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PUSH!!  作者: 桃色 ぴんく。
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―いざ、変身!―

 その夜、俺はまた寝る前にシドを呼び出した。緑色のボタンを押すと虹色に変わり、シドが現れた。



――――――呼んだか。



「はい。昼間の女の子なんですが、話をしたら俺の話を信じてくれたのですが・・・」



――――――どうした?



「仲間になって一緒に戦いたいと言い出したんです」



――――――ほう。



「危険ですよね?女の子だし、俺、やっぱ断り・・・」



――――――良かろう。その娘と共に頑張ってくれ。



「ええ??仲間にしていいんですか???」




――――――危険に巻き込みたくない気持ちはわかるが、仲間がいると心強いからな。




「それはそうですけど・・・女の子なのに」




――――――魔法や癒しなど、娘の方が得意な分野もある。




「なるほど・・・わかりました。その子に言っておきます。あ、その子の名前は美紀です。




――――――美紀か。わかった。勇生、変身するか?




「それなんですけど、美紀も一緒にいる時に一度に教えてもらった方がいいかなと思いまして」




――――――ならば、明日の午後にでも2人揃って私を呼びたまえ。




「はい。そうだ、美紀にはボタンスイッチはもらえないのですか?」




――――――今、準備しているが、もう少し時間がかかりそうだ。




「じゃあ、あの時みたいに一緒に移動すればいいんでしょうか」




――――――しばらくはそうしてくれ。時間だ。また会おう・・・・・・





 シドとのやりとりを終えて、俺はとりあえずベッドに横になった。明日、学校に行ったら進藤に伝えよう。それにしても、あいつ、なんで俺の後なんて付けて来てたんだろう。あいつの家、俺ん家と逆方向だったよな。ま、いいか。そのうち、聞いてみるかな。俺は部屋の電気を消し、眠りについた。






 翌朝。俺は教室についたら真っ先に進藤に話しかけた。

「えっ!仲間になっていいの!?」

「しっ!声が大きい」

 教室の中で進藤に『例の件、OKだってよ』とだけ言ったのに、必要以上に大きな声を出しやがった。

「ごめん、嬉しくて」

「今日、一緒に帰れるか?」

「うん!毎日一緒に帰る!」

「おいおい・・・とりあえず、話はあとで」

「わかった~」

 進藤はとても嬉しそうだった。あいつ、そんなに魔王退治がしたいんだろうか。






 テストが終わり、俺は一足先に教室を出て、進藤が出てくるのを待った。同じクラスだが、教室から一緒に帰るのも目立つからだ。

「朝倉・・・じゃない、勇生、お待たせ」

「別に無理に呼び捨てにしなくてもいいよ」

「いやっ勇生って呼びたいから呼ぶの!」

「好きにしてくれ」

 自然に、俺の家の方向に2人で歩き出したが、進藤の家が逆方向なことを思い出した。

「あ、おまえ、家あっちじゃなかったっけ」

「そうだよ」

「時間いいの?俺ん家寄ってく?」

 俺がそう言うと進藤は目をキラキラさせて大きくうなづいた。

「もっちろん!泊まってってもいいぐらいよ!」

「いや、話が終わったら帰っていいよ」

「なによー」

「あ、そういえばさー」

「なに?」

「昨日、なんで俺の後付けて来てたの?」

 進藤が付いてこなければ、シドとのやりとりも見られることなかったのに。

「昨日はねぇ・・・勇生のお尻を見ながら歩いてたら家の方向間違えちゃって」

「・・・なんだよ、それ」

 俺のお尻にどんな魅力があるんだか。進藤が何を考えてるのかが本当にわからない。






 とりあえず、俺の家に着いた。

「今日は母親が休みで家にいるけど」

「留守に上がり込むよりいいじゃない」

 玄関のドアを開けると、先に母親の声が聞こえてくる。

「おかえり~」

「ただいま」

「お邪魔しま~す!」

 突然の女の子の声に、母親がビックリして顔を出す。

「え?勇生??そちらさんは・・・」

「ああ、クラスメイトの進藤美紀さん。ちょっと勉強教えてもらおうと思って」

「あ、そうなの?」

「進藤です!よろしくお願いします!」

「は、はい。よろしくね」

 母親も進藤の押し押しモードに押され気味になっているようだった。

「じゃあ、ちょっと勉強するから。お茶は後でいいから」






 俺の部屋に入ると、進藤はじろじろと部屋の中を見る。

「おい、あんまり見るなよ」

「いいじゃん、そのうち住むかもなんだし」

「なんだよ、それ」

 相変わらず進藤の言うことはわからない。俺はカバンの中からボタンスイッチを出した。

「さっそく、シドを呼ぶか」

「うん」

 俺は進藤と二人並んで座り、緑色のボタンを押した。

「わっ、きれい」

 緑から虹色に変わる瞬間を見て進藤が言った。そして、シドが出てきた。

「あ、悪魔さん!また会えたね!」




――――――悪魔ではない。時空を操る者だ。




「あ、思い出した。勇生に聞いたわ。神なのよね!?」




――――――神とも少し違うが、まぁそのような感じだ。娘よ・・・




「あ、私は美紀ね。美紀って呼んで」




――――――美紀よ。其方は勇生と共に旅をし、魔王を倒す意思があるのだな?




「あるある!すっごくある!」




「えらく軽いな・・・」

 俺は進藤の答え方に不安を感じた。




――――――よかろう。では、早速時空の歪みに行き、変身するのだ。




「万が一のために先に方法教えて下さい」




――――――ボタンを3回押して時空の歪みに行き、今度はボタンを5秒間長押しするのだ。さすれば、変身出来るだろう。2人で同時に変身する時は、一緒にボタンを押すのだぞ。




「わかりました。やってみます」




 そして、俺は進藤に俺にしがみつくように指示をした。

「わ、くっついていいの?」

「くっつかないと真っ暗で見えなくなるぞ」

「あ、そっか」

 進藤が俺の右側から抱きついてくる。

「行くぞ」

 俺はボタンを3回押した。2人の足元がぐにゃっと歪んだように見え、時空の歪みの中に移動した。




「見えない・・・」

 この状態で、2人同時にボタンを押すのは至難の業だ。

「いいか、俺の右手の先にそっと手を持って来てくれ。触った感覚でわかるだろ」

「うん」

 進藤の手が俺の肩から肘、さらに手のひらの方へ伸びてくる。

「俺の指を持ったままでいてくれ」

 進藤が俺の指を掴んだのを確認すると、そっと左手に持っているボタンの方へと右手を導いた。

「押さないようにボタンの位置を確認してくれ」

「・・・あ、これだね。OKだよ」

「せーの、で一緒に5秒長押しだぞ」

「わかった」

「せーの!」

 俺と進藤は一緒にボタンを5秒間長押しした。真っ暗で何も見えないこの場所に虹色の光が出現し、俺と進藤を包み込む。

 変身を終えると、俺たちのいる場所だけが明るくなった。




「あははははははは!!!」

 進藤が俺を見て笑い出した。

「なんだよ?」

「だって、その格好・・・」

 進藤の変身後の姿は、美少女戦士さながらのプリティな感じだった。俺はというと・・・

「ええっ!?」

 なんと、俺も進藤と同じような美少女戦士の格好だったのだ。

「そりゃないよ・・・」




 俺はこの先、こんな恥ずかしい格好で戦うことになるのか!?




 




 

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