない。何も、あるわけがない。一人で進んだ先にあるのは、地獄だ。私のような愚か者が嵌る、底なし沼だ」


「……同情はしない。してやるもんか。どんな事情があったにせよ、やったのはあんた。けど……あんたも、夢を追っかけてた、だけなんだな」


「それでいい。それで、いいのだ。──地獄は、手をこまねいてる。ダリウス王にも見抜けないほどに、着々とこの国の全てに手を回していっている。いずれか、出会うでしょう。人間の欲……それが結集した、悪に」


「……」


「ダークエルフの娘は、この基地の最南端のテントに隔離しております。明日の朝に、殺害する者が来る……その手はずです。ので、すぐにでも連れて行ってください。……それと、この基地の騎士達もまた、戦場へ連行してくれると、ありがたい。この基地に居れば、死は免れ得ません」


 目を閉じ、自らの部下である騎士に無駄な死を得させないために。第一戦線基地の最高責任者は、ただそれだけを願った。


 ──別に、その事をどうとも思わない。要はラルフールのしてきたことは、あまりにも人の道から逸脱していることなのだ。今更改心したところで、誰も許してはくれないだろう。


「レイ。……ウィルヘルムさんのとこに行ってくれ。俺は、エリシャちゃんのとこに行ってくる」


「ラルフール卿は? ここに残すの?」


「……いや、ウィルヘルムさんと合流の後、全部公表してくれ。んで、縛り上げろ。……死にてえんだろ、あんた。自分のしてきたことは、あまりにも自分の願いとかけ離れてしまったから。けど、それは許さねえ。生きろ、そんで自分の罪を悔いろ。死ぬなんていう楽な道を、選ばせてなんかやらねえよ」


 それは、かつてシュウが通った道。自分の願いとかけ離れ、いつしか周り全てを犠牲にしてしまったことへの罪から。また、彼らの幸せを奪ってしまった罪から逃げて、死のうとした。


 しかし、それは真に向き合ったことにならない。だから、生きるのだ。どんな困難があるかは知らない。間違いなく、死んでいたほうがましな人生を送るだろう。


「それが、贖罪ですか」


「──ああ。馬鹿やったことにけじめは、ちゃんとつけろ」


 それだけ伝え、シュウは彼の視界から消え、その場を後にし──走る。エリシャを保護し、ダークエルフを味方につけるために。


 既に夜中の三時過ぎ。基地内に居るのは最低限の見張りだけ。閑散とした基地内を突っ切り、辿り着くのは簡素なテントだ。恐らく、物資などを保管するようなテント。そこに、シュウは足を踏み入れ──。


「いた……!」


 そこで。ようやく、シュウはその少女──銀髪に褐色、ダークエルフそのものの容姿をしたエリシャを発見した。何らかの薬で眠らされているのか、目は覚まさないが今のうちに移動させてしまった方がいいだろう。ラルフールの言っていた時間まで、僅かしかない。


「ええと……まず縄を切ってと」


 エリシャの体を縛る縄をほどき、小さな体を抱え、その場を後に──。


「立ち上がらないで!?」


「──え?」


 ──瞬間。少女の震える怒号がシュウの耳に届くと同時。張られたテントが、一瞬にして瓦解する。上半分が真っ二つに斬られ、覗くのは満開の星空に木々。


「しまっ──」


 それだけで、シュウは悟ってしまう。


 ──エリシャを殺すための、刺客が到着してしまったのだと。


「なんだぁ? 確か、先方の依頼はガキ一人だったんだが……まあ、いいか。そんだけ、俺の研究が進むってことで」


「……誰だ、お前」


 腑抜けた声が。緊張高まるこの場に相応しくない声が、シュウに耳朶を震わす。本当に、似つかわしくない声音だ。誰がか死ぬかもしれない、今から殺すと言うのに。その実感を微塵も覚えていないような、そんな化け物。


 ──おぞましさが、シュウの背中を駆け巡る。戦慄が、どうしようもないほどの絶望感と共に。


「……律儀に名乗る必要はねえ。が、名乗って恐怖に陥れんのも、悪かねえ。──俺の名は、ボルザーク。ボルザーク・スコット。魂のありかを求める、狂える殺人鬼だ!」


 王都を震え上がらせ、シルヴィアに敗北したはずの狂気殺人者──ボルザーク・スコットその人。絶対なる悪を体現した、狂気がシュウを絶望に陥れるのだった──。


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