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青と赤の救出作戦!? 12

久しぶりです

シアンちゃんが首をしめられていた。

認識した瞬間、松葉杖をなげつけていた。


遊んでいる暇じゃなかったと後悔する。

中学時代のアイツの真似っこをしている場合じゃなかったのだ。

まあ、必殺技が精神崩壊なんてどこの厨二マンガだよとかは思うが。



「年下を絞めることは楽しいですか?ねぇ、誘拐犯さん」


声が少し震えていることに気付いた。

どうやら僕はキレてる、ようだ。

自分のことなのにようだってのはおかしいけど。

抱えるこのモヤモヤした感情が分からないんだからしょうがない。


子供を誘拐したことにたいしてなのか、

クスリなんかすっていたことにたいして怒りを感じているのか。


否。


多分、シアンちゃんが一瞬見せた悲しい顔が。それが僕を動かしたのかもしれない。

……なんて。

クサいセリフもほどほどにしないとな。これが僕の場合死亡フラグに直結しかねないから。

「にく……」

「言っておくけど、僕、シアンちゃんより弱いからどうなるか分からないよ」

現に足折れてて治療中だから動きも遅い。

それに、女の子のピンチにちょうどよく来たとは言え、ヒーローみたく強くない。

柔道じゃすぐ投げられるし。

ドッジボールじゃ狙われるし。

バスケじゃ顔面に受け止めるし。

バレーじゃつきゆびするし。

これただの運動音痴じゃねーか。

「んだよてめぇ……」



わぁい。すごい睨んでくる。

「ええと…通りすがりのバイト探偵です」

「それどっかで聞いたぞにく」

シアンちゃんの意見はスルーしとく。

目にかかる前髪がじゃまので横にずらした。そろそろ切りにいかなきゃな。

「どいつも邪魔ばかりしやがって――」

唸るように恨み節を吐いてきた。

残念なことに僕はそれらを受け止められるほど優しくもないし余裕もないし時間もない。

「すいませんね。あなたの邪魔しにきたわけではないんです」

へたりこむシアンちゃんと、抱き抱えるアンジュちゃんと、二人を守るように立つマゼンタちゃんを見やる。

その後に、大人しく黙って事を見守る子供たちに視線を移してから言う。

「帰ろっか。お母さんたち心配してるよ」

それにこんな埃まみれのところ、いても身体に悪いし。

「待てよ!なに勝手に帰ろうとしてんだ!!」

「なにって帰る家がありますからね。カラスが鳴いたら帰らないと」

何を今更。

このなんだか分からない男の人は余裕がなくなってきているな。

「…カスが!ここから生きて出られると思ってんのかよ!」

「思っているからこそ言うんです」

「じゃあお前から殺してやんよ!」

男の人は懐から拳銃を取り出した。この人も拳銃持ちか。

どよっと周りがどよめく。

「……ベレッタですか。よくもまあ入手できましたね」

父親の趣味だったのもあって、見覚えがあった。実物は始めてだけど。

何度も言うが、この国じゃ違法だ。

暴力団経由かな。お金ないのに。

「ふん――怖じけついたか?」

「いえ。過去に三回ほど殺されかけたことありますし、それから」

がん鉄下ろしてないし。

言おうとしたまさにその時。


「…なにしてんだ、カルネ」


アスマルトさんが後ろに立っていた。

なんで刑事が危険なところの最前線にいるんだよ。

シスコンのなせる技か。

「……早かったですね」

「紐が落ちていたからな。それを辿ってきた」

「ヘンゼルとグレテヤルごっこはどうでしたか」

「グレーテルな。あとでたっっぷり話してやるから黙ってろ」

「……」

もしかしたら、アスマルトさんのほうがやばいかも。

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