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PUSH!!  作者: 桃色 ぴんく。
14/20

―青い瞳の少年―

 前方に、人影が見えた。ここは時空の歪みの中だ。

「すいませんっあなたは・・・?」

俺が声をかけるが、その人物はこちらを向かない。俺の声が聞こえていないのかも知れない。

 俺はどんどんとその人物に近づいて、ついには1mほどの距離まで来ていた。

その時、その人物が振り返った。

「あ・・・」

髪は赤色で、目が青い。外人・・・か?

「あなたは・・・何者なんですか・・・」

味方か敵か、それすらもわからない。

「勇生・・・」

「えっ?どうして俺の名前を知ってるんですか?」

「勇生・・・」

「勇生っ!!!起きなさい!!!」

「・・・はっ!」

 俺は目を覚ました。なんだ、夢だったのか。俺は少し頭が痛いような気がして、こめかみの部分を手で押さえながら外を見た。朝から太陽がまぶしい。セミの声も聞こえてくる。今日も暑い一日になりそうだ。

「勇生、起きてるの???」

まだ母親の声が届いてくる。俺は慌ててベッドから飛び起きた。今日は終業式だ。






 朝ご飯を食べながら、さっき見た夢を思い出していた。あんなにハッキリと知らない人の顔を見るなんて・・・なんだか不思議な気分だった。外人だったよな。青い目をしていた。

「髪型どうしよう~お母さ~ん」

優歩がバタバタと支度をしている。

「随分早いな。もう出るのか?今日は終業式だろ」

「終業式だけど、午後からは3年のラストコンサートあるし、朝も練習あるんだ」

「ああ、そっか。今日で部活も終わりなんだな」

「そうなのー!これからはゆっくり冒険出来るんだよ!!」

「おいっ」

優歩の声が大きくて、俺はついビクビクしてしまう。母親にバレたらどうするんだよ。

「なあに?冒険って・・・ゲームばっかりしてたらダメよ。受験生なんだから」

「はぁ~い。勉強もちゃんとするから大丈夫!あっ髪型~どうしよう!」

「演奏しにくいからちゃんと後ろにまとめた方がいいんじゃないの?」

「じゃあポニーテールにするよっ」

優歩が髪をかきあげてキュッとくくっている。そんな様子を見ながら、俺はまた冒険のことを考えていた。

そう、もう夏休みだ。これからは母親が仕事の日の午前中から冒険に出れるのだ。優歩も受験生だし、早いとこ世界を救って冒険を終わらせないと、後々大変になりそうだ。

「よしっ!!!」

「えっ?なに?」

ついつい声を出してしまった。母親が変な顔をして見ている。

「いや・・・俺も夏休みだから、何かに挑戦してみるのもいいかな~なんて考えてた」

「勇生も来年はまた受験生だものね。遊ぶなら今年しかないわね」

「だよ。悔いのないように青春するぜっ」

「いいわね、これからの人は。めいっぱい楽しむのよ」

「私もまだまだこれからー!行ってきま~す!」

優歩がバタバタと小走りに家を出て行った。こんなに暑いのに朝から元気な奴だ。ヒールの魔法、この世界でも使えてるんじゃないか?なんてことを思わず考えてしまう俺だった。

「ごちそうさん、俺も支度して行くわ」

「昼前には帰るんでしょ。お昼ご飯勝手に食べてね」

「オッケー」

俺も学校に行くために身支度を始めた。






「勇生~おはよっ」

校門を入ったところで、後ろから進藤に声をかけられる。もう、どれだけ冷やかされても進藤と一緒に教室まで入るのも平気になっていた。こいつは俺の大事な仲間なんだから、という思いが先に来ていた。

「優歩が、今日で部活も終わりだから、明日からは朝から旅に出れるぞ」

「わかった。図書館で勉強でもするフリでもするわ」

「うん。夏休み中には冒険終わらせたいよな。優歩も受験生だし」

「ああ~そっか。毎日行けば終わるかなぁ」

「まだ魔界にすら到着してもないけどな」

「今日はどうするの?」

「優歩が多分夕方5時ぐらいになるから、それぐらいから1時間ほど行くか」

「そうね。わかった。じゃあ夕方に勇生の家に行くね」

「おう。そうしてくれ」






教室について、俺と進藤はそれぞれの席へ座る。

「ロビン・・・」

俺は、なんとなく、頭に浮かんだ言葉を呟いた。なんだよ、ロビンって。アイタタタ、またちょっと頭が痛いな。日差しがきつかったから、軽い熱中症かもしれない。気をつけないと。

 しかし、今日の冒険時間はたったの1時間。記録ポイントから次の記録ポイントまで1時間で行ける保障もない。時間切れで記録出来ないまま戻るのも勿体ない話だ。どこでも簡単に記録出来れば旅も随分楽になるのになぁ・・・勇生はぼんやりと考えていた。今日は軽く散策だけにして、明日は朝から限界まで頑張ってみるかな。






 終業式は11時過ぎには終わった。そういや、母親がお昼ご飯勝手に食べて、って言ってたな。俺はコンビニで弁当でも買うことにした。暑さがハンパないアスファルトの道から、コンビニに入ると空調のひんやりした冷たい風が汗だくの顔に気持ちいい。俺は、まっすぐに弁当コーナーに進む。まだ昼になってないけど、俺のお腹は結構空いていた。時空の歪みの中にいる間は、行動力が減ると体が重く、動きにくくなったりはしたが、お腹が空いた感覚はなかった。でも、元の世界に戻った時に半端ない空腹感が襲ってきた。長旅をする時には、時空の歪みの中に入る前と、出た後にしっかりと食べることが大事かも知れない。俺はコンビニの焼肉弁当を手に持ってレジへと向かった。


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