第19話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
「なんだ!?全滅したのか??」
ラグナル・ローブロックは宇宙船の司令室で怒鳴っていた。
ラグナルはロボット部隊をブリンデンブルク王国に送った宇宙海賊船の艦長であり王なのだ。
よってキング・ラグナルと呼ばれている。
そして副官のロベールことロロは、ラグナルの幼い頃からの親友でありラグナルの良き理解者なのだ。
この2人は生涯切っても切れない兄弟のような間柄である。
ラグナルとロロを中心とした宇宙海賊達は宇宙世紀の母艦1隻のみを与えられ元世界から民族ごと追放されたのであった。この民族はそもそも我々の未来社会でいわゆる海賊行為で問題視されていた民族でもあった。ただ、母艦1隻と言っても再生可能なエネルギーを循環させるエンジンを搭載し艦内工場も備えているため、ある意味1つの都市に匹敵する生活環境が備わっているのだ。そして宇宙海賊達の人口は今では3000人を超えていた。
実は、彼らは本編である『光と陰ー織りなす夢の形』に登場するジュリア達の未来社会の国賊として宇宙域へそれも異世界へ追放されてしまったのだった。元世界に戻る道を断たれた宇宙海賊達は新天地を求めて彷徨っていたところ、この世界の地球なのか?はたまた地球に似た惑星なのかを見つけ出したのであった。
ラグナルはまず偵察隊をその惑星に送った。そして戻ってきたヴィジュアル映像をリサーチしている時に運命と出会ってしまったのだ。
「俺のプリンセスはいたか??」とラグナルは作戦士官に聞いた。
「はい、キング!おりました。馬に乗ってBSと戦う姿を目撃しております。」
「そうか!待ってろよ!!」とニヤけた顔になっている。
この宇宙海賊船ブラックオーディンは、今や収容人数を超えた人口を抱える状況となってきてしまっていた。
そのため、地球に似た、もしくは人類が生存できる環境の惑星を探していたのである。
先遣隊によると空気も水も重力もありほとんどの元素及び環境は地球にそっくりな惑星を発見したのであるが、リサーチデータによると魔素といわゆる一種の特殊エネルギー源が存在し魔法と言われる不思議なパワーが生物間で使用されていることがわかったのである。
強欲なラグナルとしては今まで御伽話の世界だと思っていた魔法の元である魔素がある世界を手に入れたかったのだ。
「魔素が豊富にある環境で生活すると、魔法が使えるようになるのか?」
「じゅあ、その星ごとそっくり頂こうぜ!! なあ、ロロ!!」
「まあな、あそこだったら植民地として俺たちが生活できる環境だからな!それにもうこれの以上の人間はこの船には住めないぜ!流石にキャパオーバーだよ。」
「それに探査隊が持ち帰った映像に俺のプリンセスがいたんだわな〜!! 俺好みのベッピンさんだぜ!あの女を手に入れねえと海賊王の名が廃るってもんだろ!?」
そう、ラグナルはあのアデリナ王女にゾッコンなのだ。
彼はブリンデンブルク王国を乗っ取って王となり、アデリナを王女にしたいと密かに思っているのだった。
まさに宇宙海賊!ぶんどれるものはぶんどるぜ!!である。
この海賊船の戦力としては、先ほど戦闘に使われた無人ドローンと無人ロボット、有人のWAS、BSをメインに音速機ソニックスピードジェットという輸送船に陸上有人兵器ジャイロジェットスパイダーを多数保有していた。
(WAS,BSとは? 本編:光と陰-織りなす夢の形 にて詳しく説明 前者は着ぐるみのようなロボットスーツであり、後者は人が乗って操縦するロボットである)
では、またブリンデンブルクの王都に戻ってみよう。
魔法科学院大学は先の襲撃を持って防衛大学と化していた。
教授陣の他にも軍部の下士官も常駐し、実戦による訓練が授業内で繰り広げられていたのだった。
そしてアデリナ王女は3年生になったため、大学生徒会長という立場となり学生達の頂点に立っていた。
軍部からの指示は全てアデリナを経由して学生達に降りているため、各クラスのクラス委員がアデリナの副官となっているのだ。もちろんスタン達がいるクラスのクラス委員はアルベルトだ。
「あいつらはやっぱり宇宙から来たらしい。奴らのロボットの残骸を錬金術師らが解析したところ、我々が知り得なかった物凄いレベルの技術や知識を得られることになったみたいだな。これで我が国の科学レベルが飛躍的に進歩して、今様々な化学兵器の開発がされているらしい。しかし、皮肉だな・・・あんな戦争が我々に進歩をもたらすなんてな・・・」
「なるほど。 しかしどんな化学兵器が開発されているんだ?」とスタンが興味津々のようだ。
「そうだな、まずは、奴らには色々なロボットや、ロボットを輸送する巨大なものがあるだろうと推定しているらしく、そういった我々からすると巨大な対象物に対して攻撃ができる兵器も開発しているようだな。」
今では、クラス内のパーティー単位で有事の際には出動することになったため、全ての訓練はパーティー単位でこなし、そのパーティーをまとめているのが生徒会長のアデリナなのだ。そして前回の対戦で戦功をあげたスタンとフリーダの連携プレーに対してアデリナは興味を持ったようであり、クラスを超えた特別枠でスタンとフリーダも参加することになったのだった。
「支援と強化魔法をベースにした強力な武器での攻撃に今回軍配が上がったと思うのです。あなたの剣は魔剣だと聞きますが、どの程度の魔力攻撃力があるのか研究させてほしいのです。」とアデリナ姫より協力依頼があったのだった。
「はい、わかりました。剣を調べてもらうのは全く問題はありませんが、ただあの力を出せるのはそれを使う者の魔力と連動しています。また魔剣はレアな存在なので量産は不可能だとは思います。」とスタンが言うと、
「そうですね、それはわかっています。ただあなたの魔力と魔剣のセットでどのぐらいの破壊力があるのか?を調べたいのです。それを人為的に作ることができれば、あの巨大なロボット達に複数で立ち向かえることになるでしょう!?」
「それに、姫、私は赤魔道士ですが、あの時使用した魔法は白魔道士でも制御できる魔法ですので、白魔道師を育てるのは必須だと思います。」とフリーダが付け足した。
「あら、あなた方はもう同志なんだから、姫はつけなくていいわよ!ここは王宮ではないしね。そうね、白魔道師の育成も急務ですね! とにかくあなた方に入っていただいたのはこの国をあいつらから守るってことですから、これからは色々と参考意見を聞かせてくださいね!」
という流れで、2人は生徒会に協力することになったのだった。そして現在スタンの魔剣は錬金術師によって研究されているのだ。
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