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【揺花草子。】(日刊版:2014年)  作者: 篠木雪平
2014年8月
221/365

【揺花草子。】<その925:ダメな帰納法の例。>

 【揺花草子。】<その925:ダメな帰納法の例。>


 Bさん「夏は出逢いの季節と言いますね。」

 Aさん「そうですか? それは春じゃないの?」

 Bさん「春は出逢いと別れの季節でしょ。

     まぁぼくらとしては『出逢いと別れ』じゃなく

     『別れと出逢い』と表現したいわけだけど。」

 Aさん「あぁ・・・その順番については前に議論したことあったっけね・・・。」

 Bさん「とにかく夏はバケーションの季節ですから。

     いろんなところに出かければ自然人と出逢うことも多いってわけ。」

 Aさん「きみは致命的にインドア派だろ。

     行動半径はいいとこバス地下鉄徒歩で動ける範囲だろ。」

 Bさん「ちょっと! そう言う話をしてるんじゃないの!

     世間一般にってことだよ!

     阿部さんのそう言う何でもかんでも物事を目の前の事柄に限定して見る

     近視眼的な発想にはほとほと愛想が尽きるよ!」

 Aさん「おまいう!!!!!

     偉そうなこと言ってるけどきみだって大概そうだよね!!?」

 Bさん「まぁとにかく出逢いの季節。

     であるけれども、今日ぼくはここで一般常識と化したそのテーゼを

     破壊してやろうと思ったよ。」

 Aさん「はい? なにそれどう言うこと?」

 Bさん「あのね、この国では古くから『袖振り合うも多生の縁』と言いますね。」

 Aさん「まぁ・・・言いますねぇ。」

 Bさん「見知らぬ他人とは言え偶然袖が振り合うのも宿縁の故ですよーって言う。」

 Aさん「そうだね。

     だから人との出逢いは大切にしましょうねってことだよね。」

 Bさん「え? そうなの?

     世の中には偶然なんてない、あるのは必然だけってことじゃなかったっけ?」

 Aさん「CLAMP先生みたいな物言い!!

     確かそんな意味ではなかったはずだけど!!?」

 Bさん「ま、とにかく袖が振り合うことによって出逢いが生まれると言うわけです。」

 Aさん「うーん・・・。」

 Bさん「でも時候は夏真っ盛り、街行く人々はみな半袖とかノースリとかで、

     袖を振り合わそうにもそもそも袖が短かったりなかったりする。」

 Aさん「え? いや・・・。」

 Bさん「と言うことは夏は『袖振り合うも多生の縁』を実現しにくい季節だと言える。」

 Aさん「(えぇ〜・・・)」


 Bさん「それで『夏は出逢いの季節』だなんて

     言えるはずもなかろうさ。」

 Aさん「なんなのその超理論。」


 無い袖は振れない。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2014/08/09.html


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