表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ストレンジアトラクター『いざ魔法世界へ!』  作者: 三海怜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/10

第5話

魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。

そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。


この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・

カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。

つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。


そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ

彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。


また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!


「ギルドの受付で初めて見た時に私は目を疑いました。もしかしたら生きていたのか!?と思ったぐらいです。

だから、スタンさんのことはほっとけなかったんです。あの人の顔が浮かんできて・・・」

「そうだったんですか!? その彼も冒険者だったんですか?」

「そうです。やっぱりスタンさんと同じようにダンジョンの魔獣討伐に出かけて消息を絶ってしまったのです・・・」


しばらく無言の時が流れて、

「スタンさん、だから会える時は会ってもらえると・・・なんか昔に戻ったような幸せな気分になるんです。」

「わかりました。では、今夜は昔話をしながら過ごしましょうか?」

「いいですね!有難うございます。」というとエルザは涙顔で立ち上がるといきなりスタンを抱きしめたのだった。


驚いたスタンは、『エルザさんっていい匂いだな〜 人生ってこんな不思議なことが起こるんだな・・・』を思いながら、エルザをかたく抱きしめてあげたのだった。

すると、エルザの涙がこぼれ落ちてきたのを感じた。

「エルザさん、座りましょうか?」と言ってスタンは彼女を優しく引き寄せてベッドに座った。

『こんな綺麗な女性にこんな風に好意を持ってもらえるなんて、たとえその彼の身代わりだとしても今は身寄りもいないから凄く有難いな!』と思ったと同時に、そもそも彼女の好意でこの特別クエストをもらったわけだから大切にしてあげたいと思った瞬間、エルザはスタンにキスをしてきたのだった。


スタンにしては若い大人の女性それも綺麗な女性とのキスは初体験である。

ほろ酔いしている体に熱った唇が触れて無意識にエルザに合わせて貪るようにキスをしている自分がいた。


そして疲れた体が麻痺状態になっていったかと思うと、気付いたら朝を迎えていたのだった。

「あれ、エルザさん??』

すでに彼女の姿はなかった。


スタンは幸せな気分になっていた。

今日は明日の出発に備えて受け取ったクエストの前金で護衛のための装備を揃えなけえばならないのだ。

スタンは、まず下に降りて朝食を食べた。

『しっかし、昨日のことは嘘みたいだな・・・あれってほんとにあったのか!?』と思うようにもなっていた。


そして、まるで可愛い中世ヨーロッパのような街を歩きながら行き交う人々を眺め幸せな気分の余韻を噛み締めていたのだが、武器屋の前に立った瞬間に現実の世界が戻ってきた。

『そうだ!俺は将来を決める護衛の任務があるんだ!! 今は双剣しかないから・・・前金で買えるぐらいの簡易アーマーが必要だな!!」と店の中に入って行った。


「はい、いらっしゃい!! 何が入用で?」

「こんにちは! 簡易的なアーマーを探しています。」

スタンの身なりをジロジロ見ていた店主が、

「お客さんの剣、素晴らしいですな!」

「わかります?」

「それはそうですよ、武器屋ですからね。ちょっと見せてもらってもいいですか?」

スタンは双剣を背中から抜くと丁寧に武器屋に渡した。


武器屋もそれを受け取ると慎重に扱いながら鞘から抜いた。

「へえー これスッゴイ剣ですよ! いわゆる魔剣ですね! 一体どこで手に入れられたのですか?」

と驚いた表情をしていた。

「・・・知人に託されたのです。」と咄嗟に嘘を言ってしまった。出所を知られたくなかったのだ。

「お客さんは魔法を使えるんですか?」

「いや、まだ・・・」


じっくりと細かいところまで観察していた武器屋は、

「こちらは火魔法の剣、こっちは水魔法の剣ですよ!! で、多分2本を合わせて使うと風魔法が発動する仕組みなんだと思いますが、それが真実かどうかはやってみないとわからないですね。 でもねー お客さん!火魔法と水魔法を一緒に使える方はそうはいないと聞きますんで・・・」と言って、また鞘に納めた。


「そうなんですね!教えてくれて有難うございます。B級冒険者なんで、それなりに剣は使えるんですが、魔法はこれから学ぶことになっているんです。明日から護衛のクエストがあるんで防具が必要で・・・」

「この剣種では、素早く動けることが必須になるので、やはり軽い簡易アーマーがお勧めですね。ご予算があるとは思いますが、肩・胸部そして腰回りはカバーしたいところですね。それと魔力攻撃を通さず揮発できるタイプもありますよ。」

「それはいいですね!お勧めは?」というと、武器屋は店の裏倉庫に姿を消した。


スタンはその間、店の中を見て回り、こんなにも武器の種類があるのか!?と感激していた。そして、あるものを見つけた。

『これっ いいかも!!』

それは頑丈な素材でできた長鞭であった。

彼は思わず手に取り振ってみた。「ビュイン!」凄い速さで戻りがありしかも先端が小さいナイフ状になっているのだ。

『これ使えるな!!』

そう、長さが3m強のため相手とはその距離の間合いが取れることになるのだ。そして、絡めれば相手の動きを止めることができ引き寄せて剣で突けるわけだ。


そして、武器屋が簡易アーマーを持って戻ってきた。

試着をしてみると、これもまた何故かスタンのために作られたが如くしっくりときた。鏡に映して見たが自分で見てもそれなりに決まっているように思えた。

「お客さん、これお似合いですよ!まるでオーダーメイドのようですな。」

確かのそのように見えた。

マットブラックのアーマーで余計な意匠は全くないシンプルな構造であった。そもそも黒っぽい服を着ているのでそれを着用すると最初からコーディネートされているかの如くに見えるのだ。

「これ、いいですね!! 気に入りましたよ! それとこれ!」と鞭を見せた。


「その長鞭ですか! なかなか鞭をご所望される冒険者はいないので眠っていた代物ですが、使い方によっては役に立ちますよ。特にお客さんのようなタイプであれば有効活用できるでしょうな。素材はなんとミスリルなんですよ!ミスリルの糸で編んであるのです。」

「えっ、不思議な素材だと思ったんですが、これミスリルなんですか!? それってタッカイですよね??」


「・・・まあ、そうですね。合わせて600ギルダーになりますね。」

「600ですか・・・あいにく全ての所持金で400しかないんです・・・」

「そのアーマー自体は400なんですが、ミスリルなんでね〜・・・」と武器屋は腕組みして考え込んでいるようである。

「ただ、その鞭はこれからも誰も必要としないと思いますんで、ここで眠らせておいても・・・わかった!

お客さん、これはどうでしょう? 200をツケにいたしましょう。冒険者ギルド扱いで。」

「それは可能ですか? では、そうしていただけると助かります。」

と交渉はまとまり、スタンはツケで護身用長鞭もゲットすることができたのだった。

そして『これは絶対今後役に立つ!』と固く信じているようである。


スタンはアーマーをそのまま着用し、双剣を背中に刺して、左腰に鞭を繋ぎ店を出た。

そういえば、スタンの容貌を説明していなかったが見え方が固まった今説明しておきたいと思う。


彼は今18歳を過ぎたところである。ここでは成人なのだ。中肉中背で修道院では力仕事が多かったためいわゆる細マッチョの体型を保っている。何故かこの世界では珍しいパープルがかった黒髪を耳がかぶさる程度で揃えている。瞳もブラック、服も修道院での配給を着ているためブラックであった。スモック風のシャツブラウスに細身のパンツを履き黒い頑丈なブーツを履いておりオールブラックの出立ちなのだ。


そこにブラックのアーマーが要所を覆いさらに精悍な出立ちに変身したのであった。

このタイプは好みが分かれるだろうが、好きな女性はとことん好きなタイプであるとも言えよう。

エルザもその1人であった。




ブックマークお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ