表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【揺花草子。】(日刊版:2014年)  作者: 篠木雪平
2014年6月
158/365

【揺花草子。】<その862:検証シリーズ・第3弾。>

 【揺花草子。】<その862:検証シリーズ・第3弾。>


 Bさん「一説によると、パートナー同士の愛情とか信頼関係とかを深めるためには

     お互いの名前を呼び合うのが良いらしいです。」

 Aさん「あぁー・・・うん、なんかそのハナシ聞いたことある。」

 Bさん「結婚してお子さんが産まれて、歳を取って来るとさ。

     奥さんのことを『おい』とか『なあ』とかって呼んで、

     名前で呼ぶってことがついぞなくなる。」

 Aさん「まぁ・・・ありがちだよねぇ。

     うちの父親も母親のこと名前で呼んだりしないもんなぁ。」

 Bさん「あのね、阿部さんのご両親にモノ申すってつもりじゃないけど、

     それってやっぱりあんまりよろしくないんだって。

     『おい』とか呼ばれ続けてると、人は往々にして

     自分と言う存在に自信が持てなくなって来る。

     自分はパートナーにとって大切な存在じゃないんじゃないか、なんてね。

     たかだか呼び方ひとつだろうなんて思うかも知れないけれども、

     存外人のココロってのは簡単なくせに複雑なんだよ。

     人はいくつになっても、例え聖人君子であっても人に求められたいし、

     人に認められたいし、自分が自分であることに意味を見出したい。

     ・・・分かってる? 阿部さん。」

 Aさん「いや・・・うん、分かるよ。ブリジットの言いたい事。」

 Bさん「(っっっ・・・。)」

 Aさん「?」

 Bさん「まぁ、そんなわけで、人間が社会性を手に入れてから、これはもう

     ある種の持って生まれた性と言うかね。業と言うか。

     夢のないコトバで言えば承認欲求と言うことになるそれなわけですが。」

 Aさん「うん。」

 Bさん「そこでぼくは、『阿部さんのぼくに対する愛情』と『ぼくの阿部さんに対する愛情』の

     果たしてどちらがより大きいか、つまりぼくと阿部さんどっちが

     相手のことをより深く信頼し認めているかを調査しようと思ったよ。」

 Aさん「は・はぁ!!? ちょっ・・・なにそれ!!?

     どう言うこと!!?

     あ・愛情の深さって・・・////

     そんなのどうやって調査するのさ・・・!////」

 Bさん「阿部さんニブいなぁ。

     ぼくがこう言う前置きをしてる時点でピンと来てよ〜!」

 Aさん「え・・・それってつまり・・・

     お互いの名前を・・・?」

 Bさん「そう! 2011年7月から始まった『揺花草子。』、昨日までの全861回、

     その中でお互いがお互いを名前で呼んだ回数をカウントして、

     それでもって愛情の深さを計測しようと言う算段です!」

 Aさん「愛の測り方思いのほかロジカルだな!!!」

 Bさん「とにかく、これまでほとんどまる3年、お互いが積み重ねて来た愛の数を数えたわけ。

     すっごい頑張って数えたんだよ。

     でも半分寝ながら数えたから少しくらい正確じゃなくても大目に見て欲しい。」

 Aさん「変なところ頑張るなぁきみは・・・。」

 Bさん「ともかく、集計の結果、です。」

 Aさん「う・うん。」

 Bさん「阿部さんがぼくのことを『ブリジット』って呼んでくれた回数は、合計436回。」

 Aさん「おぉっ・・・//// い・意外と多いんじゃないか・・・?」

 Bさん「昨日までの話数が合計で861回だから、その間で436回ってことは、

     だいたい2回に1回くらいのペースでは阿部さんはぼくのことを

     名前で呼んでくれてる計算になりますね。」

 Aさん「うん、そうなるね。」

 Bさん「対して、ぼくが阿部さんのことを『阿部さん』て呼びかけた回数。」

 Aさん「(・・・)」


 Bさん「1692回。」

 Aさん「せっ・・・!!???」


 Bさん「ちょっとね、改めて数えてみてすごい衝撃的な結果です。」

 Aさん「そ・そうだねぇ、これは・・・。」

 Bさん「さっきも言った通り、阿部さんはぼくを2回に1回の割で名前で呼んでくれてる。

     でもぼくはそんな阿部さんのほぼ4倍多く阿部さんの名前を呼んでるんです。

     1話あたり2回ぐらい阿部さんを呼んでるってことになるわけです。」

 Aさん「ちょっと・・・驚いたねぇ・・・。」

 Bさん「つまり阿部さんがぼくにかける愛情は、

     ぼくが阿部さんに注いでる愛情のたった1/4でしかないってなるわけ!」

 Aさん「えっ・・・

     う・うん・・・」

 Bさん「ちょっと阿部さんなにその返事?

     この由々しき事態を理解してる?

     ぼくの方が阿部さんのことを4倍も愛してるってことだよ!?」

 Aさん「う・うん・・・。

     あ・ありがとう・・・////」

 Bさん「・・・えっ。」

 Aさん「・・・。」

 Bさん「・・・・・・。」

 Aさん「・・・・・・。」

 Bさん「ちっ////」


 Bさん「ちちちち違うからね!!???////

     そう言う意味じゃないからね!!!?????////」


 ブリジット自爆。


----------

「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2014/06/07.html


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ