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副会長と僕と窃盗事件 1

その日、僕は図書室で勉強をしていた。

テストはまだ先だけどそろそろ準備しておかなければいけない。

左腕も順調に治っていき次の受診時には完全にギプスが外される。

そんな、大きな事件も起きない平和な日々。


かと思ったのだが。


「誰、ですか」

例えこの一言で厄介事が舞い降りるとしても、聞かざるを得なかった。

さっきから僕の目の前に座りじっと僕を見つめてくる少女。

制服に付けられた校章の色からして同級生なのは確かだ。

眼鏡に、みつあみ。

まさに優等生といった感じ。

「忘れてしまったの?ベッドの上であんな熱い一時を過ごしたのに」

「残念ながら僕は布団派でね」くそ真面目な顔でジョークを飛ばしてきたのでこちらもくそ真面目に返答した。

つまらなそうな表情を浮かべ、彼女はやれやれと首を振った。

「もう少し、面白い反応が出来ないわけ?あなた」

「無茶を言わないで下さい。それより、君は誰だい?」

「生徒会副会長、ムトン・ウール。クラスは特AのC組よ」

記憶を辿ってみてもピンとこない。

そもそも特Aとは交流持っていないんだよな。僕は普通科の理系、生物選択だから。

「うーん…知らないです」

「おかしいわね。あなたには昔、自己紹介したはずだけど」

「ごめん、いつ頃?同じクラスだったっけ」

「あなたとは同じクラスに一度だけなったけど…まあいいわ」

彼女は残念そうな顔をした。

同じクラスって、特Aと一緒になったことはないからな。中学生の時か?

ムトンさんは腕組みをして、じと目で僕を観察する。

これでシニカルな笑みを浮かべて机に肘をつけ、組んだ両手の上に顎を乗せていたらぶん殴っていたところだ。

アイツのことが大嫌いなくせにしっかり癖を覚えている僕って…。

転校したけどアイツ生きてるのかな。


「ま、これから覚えて貰えればいいわ。あなたに頼みがあるの」

「頼み?」

「校内で頻繁に今、貴重品が盗まれているでしょう?」

嫌な予感がした。

「――犯人探し、手伝ってくれない?」

嫌な予感的中だ。

「どうしてそれを僕に……」

身を乗り出してムトンさんは小さな声で言った。

「あなたバイトしているんでしょ?」

頭の中が真っ白になった。

どうして彼女がそれを知っているんだ。

友人ぐらいしか言ったことないのに。

「この学校、基本的にバイト禁止なんだけど知ってた?」

もちろんだ。

生徒手帳に一度二度目を通しているから、バイトが禁止なことは知っている。

もしバレたら生活指導の先生と密室で一時間みっちり叱られ、それから原稿用紙五枚の反省文。

「……」

もしかしたら前回の猫探し騒動よりもはるかにヤバいかもしれない。

冷や汗が止まらない。

「……ギロチン台にあがる人みたいな、絶望に染まった顔してるけど」なんだその例え。

「きょ、脅迫?やらなきゃバラすとかそういう?」

「ええ」

ガッターン。僕は死んだ。スイーツ(笑)

椅子から転がり落ちた。最近よく落ちるな。

「金を出せとかじゃないわ。あなたの推理力を買って頼みごとしたいわけ」

「そんな、探偵じゃあるまいし。ていうか、探偵でも推理しないよ」

「話を反らさない。別に探偵であろうがなかろうが推理力には関係ないでしょ」

「僕、推理力まるでないんだけど」

「……あなた、ほんっっっとうに忘れてしまったわけ?」

呆れたような寂しいような、そんな声色だった。

むむ、これは早急に思い出す必要があるみたいだな。

中二から前ぐらいのことだろう。その後の時期は人付き合い遮断していたし。

お陰様で今は友達少ないわけだ。

まさに自業自得。僕を怖がって離れた人もいたりするんだよな。

話を元に戻そう。

「でも今、防犯対策とかちゃんとやってるし」

「それでもダメ。見回っても簡易な鍵をかけても盗まれてしまっている」

「それは不思議だね……」

ミスターマリックやら鍵っ子キャサリンやらいるなら話は別だが。

非常に悩ましいため息をついて生徒会副会長は俯いた。

「生徒会としても、なんとかしたいんだけどなかなか…」

そして掴んだ藁が僕だったと。

確かにここんところクラスメイトも頻繁にもの盗まれてるからな。早めに対処しないとこちらにも被害がくる。

「…ま、頼まれたからにはやるよ」

「本当に?」

「ただし、結果は期待しないでね」

所詮能力なんかない普通の男子生徒なんだから。

「ありがとう」

そう言った彼女の顔を、僕は昔見たことがあったように錯覚した。

本当にそれを前見たことがあったのか、脳が勝手に先ほどの話を合成して「あったこと」にしてるのかは分からない。

というか勉強捗はかどらねぇ。



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