【揺花草子。】<その931:目指せ広辞苑。>
【揺花草子。】<その931:目指せ広辞苑。>
Bさん「ありそうでない言葉、ってあるじゃん?」
Aさん「え? なに?」
Bさん「日本語は語彙の豊富な言語だと思うんだ。
桜の花びらが空を舞い来る様子を表すのにも
『はらはら』とか『ひらひら』とかいろんな言い方があるじゃん。」
Aさん「はぁ・・・。」
Bさん「一人称にしたってそうだよ。
『ぼく』『わたし』『オレ』『自分』『吾輩』『拙者』『小生』『小職』・・・
枚挙に暇がないよね。」
Aさん「ふむふむ。確かに。
自分を表す言葉がこんなにいっぱいある言語は他にはないかも知れないね。」
Bさん「もちろん一人称だけじゃなくね。
さっきも言ったようにある状態をいろんな言葉で表せることが多い。
例えば雑踏の様子を表すにしても『がやがやしている』とか『賑わっている』とか
『人でごった返している』とか『芋洗いのような人出』とか『黒山の人だかり』とか
いろんな表現がある。」
Aさん「そうだね。確かにいろんな表現がある。」
Bさん「そんな、何でもかんでも名前がついてそうなレベルで語彙が豊富なのに、
意外と『これはなんて呼んだらいいんだろう』ってこともあったりする。」
Aさん「え・・・? そうなの? 例えばどんなの?」
Bさん「例えばぼくの阿部さんに対するこの気持ちはなんて呼べばいいんだろうとか。」
Aさん「えっ!!//// なにそのちょっとした唄の歌詞みたいなの!!」
Bさん「基本的には憎らしくて鬱陶しくてゲル状に溶けてなくなればいいと思っているのに
いなくなったら仕事が減るから困るなぁ、と言う気持ちなんだけど。」
Aさん「そんな複雑な感情を表す言葉はないよ!!
と言うかきみぼくのことそんな風に思ってたのかよ!!」
Bさん「とにかく、そんな風に『こういう状態をどう表現すればいいのか』と言う事態に
ブチ当たることがたまにあります。」
Aさん「そう・・・かな。」
Bさん「そう思わないのは阿部さんがそもそもそう言う考え方をしないからだよ。
今自分が持ってる語彙で全部世界を表し尽くそうとしていて、
そこからはみ出す場所に足を踏み込もうとしてないだけなの。」
Aさん「な・なんか辛辣な物言いだけど・・・。
でも、まぁ、それはそうかも知れないね・・・。」
Bさん「阿部さんも表現者としての自覚を持ってよ。
絶えず自分のフィールドを広げる努力をしていかないと
あっと言う間に陳腐化しちゃうよ。
阿部さんはいつもリアクションおんなじだなぁとか言われちゃうよ。」
Aさん「うぐっ・・・」
Bさん「例えば、阿部さんなら今日みたいな暑い日をどう表現する?」
Aさん「え? それは『うだるような暑さ』とか『刺すような日差し』とか『灼熱』とか・・・
いろいろあるんじゃないの?」
Bさん「なるほどなるほど。
でもそれってなんか『暑いぜもうたまらんぜ。やってられないですわ。』
って言うニュアンスじゃん。」
Aさん「まぁ・・・そもそもぼく暑いの苦手だしね・・・。」
Bさん「もっとなんと言うか、夏のさわやかさとかさ、解放感とかさ、
そう言うプラスの側面を強調した言い方が欲しい。」
Aさん「はぁ・・・。」
Bさん「で、ぼくは、思いついたわけ。
実にシンプルに夏の夏らしさを表現する新しい言い方。」
Aさん「そ・そうなの?」
Bさん「『夏々しい。』」
Aさん「(確かに聞いたことない言い方!!!!)」
まぁ流行るかどうかは。
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