表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Over Land  作者: 射手
第二章  アルジール・クライ
28/250

第二章  アルジール・クライ ⑪

※全て翻訳ソフトで作ったものです。実際の話言葉と違いますが、ご容赦ください。


「Why are they protected? They killed your father!」

「Ha una mente per preoccuparsi assolutamente?」


 『自動翻訳システム』を解除した後の世界は、全くの別物だった。すべての言語が分からなくなり、ただの雑音となる。きっと彼らは僕を非難しているのだろう。そんな言葉を聞かずに済むのなら、このシステムは非常に有難い代物だ。目の前では、みんなが僕に銃口を向ける。少しでも動けば撃たれるだろう。


「Alzieeeeeeeeeeeel!!!!」


 そんな中、僕の名前を叫ぶ声が突進してきた。真っ黒の塊。手には銀の鎌が見えた。その塊をサイドステップで躱す。


「Ich töte Sie nicht.Sie kehren zu einer Nine Cross zurück.」(君たちは殺さない。早く『ナインクロス』に帰れ)


 僕は大きく跳躍した。体は最高地点に到達すると、そこで停止する。


「float?」


 『黒装束』は驚きの表情で僕を見上げる。その視線は、どんどんと高く上がる。


「Skill! Sich beruhigen!!」(スキルだ!落ち着け!)


 ギルファードが叫ぶ。上昇する僕を睨みつけ、鎌を構える。


 『スキル:浮遊』──自身の体を宙に浮かせることができる。移動は主に重心移動で行い、前に重心を掛けると前進し、後ろに重心を掛けると後進する。その際に合わせて左右に重心を傾けると曲がる。速さは体の傾き、体重の軽さに比例する。浮いている間は、無重力と同じとなり、少しの衝撃で遠くまで飛ばされる。慣れないと酔う。


「Hinuntergehen!! ermorden Sie!!」(降りてこい!俺が相手だ!)


 今のこの世界の中では、彼の言葉だけが僕の耳に届く。僕の言葉は彼以外には届かないようだ。仕方がない。


「Das ist das letzte.Kehren Sie zur Nine Cross zurück.」(これが最後の忠告だ。『ナインクロス』に帰れ)

「Scheiß!Hinuntergehen!!」(ふざけるな!降りてきやがれ!)


 僕の脅しは、数人の『黒装束』には効果があったようだが、結果的にはギルファードの言葉に打ち消された。全員が僕に対して敵意を剥き出しにし、武器を、銃口を向ける。


「So,Enttäuscht.」(そう、残念だよ)


 そう言うと、僕は彼らに向かい、急降下した。彼らからすれば、強烈なダウンバーストが襲いかかってきたように感じただろう。猛烈な速度の中、僕は瞬時に重心を入れ替え、彼らの間を駆け抜ける。夜、雨、森の中。様々な要素が混ざり合い、この場は完全なる闇である。その中で、『黒装束』に身を包み、高速で駆け抜ける僕のことを捉えられる者は誰もいない。全員武器こそ構えてはいるが、ほぼ無防備な状態だった。


「Setzen Sie es noch fort?」(まだ、続けるかい?)


 僕は彼らの背後で止まると、そう尋ねた。瞬間、誰も返事をせずに全員で僕の姿を探す。しかし、見つからない。そんな恐怖心からか、一人の男が叫ぶ。


「Dieu de mort ! C'est Dieu de mort !」

「Sich beruhigen!Es gibt diesen Gefährten nahe!」(落ち着け!近くにいるはずだ!)


 ギルファードはそう言うが、彼も僕を見つけられない。必死に視線を走らせているが、闇の中で『黒装束』を見つけるのは不可能に近い。すると、一人がようやく異変に気付く。


「blood?」


 自分の頬に手をやると、血が付着していることに気付く。そして、「a,AAAAAAAAAA!」と動転する。いつの間にか、痛みもなく自分の頬が斬られている。そして、更に気付く。『黒装束』が切り裂かれていることに。それも、全員が。


「Won't be liked any more!!」

「ひぃぃ!もう駄目だ、逃げろ!」


 そして、それからの彼らは早かった。一気に山を駆け登り、退却を始める。ギルファードが引き止めようと『黒装束』を掴み、叫ぶが、逆に振りほどかれてしまう。そして、ものの数秒後には静寂が戻り、『黒装束』は綺麗に消え失せた。


「あいつら……」

「彼らが今の仲間なの?」


 僕は『自動翻訳システム』を起動させ、ギルファードの傍まで近づいた。そこでようやく僕を見つけたギルファードは、すぐに鎌を薙ぐ。しかし、僕には届かず空振りに終わり、その勢いのままギルファードは泥濘に倒れ込んだ。


「く、ぐっ」

「ギル、君の負けだよ」

「うるせぇ!」


 泥濘から起き上がると、ギルファードは泥々のまま僕に掴みかかる。その手を僕は躱さなかった。胸ぐらを掴まれ、至近距離でギルファードに睨まれる。その目には、暴力的な力は宿ってはいなかった。


「なんで、お前が邪魔すんだよ!お前は、レンに何されたか分かってんのか!」

「そういうギルは知ってるの?『レン』が僕に何をしてくれたか」


 僕はギルファードの手を掴むと、ゆっくりと振り解く。


「『レン』がいなければ、父さんは死ななかったかもしれない。でも、『レン』がいなければ、僕は死んでいたかもしれない」

「お前、レンに騙されてんだよ!フェルトさんはっ!」

「みんな、生きてたでしょ?」


 僕の言葉で、ギルファードは言葉を止めた。そして、絶望の眼差しで僕を見る。


「みんな、殺さないで逃がしてくれたのは、『レン』だよ?父さんは僕に、『何が正しいのか、よく考えろ』と教えてくれた。僕は、父さんやみんながしている事は正しいとは思えない。だからと言って、『レン』が正しいとも思っていない。僕にはまだ分からないんだ。この世界で、何が正しいのか」


 分からない。何が正しいのかなんて。誰にも分からない。


「俺は、お前を、助け……」


 ギルファードの目には涙が流れていた。僕が償いに過ごした三年間と同じ年月の間、ギルファードは僕と父さんの復讐に燃えていたのだろう。その復讐が、助けようとした僕の手によって潰える。不本意すぎる終わりだ。


「ギル、ありがとう。……僕も、『レン』と戦うよ」


 僕は、ギルファードを抱きしめた。

 雨は、まだ降り続いている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ