表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/44

ラブレターはほどほどに 2

「でだ」

友人が腕を組んだ。

「ええ」

生徒会副会長が眼鏡に指をやった。

「具体的に何をやったらいいんだろうな、カルネ」

「具体的に何をやったらいいのかしら、ペンサーレ君」

「しばいたろかお前ら」

開始早々投げるな。

囲碁だったら「お願いします」の直後に「負けました」と言ってるようなもんだぞ。

コーレアさんはかわいそうなぐらいに狼狽えていた。

なるほど、弄ってはいけないキャラだな。こいつらの餌食になるタイプだ。

なんとか守ってあげないと。

「だって学年も分からないもの……しぼりようが無いわ」

お手上げ、というようにムトンさんが手をあげる。

確かに。

この千人はいる学校で、特定の個人へ想いを持つ人間を探すのは簡単ではない。

「お前んとこの仕事場、文字の鑑定とかできないのか?」

さらりととんでもないことを友人がいいやがった。

僕は慌てて友人の胸ぐらを掴み引き寄せ小言で注意する。

「僕がバイトしてんの学校側に知られたらヤバイんだって!」

「でもさぁ、この子がペラペラ喋るとは思えないぜ」

「でもほら、『うわぁわたしが頼んだ人校則違反してたんだ死ねばいいのに』とか思われたくない」

「変なところでネガティブだなお前は……」

最悪なパターンを想像しておけば大抵は精神的に負担が減る。

僕が17年生きて学んだことだ。うん、なに学んできてるんだろうね。

なんというか、僕は打たれ弱いから他人からの評価がそれなりに怖い。

だから必要以上に凹まないための予防策なのだ。

まあ現実にそっくりそのまま同じこと言われたら泣きそうだけど。

「ここだけの秘密だけど、ペンサーレ君、探偵のバイトしてるのよ」

「え」

「副会長、貴様ァァァァァァァッ!!」

あっさり人を売りやがっただと!

勢いよく立ち上がったために椅子が後ろに倒れる。

周りが白い目で見てきているが気になんかしてられない。

「あら、小声だからセーフよ。セーフ」

野球の審判がするような両手を横に広げる動作をするムトンさん。

「アウトだ!」

アウトの動作がわからなかったけどとにかくアウト。僕の平和な学校生活が終わる。

原稿用紙十枚+生活指導なんて嫌だ。

しかも新ルールで学年×十枚だからね。二十枚だからね。死ぬよね。

「……ぺ、ペンサーレ君バイトしてたんですね…」

僕が立ち上がったことに目を白黒させている。

悪いが仕方あるまい。

「お願い、黙ってて!僕を生かしたいのなら!」

「は、はい」

「ありがとう」

ほっと一安心したもつかの間。


「コーレアになに詰め寄ってンじゃしばくぞオラァッ!!」


怒声が響いたかと思うと、僕の顔面にハードカバーの本がごっつんこした。

「あべしっ」

そのまま後ろに倒れる。

当たったのが角じゃなくて良かったなんて思いながら意識がブラックアウトした。スイーツ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ