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ストレンジアトラクター『いざ魔法世界へ!』  作者: 三海怜


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4/9

第4話

魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。

そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。


この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・

カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。

つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。


そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ

彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。


また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!

訓練用の木刀での模擬戦である。

その衛兵は筋骨隆々な大男で早速道場の真ん中に立ちはだかった。男爵と令嬢が道場の脇の席に座って指示すると、クラウスが審判となり2名を立ち位置に立たせた。

「用意はいいか?これから模擬戦を始める。勝敗は一本入るまでだ。俺がやめ!と言ったらやめてもらう。」

というと、2人の剣技が始まった。


衛兵は通常のロングソード両手剣での型であるが、スタンは双剣を持っているものの、双剣での戦いの経験は積んでいないかったためこれまでの片手剣でのスタイルである。

まずはロングソードを両手で握り締めた衛兵から右から左からの頭上攻撃があり、スタンは片手剣でそれを機敏に受け止めた。そして、さらに衛兵は大股で踏み込み胴の位置で右側から剣を回して一撃を振った。通常ならば強力な一撃のためそれが相手の胴に入り「一本!」となっていたのであろうが、スタンはそれを片手剣を左回しにして受けて流すと、その剣を右側上方向から中心へと回しながら突進して行っただった。片手剣はロングソードに対して威力は半減するのだが、俊敏に動ける分フットワークが軽いスタンにとっては良き相棒なのだ。


「一本!!」クラウスの審判があった。

見事、スタンの木刀は衛兵の胸下に入る寸前で止まっていたのだった。

衛兵は、「恐れ入りました! さすがB級冒険者!」と称えていた。


「いかがでしょうか?」とクラウスは男爵に聞いた。

すると、今度は、「次に私がお手合わせ願いたいと思います。」と令嬢が言ったのだった。

不思議と男爵は止めようともしなかった。

もちろん男爵が止めるだろうと踏んでいたスタンは驚いた表情を浮かべている。

そして、フリーダは木槍を持つと立ち位置に立った。

今度はスタンも槍に対応できるように盾がわりとなる双剣を用意したのだ。


「では、はじめ!!」とクラウスが号令を掛けた。

2人は睨み合い、まずはフリーダが槍を回したのであるが見事な槍捌きである。

スタンにも『こんな令嬢が?』と驚いている表情が窺えた。

するとフリーダは槍を回しながらスタンに攻め込んでいる。それをスタンは左手で捌きながら間を取っていた。

そして、フリーダはスタンの動きを観察しながら間髪を入れずに果敢に攻め込んできたのだった。

スタンは、それを双剣で捌きながら今度は間を詰めて行っているようだ。

決めようとフリーダが踏み込んだ素早い一突きがスタンの正面に入ってきたのであるが、スタンはそれを機敏に上体をづらし左腕の剣で槍を捕え左上に捌くと、同時に右腕の剣で俊敏に突いたのだった。


「一本!!」

「恐れ入りました!」とフリーダが叫んだ。

「これで確認できました! 是非ともスタン様に私の護衛をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか?」

「はっ はい、もちろんです!!」


スタンは実際のところ、彼女の槍の舞が美しく半ば見惚れていたのだった。

すると、今度は父親の威厳を見せたいのか、「では、スタン君!君に今回の娘の王都行きの護衛をお願いするようにしたいと思う。歳は同じようなものであろうが、あくまでも主人と護衛という立場を忘れずに役目を果たして頂きたい。出発は明後日となるが宜しく頼む。」という命令口調の言葉を発し解散となった。


宿までの道すがら、ギルドマスターが言った。

「いや、ご苦労ご苦労!こんな模擬戦があるとは思わなかったが、まあ、仕事が決まってよかったな!この護衛は今回卒なくこなせば、ご令嬢が王立魔法科学院大学に入学するにあたって継続できる仕事になるかもしれない。何があるかわからない世の中なんで気を引きしめて護衛にあたってくれ。」

「わかりました。特別な計らい有難うございます。しかし、あの令嬢ですが、槍捌きは良かったですよ!でも、メインは魔法なんですか?」

「そうだ、フリーダ嬢は負けず嫌いの性格ゆえ、今回もどうなるか?と思っていたのだが、すんなりスタン君を受け入れてくれて驚いているぐらいだよ。君の剣の腕が素晴らしいと理解できたのであろうか?」


「まあ、それは良かったです。それとエルザさんが言ってたんですが、この仕事が継続できれば、俺も令嬢の護衛として一緒に大学で学べるとか!?」

「ああ、そうなんだ。貴族社会のしきたりというのか、必ず従者がつくことになっているんだよ。男爵家は、今回訪問して分かっただろうが、あまりはぶりが良いとは言えないからな。君のギャラであれば安く見積もれるんだろうな。」

「なるほど、足元を見られているような気もしますが、俺は住むところがあって、食べられて、剣術やこれから必要になる魔法が学べれば、給金はさほど必要ではないんだと思います。」

「そうだろう。先方もそう思っているんだと思うぜ。まあ、その時の給金の交渉は君次第ではあるが、まあ、最初の仕事をうまくこなしてくれ!」

ということで別れたのだった。


すでに真夜中になろうとしている時刻に宿屋に着くとあの食堂の喧騒はまるで嘘のように静まり返って真っ暗な空間になっていた。

スタンは物音を立てないように、忍足で階段を上がり自分の部屋に入りそっとドアを閉めた。

すると暗い部屋は月明かりに照らされており、ベッドの上に誰かがいるシルエットが浮かんだのだった。

スタンは一瞬驚き、背中の剣に手を伸ばして「誰だ?」と聞いた。


「あら、スタンさん!? うまく行きましたか?」という知っている声がした。

「えっ、エルザさん? エルザさんなんですか??」

「わかりました?? このお仕事が決まってしまうと、もうあまりスタンさんとはお会いできないと思いまして、勝手ながら今夜は一緒に過ごしたいと思ったのです。よろしいでしょうか?」と小声で言ってきたのだった。


「えっ・・・」スタンは言葉に詰まってしまった。

しばらく無言となり、「エルザさん、有難うございます。お陰様でクエストは決まりました。明後日出発になります。」

「やっぱりそうですか!おめでとうございます! じゃ今夜はそのお礼として私と一緒に過ごしてもらってもいいですね?」

「えっ… わかりました。有難うございます。」

と言って、まずは装備を置いて着替えたのだった。


エルザはベッドに座ったままでスタンが着替える姿をじっと眺めていた。

「スタンさんって・・・実は私が以前愛した人に瓜二つなんです。最初ギルドでお見かけした時はあの人が戻ってきたのか!?と思ったぐらいです。」

「えっ・・・」









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