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副会長と僕と窃盗事件 4

拉致られ、僕はムトンさんの後ろを歩いていた。

意外と背低いんだな。ちょっと高いような気もしたんだけど。

「で、僕をどこに連れていくんだい?」

「2のC。理由は現場検証よ」

「つまり」

「ええ、また盗難事件が起きたの」

ふぅむ、朝っぱらからか。

Cクラスの近くで彼女は立ち止まる。正確には立ち止まらざるを得なかった。

人で通路が埋まっていたからだ。


「あれか」

「あれよ」

廊下に置いてあるロッカー。

そこで何かがあったということは見て分かる。

「聞いてみましょうか」

「何が起きたか分かっているくせに」

「あら、よくお分かりで」

「知らなかったら君、僕をここに連れてきてないじゃんか」

「そりゃそうよね」

飄々とした態度で僕の文句を交わした。

まあ、こんな性格の人だろうとは予想していた。

いちいち突っかかるような人じゃ生徒会なんてしちめんどくさい役職にはつかないだろうし。これはただの予想だけど。

少しだけ背伸びして野次馬の肩越しに覗き込む。


開かれたロッカーの扉。

壊された鍵。

荒らされた様子のあるロッカーの中身。


なるほど、典型的な盗難パターンだ。

悩むまでもなく、盗まれてるっぽい。

いかにも盗まれましたよ感溢れている。

「被害は?」

「PSPとFF零式のカセットだとか」

「カセットとか、ずいぶん君古い言い方するんだね」

「今すぐあなたをこの事件の犯人にしたてあげてもいいわよ」

「ごめんなさいそれだけは勘弁してください僕は悪いことしてません」

古い言われただけでおこるとかどこのおばちゃんだ。

というか脅しではなくマジでやりそうだから怖い。

Cクラスの担任がやって来て、被害者に色々と聞いている。

こっそりと聞いた内容を箇条書きすると。

・昨日の放課後までは確かにあった

・ゲーム機をたまたま今回忘れてしまった

・朝来たら鍵が壊れた状態でぶら下がっていた

・開けてビックリ玉手箱

たまたま忘れたことを知っている人間だな。

だとしたら、被害者の子には悪いけど犯人は最も近い子、例えば友達だとか。

…前々から誰かが機会を伺っていたというのもありえるな。

しかし、ゲーム機とソフトね。

昨日の放課後、最終下校時刻ギリギリに盗みとられたとしたなら下手すりゃもう売られているんじゃないかな。

そこそこいい小遣い程度にはなるだろう。

「……放課後かな」

「え?」

「いんや。放課後、町に繰り出そうと思って」

中古ショップに売りにいってるとしたなら。

誰が売りに出しているのかすぐに解るだろう。

「聞き込み?」

「みたいなもの」

「なんだか、ちゃんと調べてくれるのね」

「そう?」

「ええ」

「案外真面目だからね僕」

「…………」

ドン引かれた。そりゃもう、物理的に五センチぐらい引かれた。

なんでだ、ちょっとお茶目なこと言ってみただけじゃないか。

っていうより僕元々真面目なんだけどな。

授業サボらないし、宿題やってくるし、掃除もちゃんとするし。

中2中3の頃なんか学年順位五位前後をキープだった。

…もっとも、他のことを考えたくなくて勉強をしていた結果だけど。

「放課後、一度生徒会に寄ってくれない?」

小言でムトンさんが言った。

ここまでざわざわしていたら普通に話していても聞かれないとは思うのだが。慎重なタイプなんだろう。

犯人に盗聴されてるとか、盗難だけに。なんの面白みもない。

ともかく、そういう可能性は拭いきれないわけだ。

「いいけど、なんで?」

「盗難リストをコピったから渡すわ。協力してくれてるお礼」

どっからそういうのをコピってくるんだろう…。

詳しくは聞かないでおく。

頭上のスピーカーからチャイムがなった。もう始業だ。

「戻るよ」

「わたしもそうするわ」

ばっばーいと手を降りあって、別々の方向へと別れた。




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