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書く分度器

作者: 穴田丘呼

書く事。それも散文ではなく詩でもない。メモでもいい。何か書きたい。ひっそりとことばはそこにある。でも何を書こう。なんでもいいのだ。文字が書ければ。言葉の羅列。そういうもの。誰のためでもなくましてや自分のためでもない。書かれる。書き加える。


人生なんて短い。ぼくの場合、もう終わっている。ただし輝きがないわけじゃない。その輝きはどこかにうもれているが。失われし光だ。そんなとこ。考えもしない。どこにもゆきたくないけれど、ここではないどこかがあるような気がする。自分は飽きた。自分でない人がいい。世をあまねく歩いたわけじゃない。世間知らずだが、そのように生きてきた。ことばはあるか? ここに。


うんざりとする毎日。飽きた自分と共にいることが耐え切れない。みんな頑張っているなとおもう。ぼく以外の人たちはたしいたものだ。ぼくはそこから外れている。ある種の角度を保ちぼくはとんだ飛び上がった火の粉。もう消えるまで飛ぼう。誰も捕まえることができない。そうさここはどこでもないんだ。


回転。とみに及んで。つまらぬことさ。ダダイスム。信号は赤だよ。今まで黄色だったのだ。それで気をよくした連中が、あかっぱなを引きずれて酔いに任せたんだ。随分だね。一回きり。そうすべては一回なんだ。今日は今日しかない。だからいつまでも嫌なことが続くわけじゃない。そう逆も然り。いいことばかりはないんだ。でもさ、回転。続く野原を歩くとき、穴はないかね。そんなことを考えるのは心配性さ。誰だってそういうことはあるし、これから先も何かある。稲妻。


転々と。しがない旅路。夕飯の匂いがする。お母さんがご馳走作っているよ。泣いてばかりじゃね。もったいないしさ。先行き不透明。そんな祭りだ。初めてだね。買い物行ったのかい? そうして何買うか、いや買うものを忘れてしまって、家に帰ってからはたと気づく。そんなことだってありゃな。自分勝手なことだけどさ。


もう何もない。ぼくには何もなかったのさ。ないないづずくしでぼくはすかんぴん。くじけた乞食さ。アールヌーボーだって買えやしない。そんな物世間知らずなんだ。怪盗して回答を加えて解凍して贅沢を味わう。そんなことできっこない。ならば歩くしかない。前だ前のめりだ。その要件をご存知のように、長いまつげをつけて両目をパチパチするのさ。レディと呼ばれるさ。解決不可能。


自身が地震に遭遇しそうした時、ぼくらはつんのめる。はしたないつんのめり方だ。そのようにしてヒキガエルは車にひかれてペッタンコになる。雨の降る日のあとに干からびたカエルを見てそんなたいそうなと思わないでもないだろう。そうさ、そこにはある種の角度があるんだ。分度器でそれらは測り取られる。切り取られるのかもしれない。ことばは分度器用の角度を付け急落下。教えません。そんな話。もう長いことそうしているんでしょ。


ふざけた話だ。もう随分になる。答えない世界に羽ばたいて住民票を取ったはいいが、ぼくは蹴りだされもうお前等変身してヒキガエルのようにお陀仏してしまえと。誰がいうだろう。そんなことはわからん。どだい無理があるんだ。有り様に在ることだってある。しかしながらそんな悠長な話をしている場合じゃない。


そう外は角度をつけた夕日が迫ってきている。もう取り返しはつかない今日が終わるのだ。長い間、そんなことも知らなかった。それはどうしようもない話じゃないか。終わる角度、分度器で測り、そうして黙々とタイプを打ち、打ちぞこないの死にぞこないがここにいる。そうした訳でぼくたちは地平線から分度器で知らせるわけさ。ここは25度とか30度とか。鋭利な刃物となって逃れよう。まぶた閉じて。


あすまた会いましょう。その時は笑っているよ。ワライタケでも食べてるからね。角度測られた角度。正確ではない。無比でもない。それならごく自分用に仕上げてみよう。そこにある分度器で今日を測りそこから明日を見るんだ。どうも失礼したね。

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