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PUSH!!  作者: 桃色 ぴんく。
8/20

―行けるところまで―

 翌日。俺は学校に着くと、先に来ていた進藤のところに行った。

「おっ、朝からお二人さん、ラブラブだねぇ」

と、冷やかす奴もいたが、今の俺にはそんなことはどうでも良かった。





「今日さ、ちょっと時間長くある?」

俺が進藤に聞くと、進藤は満面の笑みを俺に向けて

「あるある!すっごくあるよ~どうして?」

と、身を乗り出して聞いてきた。

 俺は、シドに聞いたことを進藤に話した。シドが消えた後も変わらず戦うことが出来ること、出来るだけ進んで欲しいということ。

「オッケー、わかったぁ、今日早速行ってみよ」

「おう、じゃあまた帰りにな」

 今日でテストは最終日。明日からはまた夕方までは学校だから今日ぐらいしかまとまった時間がなさそうだ。






 テスト終了後、俺と進藤は、まず学校の帰り道途中にあるファーストフードに入り、腹ごしらえをした。

「腹が減っては・・・だもんね」

「てかさ、おまえそんなに食うの?」

 進藤がハンバーガー2つとポテトとチキンとサラダとジュースを抱え込んでたべている。

「今から戦うのよ。これぐらいいっとかないと!」

「やる気満々だな」

「それより、勇生は女言葉と女の子らしい仕草、覚えてきたの?」

「実はあんまり・・・」

「ダメじゃん。今ちょっと練習すれば?」

「いいよ・・・怪しい人になってしまうだろ」

「ま、いっか。私に余裕があればフォローするね」

 俺と進藤はペロリとハンバーガーを平らげた。

「さ、行きますか!」

 





「ふと思ったんだけどね」

 歩き出した俺に進藤が話しかけてくる。

「なに?」

「こないだは、道を歩いてて、バイブがブルって、魔物スポットに行ったでしょ?」

「うん」

「時空の歪みの中は、魔界に繋がってるなら、先に時空の歪みの中に入ってから進んでも同じよね?」

「まぁ、そうだな。でも方向とか道とかわかるかな」

「変身はタイムリミットないし、時空の歪みの中に入ってすぐに変身すれば、周りの道少し見えるでしょ。きっと、進んで行けるよ」

「そうだな。もし、迷ったり無理だったら戻ればいいんだし」

「そういうこと。じゃ、早速ここで行く?」

「え?ここで?」

「だって勇生の家に行ったら、部屋にいない時間が長いとやばくない?」

「そうだな・・・あ、あそこは?」

 少し先に、細い路地があり、郵便ポストが立っているところがある。丸見えの道で消えるより、少しでも目隠しになる物がある方がいいかと俺は考えたのだ。

「そうだね」

 俺と進藤はポストに向かい、隠れるようにしながらボタンを3回押した。






「バイブがこないってことは、この周辺には魔物はいないってことだよな」

 時空の歪みの中は、相変わらず真っ暗だ。俺と進藤は前回と同じ方法で、変身することにした。

「せーの!」

 2人一緒に変身するためのボタンを押す。5秒後、虹色の光が2人を包み、2人共美少女戦士になった。

「やっぱりこの姿か」

「まぁまぁ、しばらくの間だけだし・・・あ、道があるよ」

 進藤に言われて前を見ると、1mほどの道幅で進めるようになっていた。俺と進藤は恐る恐る前に進んでいく。




       ブルルルルッ・・・




「きた!振動が来た!」

「え?私?」

「進藤じゃなくて振動だよ!バイブ!敵が来るぞ!」

「はいよっ!」

 目の前に魔物が現れた。こないだのライオンみたいな奴だ。

「こいつか。1回倒してるし、楽勝だろ」

「勇生、試してよ?女言葉と仕草!」

「・・・よし」

 俺は剣を両手で構えて、少し内股に立った。そして、

「行くわよー!!!あんたなんか倒してやるんだからぁ~!!!」

と、剣を魔物に向かって振りかざした。

「あ・・・」

 後ろで見ていた進藤が思わず声を出す。俺の持っている剣がまるで熱したみたいに赤くなっている。

「え~いっ!!!」

 赤くなった剣で斬ると、魔物はスッパーンと真っ二つに斬れたのだった。こないだみたいな硬い感触がなかった。そして、魔物の体が赤く燃え、その後消えて行った。

「おおお、お前の魔法なしで倒せたぞ」

「剣が赤くなったね!真の力ってやつ?」

「わからん。こんな程度ではないと思うけど、でもかなり楽に倒せた」

「うんうん。さ、進もう!」

 俺と進藤は見えている1本道を進んだが、たどり着いた先は分かれ道だった。

「これ・・・どっちだろ」

「さすがにわからないな」

「なんかボタンに変化ない?」

 進藤に言われてボタンを見ると、ボタンの上に小さな白い点が現れていた。

「なに、この点・・・」

 よく見ると、白い点はボタンの右上に出ている。俺と進藤は分かれ道の前に立ち、右に行くか左に行くか考えていたのだ。

「右側に印が出てるから、右に行ってみようか」

「そうね。違うなら違うで戻ればいいし」

 俺と進藤は右の道に進んでみた。




   

      ブルルルルッ・・・ブルルルルッ・・・





「バイブが長いな?敵が来るぞ!」

「はいよっ!」

「さっきから、その返事なんだ?」

「あはは、なんとなく気合い入るでしょ!」

「居酒屋みたいだぞ」

 次に現れた魔物は2匹だった。さっきのライオンみたいな奴と、でかい鳥みたいな奴だ。

「鳥の方は魔法で頼むぞ!」

「オッケー」

「行くわよっ!え~いっ!!!」

「フレイム行っきま~す!」

 俺はライオンの方に斬りかかり、進藤は鳥に向かってフレイムの呪文を唱えた。2匹の魔物がそれぞれ1撃で倒せたのだった。

「ちょっと慣れてきたかもね」

「そうだな。でも敵はどんどん強くなるぞ」

 そうして、また俺と進藤は先を進んで行った。





 その後もポツポツと同じレベルぐらいの魔物を数匹倒し、今日はもうこれぐらいにしようか・・・と話していた時だった。




         ブルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルッ・・・





 長い長いバイブが来たと思ったら、目の前にとてつもなく大きな魔物が現れたのだった。

「これ、ゲームの世界で言う中ボスとかいう奴じゃねえか?」

「そ、そうね。こいつを倒してから戻ろう。行くわよ!」

 紫色のザラザラした肌の恐竜のような魔物を前に、俺と進藤は足がすくみそうだったが、まずはこいつを倒さないと魔王なんて倒せるわけがない、と思い切って戦うことに決めたのだ。


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