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入園式です。
四歳になった春。
今日は幼稚園の入園式だ。
ここ一年、これといって大きな出来事はなかった。しいて言うなら勉強が始まったくらい。一日、二時間くらいの勉強で、文字の書き方や簡単な足し算を習っている。
私は、前世の記憶があるから苦戦なんてものはほんとは無いんだけど・・・ばれたら嫌だしね。
怜はちょっと苦戦しているみたい。こうゆう時、普通の子だなって思う。いや、私が異常なだけなんですけどね。
「おねえちゃん!」
そうそう、怜の私への呼び方が変わったんだった。どうやら、父の助言?もあって呼び方を変えたらしいのだが、私的にはかわいいから何の問題もない!!
「なに?」
「パパがよんでる」
「そっかー。おしえてくれてありがとう」
「どういたしまして!」
怜がはにかみながら返事をする。
・・・・・・鼻血もんですよ、怜くん。
そんなことを思いながら、顔には出さないように心がけ演技をしながら、我等が父のいる自宅の門まで向かう。
「凛音!怜!写真撮るぞ!」
親バカとなった父が私たちに指示を出す。
「二人とも似合ってるわよ」
今日は両親そろって入園式に参加するらしい。忙しのになぜ休みをもぎ取れたのか・・・・・・あれか?親バカパワーか?
ちなみに私たちが通う幼稚園は、金持ちが通うところじゃなくて一般庶民が通う幼稚園だ。なんでも、中学までは公立に通うのがこの家の掟らしい。消費者のことを理解するためらしい。
私としてはこの掟はいいものだと思う。私は~~の令嬢ですのよ!とかみたいな性格になったって意味はないと思うから。
「凛音?早く並ばんと写真撮れなくてパパ困るんだけど・・・」
「・・・え!?ごめんね、ぱぱ」
つい考え事に意識がとんでしまった。皆不思議そうに見てるよ。
私は怜の隣に駆け足で並ぶ。
「皆、笑えよ~」
タイマーをセットした父が急いで母の隣に並び、
パシャ!
家族で撮ったのはこれで二回目だから、いい具合に撮れていると良いんだけど。
父が撮れた写真を確認している。いい笑顔だ。どうやら上手く撮れたらしい。良かった良かった。
「じゃあ、入園式に行きましょうか」
「「はーい!」」
☆★☆★☆★☆★☆
車で幼稚園に到着!
送迎じゃなくて父が運転しましたよ。高級車でもなくただの軽で。
よく見るとスーツも高級品ではない。きっとお金持ちとばれないようにするためだろう。いろいろ面倒だな、おい。
「保護者の方はこちらになります。ちびっこの皆はいったんパパやママとバイバイしてお姉さん達にについてきてくれるかな?」
どうやら保護者とはここでいったん別れるようだ。
「ここでいったんバイバイね。二人とも、あのお姉さんについていきなさい。すぐ会えるから泣いちゃだめよ。凛音、お姉ちゃんとして怜をお願いね」
「うん!」
私は怜の手を引いて、これから二年間私たちの担任になるであろうお姉さんのもとへ向かった。