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【揺花草子。】(日刊版:2014年)  作者: 篠木雪平
2014年3月
68/365

【揺花草子。】<その772:おもちゃの交響曲。>

 【揺花草子。】<その772:おもちゃの交響曲。>


 Bさん「閑古鳥が鳴くって言うじゃん?」

 Aさん「おっ、なんだ自虐ネタか?」

 Bさん「ちっ! 違うよなに言ってんの!!

     『揺花草子』は大人気だよ! 飛ぶ鳥を落とす勢いだよ!

     閑古鳥なんて撃ち落としてキジ鍋にしてやるよ!」

 Aさん「キジ鍋にできるのはキジだけだろ。

     どこにそんなに読者がいるって言うんだよ・・・。」

 Bさん「分かってないなぁ阿部さん。

     星の王子さまも言ってたじゃない。

     大切なものは目に見えないんだ。

     目に見えるものだけが全てじゃないんだよ。

     読者の皆さんはいつもぼくらの心の中にいるんだよ・・・。」

 Aさん「それっぽいこと言ってる風だけど!!

     結局読者いないってことじゃんか!!!」

 Bさん「そんなことより、閑古鳥ですよ。」

 Aさん「あぁ、うん・・・。

     全然『そんなこと』で片づけていいことじゃない気がするけど、

     まぁ、うん・・・。」

 Bさん「閑古鳥って、カッコウのことなんだってね。」

 Aさん「うん、そうみたいだね。」

 Bさん「森の中、静寂。時たま吹き抜ける風が木々のざわめきを奏でる。

     そんな中遠くから響いて来るどこか寂寥感のあるカッコウの鳴き声・・・。」

 Aさん「あー・・・うん、なんか情景が目に浮かんで来る。」

 Bさん「ところでさ、カッコウと言えば、『托卵』と言う習性がございます。」

 Aさん「うん。そうだね。聞いたことあるよ。

     よその鳥の巣に自分の卵を置くんだよね。」

 Bさん「うんうん。

     で、カッコウの雛ってわりかし短い期間で孵化するらしいから、

     産まれるや否やそのカッコウの雛は本来の鳥の卵とか雛とかを

     巣から蹴落としちゃうんだってね。」

 Aさん「うん・・・そう言うハナシだね。」

 Bさん「えげつないよね。いともたやすく行われるえげつない行為だよね。」

 Aさん「うん・・・それはD4Cだよね・・・。」

 Bさん「騙された親鳥も『あれこの子ちょっと大きいわね』なんて思いながら

     母性本能に基づいてカッコウの雛を育てちゃう。」

 Aさん「うんうん。」

 Bさん「でもさ、ぼく思ったんだけどさ。」

 Aさん「え?」

 Bさん「鳥にはさ、良くインプリンティングって言う習性があるじゃん?」

 Aさん「あぁ・・・擦り込みってやつだよね。

     雛が卵から孵って最初に見た動くものを親だと思い込むって言う・・・」

 Bさん「その概念で行くとさ、カッコウに托卵された卵から孵った雛はさ、

     その巣の本来の持ち主の鳥を自分の親だと思うわけじゃない?」

 Aさん「まぁ、そうなるだろうねぇ。」

 Bさん「カッコウってオオヨシキリとかモズとかの巣に托卵することが多いらしいんだけど、

     となるとそれらの巣で産まれたカッコウは果たして

     カッコウとしてのアイデンティティを獲得することができるんだろうか?」

 Aさん「いや、うーん・・・。

     そこは動物的本能的なアレで・・・。」

 Bさん「さらに言えば、本当の親鳥が、その托卵先で産まれた子供と出逢っても、

     子供の方は自分のことを親だと思ってくれないんだよ?

     『オバさん誰? マジ超イミフなんだけど。』ぐらいの空気出してくるんだよ?」

 Aさん「なんでちょっとイヤな感じのギャル風なの!!?」

 Bさん「おなかを痛めて産んだ子供が、自分のことを全然見てくれない。

     これは悲しすぎることだよ・・・。」

 Aさん「いやー・・・うーん・・・。」


 Bさん「だからカッコウのあの寂しげな鳴き声は

     子供を失った親鳥の悲哀に由来するんだね・・・。」

 Aさん「いや最初っから育児放棄してるだけだろ。

     親扱いされないのはある意味自業自得だろ。」


 愛情マジ超大事。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2014/03/09.html


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