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憂鬱の始まり

ちょっと長くなりそうだったので短編は断念。

俺はたけし転生者だ。この世界じゃ異世界から転生したものはチート能力とイケメン容姿を貰える。

その例に漏れず俺はイケメンハイスペのチート人間になっていた。


「リーベおはよー」


リーベといのはこの世界でリア充の両親がつけてくれた名前だ。こちらの世界では俺の本名は誰も知らない。


「・・リーベ・・おはよー」


この赤い髪の美少女は俺の幼なじみのメアリー、子供の頃から馴れ馴れしいやつだった。どうやら俺に惚れているらしい。ここらへんもどうやらテンプレ通りらしい。


「ねえ、リーベったらあ」


この淫売は俺の服を掴んで引っ張ってくる。もちろん無視だ。腹立たしい限りだ。なぜ今さら神は俺にこんな嫌がらせをするのだろう。


「・・・」


やっと諦めたか、さっさとどっかに行ってしまえ。お前の顔なんて見たくもない。・・・が当然そんなことは言わない。別にこいつが悪いわけでもないからな。


俺は朝から何をするでもなく、家の前でボーっとしている。俺は既に15才だが、家の中ではリア充夫婦がいちゃついていてウザったいのだ。とはいっても外に出かけるのも面倒だ。早く1日が過ぎて欲しい。


「リーベ、今日こそ私が勝つ!勝負だ」


ボーっとしてたら今度は城の近衛兵が来た。こいつは前からやたら突っかかってくる金髪碧眼の美女のレナ。昔、俺がケチつけた相手らしいが全く記憶に無い。当然こいつも俺に惚れてるんだろう。しらんけど。



「ック・・今度こそ私が勝つ」


チート能力で適当にあしらってやったら帰っていった。クソザコナメクジがもう来んな。


なんで次から次にこう女がやたら寄ってくるんだろうか。これじゃあギャルゲーの主人公ではないか。この世界にも一応魔王がいるらしいが俺から出向く気はないし、なんて不毛なのだろう。


俺だって女と付き合いたくないわけじゃない。だが女とズッコンバッコンやるよりあしらってるほうがまだ俺の欲望にかなうのだ。だってそうだろう?転生前の俺は、目があった女が集団でコソコソなにか言い合うような存在だった。どうして今頃そんなものに関わらなければならないんだ。昔の俺がかわいそうだ。


俺は昔の俺を無駄にしないし、今の俺が昔より価値のある人間だとは思わない。だって日にする糞の量もオナニーの回数も変わらないんだから。


だからといって積極的に女に復讐したいとも思わない。胸糞だし。だから正直かかわらないで欲しい。寄ってくんな。両親のことはあきらめている。生前目の仇にしていたようなリア充だが、別にチャラチャラしてるわけでもないし、育ててもらった恩もある。


あと1年の我慢なんだ。この国では16まで義務教育があり、平民以上だと独り立ちできないのだ。16になったら両親とも因縁のついた女ともおさらばだ。独り霊峰にでも登って仙人なろう。



そんな折、面倒なことに王宮に呼び出された。両親は俺が粗相したと思って痛く心配しているが、そんな心当たりはない。どうせ女騎士のレナあたりが何かいったのだろう。


城に出向いてみたら案の定レナが迎えてくれた。


「よく来たな。これより私のことはレナ様と呼べ。ここだけの話、私はやんごとなき身分なのだ」


「・・・・」

まったくテンプレである。どうせ姫かなんか何だろう。どうでもいい話である。


「どうした?驚いたか?私のことをもっと敬っていいのだぞ?」


得意げに胸を反らすのはいいがないものはないのである。しかし親の七光りを見せつけられても呆れるばかりで何の感想もない。特にそういうことにあまり頓着しない日本の出身というのもあるし、この国が総力上げたところで残念がながら俺のほうが強い。


「で、なんだよ?親のことがあるから来てやったけど俺は忙しいんだ」


「だからここでは礼を尽くせ!」


「はいはいわかりましたよレナ様。本日は何の御用ですか?」


「・・まあいい、今日はお前を近衛兵に推薦したく、王に嘆願してもらいに呼んだ」


「はあ!?レナ様マジにいってるんでありますか?俺は王の近衛兵なんぞになりたくはないでありますが」


「嘘をつくな!近衛兵は我が国で最も誇り高い職だぞ!それにお前は間違っている!」


「間違っている?」


「そうだ、お前には私の近衛兵になりたいと王に嘆願してもらいたいのだ!」


「・・・」


「実力については私から説明したが本人にやる気がないと話しにならないからな」


「そのやる気が無いんだから話にならんだろう。悪いがパスだ」


「・・断ることは許さん。実は私は本国の第2王女でな、権力があるのだ」


「・・・」


うざい、非常にうざい。さてどうやって切り抜けたらいいものか。あと1年の我慢だったというに、もう何もかもほっぽり出して出奔してしまおうか?しかしそれだと親と妹のことがある・・。親はまだしも妹はやはりかわいい。


「では、レナ様1年契約ではどうでしょうか?」

これなら1年後にはおさらばできる。今と条件は変わらない。


「契約更新することもできるのか?」


「できます・・」

ここはyesと言っておけば良し、どうせ16になったら原則自由の身だ。


「ならそれでよかろう」


「ところで私はまだ学生の身ですがいかがいたしましょうか?」


「それはわかっておる。だからこそ選んだとも言えるのだからな」


「?」


「つまりだ。私も王宮の家庭教師ばかりでは世間の学習ができないと思ってな、学校に通おうと思っている」


これは面倒なことになりそうだ。学校には当然幼なじみのメアリーも妹のルシィもいる。

聞けばレナは16らしい。俺の一つ上だが同じ学年に編入するとのこと。しかし16で近衛兵て何気にこいつもすごいんじゃないか?



「おまえがリーベか・・聞けば相当強いらしいじゃないか?・・レナが一度も勝てなかったそうだが?」


王は威厳の有りそうな灰色の髭を生やしたテンプレジジイだった。

「そんなことありません。レナ様に手心を加えていただいただけです」

 むしろ手心を加えているのは俺だがな。


「・・実はここだけの話、レナはこの国では2番目に強い。そのレナに勝てるお主はこの国一やもしれぬ」


おいおい、16才のクソガキが2番目ってまずいだろっと思ったが、当然俺がダントツで最強なわけだからそんなものなのかもしれない。しかしバランスの悪い世界である。


「聞けばレナの近衛になりたいそうではないか・・少しお主の力見せてはくれないか?」


糞メスガキがなんて言ったかは知らんが、まあいい。何もかもあと1年の辛抱だ。


「分かりました。戦うのはレナ様でいいんですか?」


「オルフェ・・と言いたいところだが、まあそういうわけだ」


オルフェというのは第一師団の将軍だ。つまりこの国最強・・もちろん本当は俺なのだが。国の最高戦力をおいそれと馬の骨に見せるわけにもいかないわな。



「では行きますよ」


あれから10分後、俺達は木刀をもって城の訓練場で向かい合っている。ちなみに向こうはフルアーマー、銀色の甲冑を身につけている。俺は「ぬののふく」装備だ。本当は別にこの木刀だっていらないがそれは王が譲らなかった。


「ストレングスアップ、アーマーグロース、フレイムソード・・」


レナはいわゆる魔法剣士だ。魔法で自力を上げたあと剣で攻撃するタイプ。そうそう言い忘れていたが、当然この世界には魔法がある。まあ、俺には使えんがね。いや、本当は使えるのかもしれない。とういうかどうせ真面目に取り組めば使えるのだろう。だが練習も勉強もする気はない。当たり前だろ?


「・・お前はいいのか?」


どうやら何もしないで待っている俺に遠慮しているらしい。いつもは俺の速攻ワンパンKOで終わっているからな。おそらくカウンターでも考えいたのだろう。しょうがないだろ、王様の前で試合してるわけだからおまえに恥かかせるわけにもいくまい。


「・・行くぞ」


やっと覚悟が決まったらしい。行くとき行くなんか言うのはバカのやることだと思いながらも一応真剣な面持ちは保つ。


「やぁあっ!!」


レナは何の工夫もない大上段からの一撃を見舞ってきた。

俺は左側に躱す。


「っ!!」


そこから無理やり横薙ぎに変化させる強化魔法が人外の動きを可能にしている。


 俺はそれを剣の腹で受けた。


続いて遅延魔法を唱えている。最初にやった時より同時攻撃がうまくなったなと思いながらも俺にはデバフは効かないのでムダだ。しかしこれを利用させてもらうか・・。


「フッ油断したなリーベ。今のお前の動きは手に取るようにわかるぞ!」


「まったく存在自体が負けフラグみたいな奴だなお前は」

俺は呆れながらスローがかかったふりを続ける。


「何を言ってるかわからんが、負け惜しみは見苦しいぞ!」

そう言ってレナは光速2連突きを繰り出してきた。

胴を狙った1突き目をギリギリ躱す、首を狙った2突き目を首をひねって無理やり躱す。


「そこだっ!とった!」

強引に体勢を整えると片手で3段目の突きを繰り出してきた。

その瞬間俺は元の速さで動く。レナの突きを剣でかちあげてレナに膝蹴りをかました。


「ぐぼっ!?」

レナは変な音を立てて吹っ飛んでいった。ゴロゴロ転がって衝撃を逃している。やるな。

と思ったら立ち上がってこない。どうした?俺にだましうちは効かんぞ。


御前試合の見届け人を務めている近衛兵の一人がレナの方に駆け寄っていく。

手をクロスして首を振っている。どうやら勝負は決まってしまったらしい。


「おいおいマジかよ・・」

もう少し接戦を演出するつもりだったのだが、思ったより力が入ってしまったらしい。レナの甲冑は大きく凹んでいた。


「あいつも強くなってたってことかもな・・」

俺のため息は虚空に消えていった。


それから俺は王様にいたく気に入られレナの衛兵になった。両親は驚いていた。どうやら俺のことを単なるいつも不機嫌な変人だと思っていたらしい。別に強さを誇示してないし不機嫌な変人というのも間違ってはいない。妹は我がことのように胸を張っていた(13だがレナよりある)。


「やっぱりね!お兄ちゃんはやればできるのよ!」

 

このままではやれやれ系主人公待ったなしではないか・・。俺の受難は続く。







転生前のたけしは不遇な20代後半。

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