【揺花草子。】<その733:ボックスも買いました。>
【揺花草子。】<その733:ボックスも買いました。>
Bさん「ちょっと昔の話していい?」
Aさん「え? う・うん。
珍しいね、きみはあんまり昔のこと話さないもんね。
2ヶ月くらい前に小学生の頃のハナシしてくれたけど、
他にはあんまり覚えないもんなぁ。」
Bさん「うん、まぁ、あの時も言ったけどぼくは過去を振り返らない性質だからね。
寝て起きると記憶リセットされるから。
ぼくは、ブリジットです。初めまして。」
Aさん「とってつけたような記憶のリセットのされ方だね!!?
日常生活に差し支えるだろそれ!!!」
Bさん「とにかく、昔の話だよ。」
Aさん「あぁ、うん。そうだったそうだった。
昔って、どんぐらい昔? また小学生ぐらいの頃?」
Bさん「いやーもっと昔。」
Aさん「じゃあ・・・幼稚園の頃とか?」
Bさん「まぁ阿部さんが幼女に興味があるのは分かるけど、それよりももっと昔。」
Aさん「人聞き悪いコト言わないでよ!
でも幼稚園より前となると・・・
もしかしてまだきみが日本に越してくる前とか?」
Bさん「いやぼくフランスに住んでた頃はちっちゃすぎて覚えがないんだよね。
だからその辺のハナシではない。」
Aさん「えぇ〜・・・? そしたらどんぐらい昔のことなのさ・・・。」
Bさん「あのね、1860年代半ば。」
Aさん「そう言う昔の話!!?
きみのことじゃないんだ!!?」
Bさん「ぼくの昔の話とは言ってないじゃん?」
Aさん「あぁ・・・うん、そうだけど・・・。」
Bさん「ともかく、1860年代半ば、場所はロシア・サンクトペテルブルク。」
Aさん「ロ・ロシアっすか・・・。」
Bさん「何があったか分かる?」
Aさん「いやちょっと質問が漠然としすぎですね・・・。」
Bさん「法学校をドロップアウトした青年が老女2人を殺害すると言う
凄惨な事件が起きました。」
Aさん「あれ? それは『罪と罰』のハナシ?」
Bさん「その青年、ラスコーリニコフと言う名前だけれども、なんと言うか高慢て言うかね。
世の中に変革をもたらし得るような天才は法や秩序を超越し自分の意志を貫いて良い、
つまりエリートは正義のためなら犯罪を許されるなんて言う歪んだ秩序観を持ってる。」
Aさん「うんうん。でも彼を2度目の殺人に駆り立てたのはただの保身に過ぎなかったよね。
そこには彼が誇るような正義なんてなかった。」
Bさん「そうなんだよ。確かに彼はエリートになり得る存在だったのかも知れないけれども、
結局は自らの罪と向かい合うことを恐れただけだった。
彼が『罪』を犯したあとお縄を頂戴するまでの暗澹とした1週間こそが、
ある意味彼が受けた『罰』だったのかも知れないね・・・。」
Aさん「うん・・・。」
Bさん「とは言え、彼はさ、ちゃんと救われたじゃん?」
Aさん「ああ、うん。そうだね。
罪を告白し、罰を受け容れることで生まれ変われると教えてくれた人がいた。」
Bさん「そう。極貧生活のなかで家族を養うために娼婦として働く事を強いられながらも
強く気高く、そして限りなく優しい女性、ソーネチカ。
ラスコーリニコフはソーニャと呼んでいたね。
Aさん「うん・・・。」
Bさん「ブロンドツインテのイメージです。」
Aさん「それはないと思うよ!!???」
Bさん「そして娼婦と見せかけて実は殺し屋。」
Aさん「それは完全にキルミーだよね!!???」
ちなみに中の人は686人のうちのひとりです。
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