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「バイバイやあああ!!」
私はここぞとばかりに大泣きをした。怜をぎゅーとしながら。
父は突然泣き出した私に驚いているようだ。
当たり前だよね…いきなり泣き出されちゃあ。
オロオロしている父に気付かれないよう、さりげなく父のスーツの裾を掴んだ。
誰かを呼んで泣き止むようにしてもらおうとしているのか、それともなにか出ていく必要があることでもあるのか、父はドアの方へ向かおうとした。
私はぎゅーと裾をおもいっきり引っ張った。父は私とバイバイしてしまうのかという不安を抱かせるように。
「ねぇねがないちぇるからやあああ!!」
怜が私に引っ張られるようにして泣き出した。
ナイスだ、怜!これなら父も離ればなれにはできないだろう。たとえ、怜が私に引っ張られるようにして泣き出したとしても、私的には感謝せざるおえない。
父は完全に困っているらしい。こうしている間にも、私と怜は泣き続けている。
バンッ!!!!
突然、ドアが開け放たれた。一瞬、びっくりして私も怜も泣き止んだ。
これはホントにびっくりした。予想外すぎる。
「なにやってるの?!廊下まで響いてるわよ!」
仕事から帰ってきたらしい母が泣き声に驚いてこちらに直で来たようだ。
父の姿を見た瞬間、おもいっきりつめよって事情を説明させている。
母に気圧されるように父が説明をしている。女は強いなぁ、というか母が強いのか。
怜と私はこうしている間にも泣き続け、二人とも相手の服の裾をおもいっきり掴んでいる。
説明が終わったらしい。母はため息をついた後、私たちを抱き締めた。
「大丈夫よ。バイバイしないから」
「「ほんと?」」
「本当よ。だから安心しなさい」
「「うん」」
ここで二人とも泣き止んだ(私は狙ってやったけど)。怜は安心して眠ってしまったらしい。
母は怜を抱き上げると、私と手を繋ぎ父の方へ向かう。
「これだけ離れたくないと言っているのだから、離れさせる必要などないでしょう。それに、二人とも私たちの大事な子供なのよ。貴方だって、この子達には幸せになってほしいはずよ。この子達にとっての幸せは一緒にいることよ」
「・・・・・・分かった。だが、勉強は別々にさせる」
父の言葉に母は疑問を覚えたようだ。首をかしげると、私の方へ向き
「凛音は怜のお仕事のお手伝いしたくない?」
「おてつだい?」
「ママがパパにお手伝いしているようなことをするのよ。怜が困ってたら助けてあげるの」
「やる!」
その言葉を聞いた母は優しく微笑むと、父の方へ向き直り
「これで問題は無いわね」
「あ、ああ」
「パパにもりんねはおてつだいするの!」
「そうか!パパは嬉しいぞ!」
チョロいな。さすが親バカ。
まあ、これでフラグは無事折れたわけだから私としては大満足だ。さすがに、偶然に偶然が重なったおかげだから自力で折ったとは言いにくいけど。
ずっと気を抜かないようにしていたら、安心のあまり眠くなってきたな。無事に終わったしいいか。
それでは皆さん、おやすみなさーい!!
無事に一つフラグが折れました。