【揺花草子。】<その974:今日をステキに始める場所。>
【揺花草子。】<その974:今日をステキに始める場所。>
Bさん「風が吹けばIKEAが儲かるって言うじゃん?」
Aさん「言わないよ。
風が吹かなくてもIKEAは儲かるよ。
まだしばらくは混雑が続くよきっと。」
Bさん「ぼくらの街ではここ10年弱ぐらいの間で南部副都心の再開発が進んでるよね。」
Aさん「うんうん、そうだね。
あっち方面ってなかなか行く機会ないけど、たまに行くと昔と街並全然違ってて
すっごいびっくりするよ。」
Bさん「ちょっと前だけどさ、うちのポストにIKEAのカタログが入っててね。」
Aさん「へえ、そうなんだ?」
Bさん「ちょっと暑い日でさ。
風通し良くしようと窓開けて、吹き込む風に身を委ねながら
窓際の椅子に腰掛けてカタログに目を落とすぼく。
その日は休日だったんだけど、ママンはちょっとお出掛けしてて、
ぼくはひとりでお気に入りの紅茶なんかを飲みながらお留守番中。」
Aさん「あー・・・それはアレだね、画を想像しながら聞いてくれってことね?」
Bさん「素敵なソファやカーペット、間接照明にテーブルにカーテン・・・。
カタログには可愛らしい家具がいっぱい掲載されています。
こんな家具や調度品で囲まれた暮らしができたら、どんなにステキなことかな・・・。」
Aさん「ほほう・・・。」
Bさん「そんな妄想が捗るカンジのカタログでした。」
Aさん「妄想が捗るとか言うなよ。ちょっと良いカンジだったのに。」
Bさん「カタログをぺらぺらめくるぼく。
窓から吹き込む、夏の残り香を含んだ、でも優しく少しだけ冷たい風が髪を揺らす。
午後のやわらかい陽射しが注ぎ込む。
紅茶の香りが心地良い。
そんなおだやかな空間の中で、いつしか弛緩していくぼくの意識。
──いつの間にかぼくは、うたた寝をしてしまっていました。」
Aさん「うん・・・。」
Bさん「目を覚ましたのは、窓の外から聞こえる大きな音のせいでした。」
Aさん「大きな音?」
Bさん「急に空模様が怪しくなってね。かなり強い雨が降って来たんだよ。
雷も鳴り出してね。」
Aさん「あぁー・・・。うん、最近そう言う日あるよね。」
Bさん「風もけっこう出てて。開けていた窓際に雨が吹き込んでびしょびしょになっちゃって。」
Aさん「うわー・・・それは大変だ・・・」
Bさん「あぁまずいまずい、窓閉めなきゃ、って思ってたら、ちょうどママンが帰って来て。
もう突然振り出した雨にやられてびっしょびしょなわけです。
しかもそのまま部屋に入って来ちゃうから、もう玄関マットやら
リビングのカーペットやらソファやらもびちゃびちゃ。
そして窓から吹き込む雨のせいでカーテンもびしょびしょ。」
Aさん「あぁ・・・それは厳しい・・・。」
Bさん「まぁだいぶ古くなって来ちゃってたし、良いきっかけだしってことで、
カーペットとかカーテンとかモロモロまとめて新調することにしたのね。」
Aさん「へえ、そうなんだ?」
Bさん「で、この前、IKEAでいろいろ買って来たんです。」
Aさん「あぁ・・・。」
Bさん「結果的に風が吹いたらIKEAが儲かったわけ。」
Aさん「なんと言う強引な結末!!!!!」
突然の雨とか要注意。
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