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【揺花草子。】(日刊版:2014年)  作者: 篠木雪平
2014年4月
105/365

【揺花草子。】<その809:ソーシャルエンジニアリング。>

 【揺花草子。】<その809:ソーシャルエンジニアリング。>


 Bさん「詐欺に遭いました。」

 Aさん「えぇっ!!??? マジで!!???」


 Bさん「マジマジ。

     ジーマーでギーサーに遭いました。」

 Aさん「そんな言い方は初めて聞いたけど。

     ・・・って言うか、詐欺って、どんなん?

     なんか後引いちゃってんの?」

 Bさん「いや、そんなこともないんだけど。

     泣き寝入りすればいいだけだから。」

 Aさん「ダメだろ!! しかるべきところに訴えなきゃ・・・。

     どんな手口で、どんな被害を受けちゃったの?」

 Bさん「あのね、それはある朝のことでした。」

 Aさん「う・うん。あぁ、再現VTR的なカンジなんだね?」

 Bさん「『うーん、今日も天気が良くて気持ちいい朝だなぁ!

      よーっし、今日もがんばるぞ〜!』」

 Aさん「そんなセリフとかまで再現して行く演出方針なの!!???

     しかもきみ普段からそんなテンション高くないよね!?」

 Bさん「ま、ともかく。

     その日、いつものようにスタジオに向かっていたぼく。

     バスを降り、街角をてくてくと歩く。」

 Aさん「うんうん。」

 Bさん「と、ぼくの10メートルほど先には何やら女性が立っています。

     20代前半ぐらいのお姉さん。

     少し明るめの色のショートボブの髪と可愛らしい笑顔が魅力的なそのお姉さんは、

     道行く人々に何やら配っていました。」

 Aさん「ふむふむ。」

 Bさん「『あれあれ〜? あのお姉さん、なにを配ってるのかな〜?』

      ぼくちょっと気になっちゃうなぁ?』」

 Aさん「また再現VTR風の演出になった!! そしてキャラが違う!!!」

 Bさん「『まるで文化祭の各部の出し物にいちいち引っ掛かって全然目的に辿り着けない

      ポンコツヒロインぐらい気になっちゃうなぁ〜!』」

 Aさん「えるたそのことを悪く言うな!!!」

 Bさん「実はぼくってあんまり目が良くないからさ。

     少し離れたところからはお姉さんが何を配っているかは判断が付かなかった。

     しかしその腕に提げている紙袋は例のご存知シアトル系コーヒーチェーン店のそれ。

     あの特徴的なグリーンのストアロゴは遠目からでもはっきり判ります。」

 Aさん「ほうほう。」

 Bさん「まぁ要するにスタバさんの紙袋。」

 Aさん「ハッキリ言っちゃった。」

 Bさん「となると、思うよね?

     『もしかしたら何らかの新しいサービスのお知らせを配ってるんじゃないか?』

     『あるいは何らかの試供品を配ってるんじゃないか?』」

 Aさん「確かに、思うよね。そう考えるのに不合理はないと思うよ。

     おウチやオフィスでも手軽にスタバの味を楽しめるインスタントコーヒーとか

     配ってたりしたの?」

 Bさん「そう思ってそのお姉さんに近づいていくぼく。

     すれ違いざま、お姉さんはぼくに『それ』を差し出してくれました。

     受け取り、さて何をくれたんだろうと手元に視線を落とせば。」

 Aさん「落とせば・・・?」


 Bさん「美容院のポケットティッシュでした。」

 Aさん「スタバ関係なかった!!!!!」


 完全に紙袋に騙された。


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「Meister's Brief」から自動転送

http://www.studiohs.com/28if/brief/2014/04/15.html


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