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 4月になった。庭に桜の花が綺麗にあちこちに咲き誇っている。風と共に散るようすはとても優しい気持ちになる。そして、とても眠くなる。

 私と怜の誕生日は1月だから、3ヶ月経ったことになる。

 部屋から基本的に出ることがなかったし、出たとしても親が家にいるときだけ食事をするために移動するかトイレに行くときくらいだ。

 移動のときはほとんど怜にくっついて行動していた。トイレに行く時だって連れションだし(中には入らんよ!ちゃんと外で待ったり、待っててもらったりしたよ!)、お風呂はこの年齢なら一緒に入るのに対して違和感なんざまったくないから一緒に入ってる。

 実はここにきてとてつもなく疑問が生じている。

 両親が家にいるとやたら構ってくるのだ。それも、親バカだろ!って断言できるくらいに。

 ゲームでは、両親が干渉してくることなんて全くない設定だったはずだ。だからこそ、怜は愛情を知らなかった。

 やはり、ゲームと現実は違うということだろう。前世で読んでた、乙女ゲームに転生した系の話でも良くあったし。

 なんか、こうゆう系の話は現実だってちゃんと受け入れられてないと力が使えなかったりするんだよね・・・・・・

 一応、先祖返りじゃなくても血をひいているなら一般人より明らかに身体能力は高い。

 ハンターは先祖返りじゃないけど血をひいてますって人がなるのが多いらしい。普通の人では対応出来ないからね。ハンターになるには厳しい訓練が待ち受けてるってゲームではいってたはずだ。

 うーん、いろいろ大変だな!(他人事)

 



「怜、凛音、二人ともちょっと話があるからこっちに来てくれるかい?」


「「はーい!」」


 我らが父から呼ばれました。物事にふけっていると周りが見えなくなるから危ないですね。演技がバレないようにしなくては!

 それにしても、いつになく真剣な表情です。攻略対象の父親だけあってイケメンです。普段の仕事姿とかもいいけど、真剣な表情はさらにかっこいいね!

 まぁ、定番だよね。攻略対象の親が美形なのは小説でもゲームでもあることだ。

 話がそれたけど、表情から察するに離れて暮らせってやつだろう。絶対イヤダから、ここ二年で鍛えた演技力で乗りきってみせる!(前世でもそれなりに演技力はあったからそれも含めればいけるはず!)

 決意をしているうちに父が私たちに目線を合わせるためにしゃがみこむ。


「あのな、今日からバイバイして、お部屋別々にしようか」


 私はすかさず問う。うるうるした瞳も忘れずに。


「なんれ、バイバイしゅゆの?」


「・・・・・・怜が次期当主だからだ」


「?じきとうしゅ??」


 私は分かってて問いかけているが、怜は完全に分からないらしい。頭の上にはてなマークを出しまくっている。私が異常なだけなんだからあれが普通だろう。

 父にはこの演技が効果抜群なようなので、続行する。


「怜は大きくなったらパパみたいにお仕事することになるんだ。そのためにはいっぱい頑張らなきゃいけない。そのためにはバイバイしなきゃいけないんだ」


「パパみちゃいになりゅの?」


 キーワードで復帰したらしい怜が父に問いかける。


「そうだよ。だから、凛音とバイバイしようね」


 バイバイという言葉に怜はちょっと落ち込みぎみになる。

 今だな。私は、タイミングを狙って泣き出した。


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