第12話 目黒和也はキスをする
◇和也◇
ああああああああああああ!
萌亜さんの唇にぃぃぃぃぃぃ、触れた。キス、ハプニングキス……!漫画だけの出来事だと思っていたのに、現実に起きてしまった。
嬉しいけど、こんな嬉しいことはないけれど、偽装彼氏がそんな役得してもいいの?
萌亜さんからほっぺた叩かれてないから、これはハプニングで仕方がなくと思っているのは分かっているけれど。それでも、これは揺れたときにとっさの行動がとれなかった男の僕の責任だ。
「ご……めん」
小さく謝ると、萌亜さんが嫌だったか迷惑だったかと不安げな顏を見せる。
そうか、偽装彼氏なのにそこまでさせて悪かったと思ってくれてるのかな。嫌でも迷惑でもない……。むしろご褒美だとはさすがに口にしなかったけれど。
萌亜さんはまさかの「キス、して」って。
いや、嬉しいけど、やけになってない?冷静になろうよ、萌亜さんっ!あとで気持ち悪かったとか思われたくないよ。
男が苦手なのに無理しすぎるのも良くないよ!
落ち着かせるように、ちょっとクールタイムを持つために会話をしようと思って口を開く。
「ぼ、僕、そのキスとかしたことがないから、下手くそだと思いますよ……」
って、何を言っているんだ!これじゃあ、下手でいいならいくらだってキスするって言ってるようなもんじゃないか!
「私も、私も一緒だから。キス……かずっちが初めてで、うまいも下手も分からないから……」
萌亜さんが真っ赤になっている。
かわいすぎる。
「ほ、本当にいいんですか?」
ラブラブ写真を撮るためとはいえ、身をはりすぎなのでは?
いや、それくらい、しつこい誘いに危機感を覚えているってこと?
萌亜さんのためならなんだってしてあげたいし、正直、キスしたい!キスしていいっていうならいくらだってする!でも、冷静になった時にしまったと思われないようにしっかり確認を取る。
うんと、萌亜さんがゆっくり頷いた。
じゃあ……。
スマホを構える。
「ま、待って、かずっち、スマホでラブラブ写真を撮る前に、少し、その、練習、そう、練習しない?ほ、ほら、お互いにぎこちない感じだと、逆に、ね?」
練習?!
何度もキスしていいってこと?
「た、確かに練習……」
いや、いい気になるなよ僕!
「家で練習してからに」
「はぁ?誰と練習するの?」
怒ったような萌亜さんの声。
「え?いや、あの、動画見て……ぬいぐるみとかで……」
萌亜さんが僕の顔を両手で挟んで唇を押し付けた。
「練習の練習なんて言ってたら、練習の練習の練習も必要でしょ?」
照れた顏で、萌亜さんが笑っている。
「かずっち」
萌亜さんが、目を閉じ、唇と突き出した。
ええええ、ええ、えええええ、ああああ、おおおおお。
い、いただきます。
そうして、僕たちは何度も口づけを交わした。ラブラブ写真を撮るために。
===その他の人たち===
SNS「お似合いの二人!写真掲載許可も撮りました。ラブラブって書いてねって彼女さんかわいかった~!彼氏さんも照れた感じがかっこかわいかった!写真撮ったり撮らせてくれたりありがとう!」
亮くん「ん?この写真、かずっちたちじゃん。バズってるな~。ふむふむ俺プロデュースのかずっち褒められまくってるな。RTしとこう」
伊達先輩「この写真の女の子、どこかで見たことが……。あ!目黒の彼女!別の男と映ってる。ラブラブ?こっちが本命?目黒はやっぱり騙されてたのか?それとも、どっかのお店の子だった?確認した方がいいよな」
奈々ぴょ「えー、そっか、そっか、ついにかずっちが手を出してくれたか、いや、萌亜が手をだしたのか?何はともあれ、お祝いだぁ!飲みに行くぞ萌亜!」
??「なんだ、やっぱり佐久間男遊びしてんじゃん。前見せてもらったくそださ彼氏と別の男と写真写ってるし。ヤリマンなんだろどうせ」
??「萌亜先輩の新しい彼氏かっこいい。めちゃアタシの好みドストライクなんだけど~。NTっちゃう?」
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どうも。第一章完結です。いったん区切っときます。
実験的な作品をご覧いただきありがとうございました!
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