第18話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
全てを把握している運営責任者のゲルハルト教授は、咄嗟にその状況を理解したようである。
「敵襲だ!!敵襲だ!! これは訓練ではない!大会を中止し敵の攻撃に備えろ!」と全体放送で危機を伝えたのだった。
「何?敵襲だと??」
「あれはなんだ?」
上空には、結界であるシールドを破った飛行ドローンが10機飛行しているのが確認できる。
「あれはドローンと言われる遠隔操作ができる攻撃飛行物体だ! アーチャー及び黒魔導士達よ撃墜せよ!」と
ゲルハルト教授はまるで戦線の指揮官のように念話で学生全員に指示を出した。
すぐに支援魔法で強化されたアーチャー達のアロー攻撃が一斉に始まったのだった。
すると偵察を兼ねていたであろうドローン10機はあっという間に撃ち落とされてしまった。
「やったぜー!!」と学生達の歓声が沸き起こった。
すると、今度は大型のロボット形状の飛行隊が飛来したかと思うと、垂直に下降し始めていた。
またもやアーチャー達と黒魔法師達の火炎攻撃を受けたが、ほとんど損傷がなく王家の谷の底に降り立ってしまったのだ。
「あれは、ゴーレムのようなロボットと言われる物体だ。装甲が厚いから動きを封じてからトドメを刺せ!」との指令があった。
さほど動きが素早くないロボット5体に向けて、今度は騎馬隊が脚部を狙った攻撃を仕掛けている。膝関節部分を集中的に攻撃しているようだ。それを援護するかのように黒魔導師達の火炎魔法がロボット目掛けて発しられている。
ロボットは両手に装備しているレーザーガンを発射しながら学生達を抹殺しようとしているのだが、白魔導師達が防御魔法でシールドを張って防いでいるのであった。
そこに戦線を指示していたゲルハルトがゴーレム用の武具を持って乗馬姿で現れた。
鉤爪がついた頑丈なロープのようだ。
それを彼は振り回しながら、ロボットの脚部目掛けて投げつけると、そのロープが足を捉えてグルグル巻きとなりロボットの足の動きが止まったのだった。
そして、そのロボットの背後から今度は、魔法科のケレブリン教授が、物凄い破壊力の爆炎魔法を放った。
その威力でロボットはバランスを崩し前方向へと倒れ込んだのだ。自由が効かなくなったロボットの上に重装兵達が上がり魔法で強化された槍や銛を打ち込んでいる。ついにロボットの厚い装甲が破られ内部の機械部分に亀裂が入り全身がショートしたのだった。
「その破損場所から水魔法を打ち込め! そしてその後にそれを氷にしろ!!」と指令があった。
黒魔道士達は指示された通りに水魔法でロボット内部を満たし一気に氷化させたのだった。
すると水が膨張し内部から爆発するかの如く幾つものパーツに分かれ爆裂したのだった。
「よーし!よくやった!! この方法であとの4体も倒してくれ!!」と叫ぶと、今度は騎馬隊がゲルハルトと同じ要領にてロボットの足を飛び道具で拘束し、集結した黒魔導師達が爆炎魔法を発し、そして2体は同様に破壊されて行ったのであった。
残りあと2体である。
その2体は学習したのか?なかなか脚部への絡め手が効かなくなっていた。そこでスタンが1人前に出て1体を煽っているではないか!? するとそのロボットはスタン目掛けてレーザーを放ってきた。それを彼は避けながらロボットへ向かって走り寄り、身につけていた長鞭をここぞとばかり敵のレーザーガンに絡めると射撃を牽制した。そして支援魔法でパワーアップされた右手の剣先の火魔剣を大きく振り上げてロボットの右足に向けて斬撃を振いながら自身もアクセレートを発しながら瞬時に移動したかと思うと片足を切断したのだった。
スタンの長鞭が功を奏した展開となった。
ロボットは片足を失いバランスが取れずに巨体が倒れてうつ伏せ状態となった。そこに今度はダミアンが胴体部分に乗り上がり強化されたアックスを打ち込んだ。こういう極限状態においては影の使い魔のパワーが主人の能力を押し上げるのだ。そうしてできた亀裂に向けてフリーダが水魔法で満たし瞬時に凍結させることによりその個体も爆裂しバラバラに崩れた。
残り1体も同様なチームブレーで仕留めたのであった。
これにて突発的に現れた学生達を狙った攻撃は防がれたのである。
大会は延期となり、ロボット5体の機能停止を確認すると全員学院大学に帰校した。
予期せぬ機械軍の襲撃に臨時対策会議が教授会にて開かれ、そこには学生達数名も参加することになったのだ。
学生メンバーは、スタンのパーティーと騎馬隊を率いたアデリナ王女であった。
学長が、「これから臨時教授会を開催する。学生メンバーも同席しているので、この会議を持って連動できるような具体的な対策を講じるようにしたい。まずは、ゲルハルト教授、見解を聞かせてもらいたい。」と始まった。
「あれは異世界から投入されたロボット隊だと思われます。この王国外では今回最初に現れたドローンの出現は確認されてはいましたが、我が国土で確認できたのは今回が初めてであります。」とまずはゲルハルトが状況説明をした。
「ということは、あのゴーレムのようなロボットは初めてのことなのか?」
「はい、いかにも!」
すると魔法科学科長が「破壊されたロボットと言われる物体の破片を只今分析中であります。」と現状報告をした。すると、剣術科学科長が「今回はゲルハルト教授の奇策で破壊ができたものの、これからまたどんな機械兵器が現れてくるのか? 学園全体に強力な防御結界を張らなければなりませんな!」とゲルハルトを労いながら剣術科の優位性をアピールし今後の防御の課題を魔法科に振ったのだった。
すると王家の谷の結界が破られた負い目を感じている魔法科学科長は、「今後は今張られている通常の結界の上に物理攻撃を無効化する強化魔法をかけあのような襲撃に遭わないように致します。」と弁明した。
「教授会に出席頂いた学生諸君、君たちの功労には感謝している。まず、アデリナ王女、騎馬隊を率いて頂き素晴らしいご活躍であった。それにスタン君、ダミアン君そして強化・支援して頂いたパーティーメンバーの学生諸君も素晴らしい活躍であった。それにより学生達が被害を受けずに済んだのだ。今回の経験を元に学生会にて有事の際の対応策を講じて頂きたい。学生の被害者を出すことは断じてあってはならない!教授陣と連携して直ちに進めてほしい。」
と学長よりお言葉あった。




