第二章 アルジール・クライ ⑪
※全て翻訳ソフトで作ったものです。実際の話言葉と違いますが、ご容赦ください。
「Why are they protected? They killed your father!」
「Ha una mente per preoccuparsi assolutamente?」
『自動翻訳システム』を解除した後の世界は、全くの別物だった。すべての言語が分からなくなり、ただの雑音となる。きっと彼らは僕を非難しているのだろう。そんな言葉を聞かずに済むのなら、このシステムは非常に有難い代物だ。目の前では、みんなが僕に銃口を向ける。少しでも動けば撃たれるだろう。
「Alzieeeeeeeeeeeel!!!!」
そんな中、僕の名前を叫ぶ声が突進してきた。真っ黒の塊。手には銀の鎌が見えた。その塊をサイドステップで躱す。
「Ich töte Sie nicht.Sie kehren zu einer Nine Cross zurück.」(君たちは殺さない。早く『ナインクロス』に帰れ)
僕は大きく跳躍した。体は最高地点に到達すると、そこで停止する。
「float?」
『黒装束』は驚きの表情で僕を見上げる。その視線は、どんどんと高く上がる。
「Skill! Sich beruhigen!!」(スキルだ!落ち着け!)
ギルファードが叫ぶ。上昇する僕を睨みつけ、鎌を構える。
『スキル:浮遊』──自身の体を宙に浮かせることができる。移動は主に重心移動で行い、前に重心を掛けると前進し、後ろに重心を掛けると後進する。その際に合わせて左右に重心を傾けると曲がる。速さは体の傾き、体重の軽さに比例する。浮いている間は、無重力と同じとなり、少しの衝撃で遠くまで飛ばされる。慣れないと酔う。
「Hinuntergehen!! ermorden Sie!!」(降りてこい!俺が相手だ!)
今のこの世界の中では、彼の言葉だけが僕の耳に届く。僕の言葉は彼以外には届かないようだ。仕方がない。
「Das ist das letzte.Kehren Sie zur Nine Cross zurück.」(これが最後の忠告だ。『ナインクロス』に帰れ)
「Scheiß!Hinuntergehen!!」(ふざけるな!降りてきやがれ!)
僕の脅しは、数人の『黒装束』には効果があったようだが、結果的にはギルファードの言葉に打ち消された。全員が僕に対して敵意を剥き出しにし、武器を、銃口を向ける。
「So,Enttäuscht.」(そう、残念だよ)
そう言うと、僕は彼らに向かい、急降下した。彼らからすれば、強烈なダウンバーストが襲いかかってきたように感じただろう。猛烈な速度の中、僕は瞬時に重心を入れ替え、彼らの間を駆け抜ける。夜、雨、森の中。様々な要素が混ざり合い、この場は完全なる闇である。その中で、『黒装束』に身を包み、高速で駆け抜ける僕のことを捉えられる者は誰もいない。全員武器こそ構えてはいるが、ほぼ無防備な状態だった。
「Setzen Sie es noch fort?」(まだ、続けるかい?)
僕は彼らの背後で止まると、そう尋ねた。瞬間、誰も返事をせずに全員で僕の姿を探す。しかし、見つからない。そんな恐怖心からか、一人の男が叫ぶ。
「Dieu de mort ! C'est Dieu de mort !」
「Sich beruhigen!Es gibt diesen Gefährten nahe!」(落ち着け!近くにいるはずだ!)
ギルファードはそう言うが、彼も僕を見つけられない。必死に視線を走らせているが、闇の中で『黒装束』を見つけるのは不可能に近い。すると、一人がようやく異変に気付く。
「blood?」
自分の頬に手をやると、血が付着していることに気付く。そして、「a,AAAAAAAAAA!」と動転する。いつの間にか、痛みもなく自分の頬が斬られている。そして、更に気付く。『黒装束』が切り裂かれていることに。それも、全員が。
「Won't be liked any more!!」
「ひぃぃ!もう駄目だ、逃げろ!」
そして、それからの彼らは早かった。一気に山を駆け登り、退却を始める。ギルファードが引き止めようと『黒装束』を掴み、叫ぶが、逆に振りほどかれてしまう。そして、ものの数秒後には静寂が戻り、『黒装束』は綺麗に消え失せた。
「あいつら……」
「彼らが今の仲間なの?」
僕は『自動翻訳システム』を起動させ、ギルファードの傍まで近づいた。そこでようやく僕を見つけたギルファードは、すぐに鎌を薙ぐ。しかし、僕には届かず空振りに終わり、その勢いのままギルファードは泥濘に倒れ込んだ。
「く、ぐっ」
「ギル、君の負けだよ」
「うるせぇ!」
泥濘から起き上がると、ギルファードは泥々のまま僕に掴みかかる。その手を僕は躱さなかった。胸ぐらを掴まれ、至近距離でギルファードに睨まれる。その目には、暴力的な力は宿ってはいなかった。
「なんで、お前が邪魔すんだよ!お前は、レンに何されたか分かってんのか!」
「そういうギルは知ってるの?『レン』が僕に何をしてくれたか」
僕はギルファードの手を掴むと、ゆっくりと振り解く。
「『レン』がいなければ、父さんは死ななかったかもしれない。でも、『レン』がいなければ、僕は死んでいたかもしれない」
「お前、レンに騙されてんだよ!フェルトさんはっ!」
「みんな、生きてたでしょ?」
僕の言葉で、ギルファードは言葉を止めた。そして、絶望の眼差しで僕を見る。
「みんな、殺さないで逃がしてくれたのは、『レン』だよ?父さんは僕に、『何が正しいのか、よく考えろ』と教えてくれた。僕は、父さんやみんながしている事は正しいとは思えない。だからと言って、『レン』が正しいとも思っていない。僕にはまだ分からないんだ。この世界で、何が正しいのか」
分からない。何が正しいのかなんて。誰にも分からない。
「俺は、お前を、助け……」
ギルファードの目には涙が流れていた。僕が償いに過ごした三年間と同じ年月の間、ギルファードは僕と父さんの復讐に燃えていたのだろう。その復讐が、助けようとした僕の手によって潰える。不本意すぎる終わりだ。
「ギル、ありがとう。……僕も、『レン』と戦うよ」
僕は、ギルファードを抱きしめた。
雨は、まだ降り続いている。




