【揺花草子。】<その1033:アルティメット。>
【揺花草子。】<その1033:アルティメット。>
Bさん「サンタさんはいないの?」
Aさん「えっ・・・!!!!!」
Bさん「? どうしたの阿部さん?」
Aさん「えっ・・・?? いや、えっ・・・???
色々な意味でえっ・・・???」
Bさん「あれー? 阿部さんたいそうな困惑ぶり。
そんなにおかしなこと訊いたかしら。」
Aさん「いや・・・サンタさんって、あのサンタさんだよね?」
Bさん「あのサンタさん。」
Aさん「赤い服の。」
Bさん「赤い服の。」
Aさん「恰幅の良い。」
Bさん「恰幅の良い。」
Aさん「白い袋を持ってる・・・」
Bさん「白い袋を持ってる。」
Aさん「トナカイに乗ってる・・・」
Bさん「トナカイには乗らないでしょ? 乗るのはトナカイが引くソリじゃん。」
Aさん「あっ、あぁ、そうだったそうだった。
あのサンタさんが・・・いるかどうかって、ぼくに訊いてるの?」
Bさん「そう。あのサンタさんがいるかどうかを阿部さんに訊いてるの。」
Aさん「いやー・・・そ・それは・・・。
・・・えぇー・・・!?
(幼稚園児とか小学生にならさらっと答えられるけど、
ブリジットぐらいの歳の子になんて答えるのが正解なんだろう・・・。
ブリジットの家って母子家庭だから、なんかそのあたりでも
普通の子供が成長に伴って普通に知るはずのことも知らないまま
ここまで育って来てるのかも知れないし・・・。
そうだとしたら夢を壊すのはあまりに忍びない・・・)」
Bさん「あのね、そんな難しく考えないで欲しいの。阿部さんはどう思うかって。」
Aさん「いやー・・・えーと・・・。
・・・あっ、そうだ、あれらしいよ! フィンランドのロヴァニエミって言う街には
サンタさんのオフィスがあるらしいよ!
そこには年中サンタさんがいるらしいよ・・・」
Bさん「うん、それはぼくもヨーロッパリベンジで観て知ってる。
でもそれはハンバーグとかくれるサンタさんでしょ。
あの人がマジサンタであるのは疑う必要がないと思うけど、
それはそれとしてですよ。」
Aさん「うっ・・・えーっと・・・。
・・・あっ、じゃあさ、ブリジットはどう思ってるの?
サンタさんはいると思う?」
Bさん「いるともいないとも言える。」
Aさん「(えぇ〜・・・)
どう言うこと・・・?」
Bさん「あのね、サンタさんって言う人はいないの。
いやいないって言うと言いすぎだけど、世界中の子供たちに一晩のうちに
プレゼントを届けてくれるハイパーな行動力を持つサンタさんと言う
ある特定の人物はいない。」
Aさん「お・おぉ・・・そ・そうなん・・・?
でも、いるとも言えるんだよね?」
Bさん「そう。
サンタさんと言う『概念』は存在する。」
Aさん「概念・・・?」
Bさん「つまりね、世界中の子供たちそれぞれにプレゼントをあげる
実際的な役割を担う人ってのはいるじゃん?
多くの場合、それはその子供の身の回りにいる大人だとは思うのだけれども。」
Aさん「う・うん・・・。」
Bさん「彼らは子供たちにプレゼントを届けると言うサンタさんの役割を与えられている。
その意味で、彼らは概念的にサンタさんと同義なんだよ。
つまり12月24日の夜、子供たちにとって大人はサンタさんと同一になり、
サンタさんと言う高次的存在を構成する一部になる。」
Aさん「なるほど・・・。」
Bさん「そう言う意味では、サンタさんは確かに存在する。」
Aさん「う・うん。」
Bさん「だからぼくは子供たちに
『サンタさんはいないの?』と訊かれたら
堂々と自信を持って『いるよ!』と
答えてあげて欲しいと思う。」
Aさん「お・おう・・・////」
全ての子供を想う大人がサンタさんになれる夜、それがクリスマスイブ。
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