第12話
魔法世界に冒険者として生きる孤児であり主人公スタンリー・ケンプ。
そこに生きる人々の様々な些細な行動がまるでバタフライ・イフェクトのように世界を変えていく。
この物語のテーマとなる『ストレンジアトラクター』とは、難しくいうと・・・
カオス理論の研究の中で発見された奇妙な挙動を示す微分方程式の状態の総称のこと。
つまり動的システムが時間とともに発展する際に、予測不可能 で複雑なパターンを形成する現象を指すのです。
そんな泡沫の世界で生きるスタンリー・ケンプ
彼の目を通してその冒険譚を進めていきたいと思います。
また本編である『光と陰ー織りなす夢の形』のスピン・オフとして、本編シーズン4の最後と繋がる物語となりますのでお楽しみに!
2人が乗った馬車はまた同じような山道に入って行ったが今度は下り坂であった。
「ここからは下りだから、俺たち半分はクリアしたのかな?」
「しかし、レーゲンブルクの人達は一体どうやって王都に行くんだ?? この道だけしかないわけ??」
「あとは船ね・・・」
「船があるのか? じゃなんで船で行かなかったの?」
「えっ お金が倍かかるし・・・それと私、船がダメなのよ・・・」
「えっ そう言うこと!!?」とスタンは驚いて呆れている。
「だって、こんな命の危険に晒されるなら船酔いしたほうがマシじゃないの?」
「だから、あなたを雇ったんでしょ!!」
「まあね、それは言えるな!君が船で行ったら俺は仕事がなかったわけだしね。まあ、それが運命だったってことなのか!?」
「今の所そう思っていていいんじゃない!?」
2人は最後の峠を越えると、開けた丘陵地の先に大きな町が見えてきた。
「あっ あれが王都か!!?」とスタンが感激して叫んだ。
ホロを開けて、フリーダも顔を出し、「そうよ!! よかった!やっと着いたわね!今夜は無事到着したお祝いしましょうよ!」と興奮状態である。
そして緑の丘陵地を越えると重厚な石造りの城壁で守られた大きな城門が見えてきた。
その城門には立派な王国軍の甲冑に身を包んだ衛兵が4人槍を持って立っていた。
スタンが馬車の上から通行証と身分証明書をその衛兵に見せて馬車内の確認が終わると、
「ようこそ王都へ!この道をまっすぐ進んでください!」と言われ重い門が開いた。
そして門の先にはまっすぐに尖った杉が街路樹として並ぶ一本道があり、その先のサークルの真ん中には馬に乗った王の銅像が聳えていた。広い工場街らしき一区画を過ぎて行き、
銅像が見えてからもさらに進んでいくと、道の両側には色とりどりの店が立ち並び始めた。
「やっぱり王都はすごいわね! この先は両側ずっと店が並んでいるわよ!!」とフリーダが感激している。
そして、道を行き交う様々な服装をした人々も増え露店も並び賑わっているのだ。
「やっぱり王都のファッションは違うわね〜 垢抜けていいわね!スタンはどう思う?」
「俺はファッションはよくわからないけど、小綺麗な人が多いな。俺たちはどこまでいくんだ?」
「そうね!まずは宿に行かないとね! そしたらこの馬車を返しましょう!」
「わかった!」
ついに2人は王都ブリンデンブルクに到着したのだった。
馬車は街の繁華街の旅籠屋が並ぶ道に差し掛かった。
「えーっと 24ー49ね! この先じゃないかしら!?」とエリーゼもホロから顔をだし興奮気味で宿屋を探しているのだ。そして、ついに旅の終着点に到着したのだった。
2人は部屋に泊まり、翌朝を迎えた。
「今日は私の面接日だから、あなたは午前中一杯は自由の身よ!」
「護衛はいいのかい?」
「ここは安全だから大丈夫!」と言って正装をして意気揚々と学長との面接に向かって行ったのだった。
『ひとりね〜 なんか久々に思い出したな。1人だけの気分を。じゃ、これからどうするとしようか?
昨日見たマーケットでも行ってみるか!』
『しっかし、フリーダも美人さんではあるが、やっぱり都の女性って雰囲気だけでも綺麗に見えるな。』と思いながら、若い女性を目で追っているスタンがいた。
そんな風にあてもなくプラプラしていると、白いマントに身を包んだ女性がスタンの肩を叩いた。
「お主、お一人か?」
スタンは振り返り、その女を見えると「ああ」とだけ答えた。
その女は今までスタンが見たこともないようなどことなく変わった細長いバランスの容姿をしていたのだった。
『どこが違うんだろう?』と思いながら彼女の顔に見入っている。
『しかし、作りもののような綺麗な顔と容姿をしているな。いったいいくつぐらいなんだろう??』
「少しいいか?お主の剣から唯ならぬ魔力が溢れているのだが・・・よければ見せてもらってもいいだろうか?」
スタンは、その女の申し出に少し驚いたのだが、まあ、見せて何かわかれば今後の役にも立つだろうと思い了承した。
「では、ここだと目立つので、あのお茶屋に入ろう!」と言うとスタンを誘導した。
そこは薬草をお茶にした広々としたティールームであり、この女性は馴染みのような雰囲気で他の客はいなかった。
2人は奥のテーブルに座るとミントティーを頼んだ。
「ここは私の行きつけで体にいいハーブティーのティールームなのだ。 ミントティーはお腹にもいいし殺菌効果もあるぞ。」
「さて、では、いいかな?」
「おっ わかった。でも、なんで魔力があることがわかったんだ?」
「まあ、私は特殊でな」と言うと被っていたフッドを脱いだ。
そのまるで作り物のような顔の耳が尖っているのだ。
「えっ、あなたはエルフなのか?」と驚き、『なるほど!だから何処か違った雰囲気があったのか!』
とスタンは生まれて初めてエルフというものを見たのだった。
「そうだ、この王都でさえあまり見ないと思うぞ。エルフは魔力を感知できるのだよ。」
「なるほど、エルフにはもちろん初めて会うが、なんか惹かれるものがあるな・・・」とボソッと言いながら、
「はい、これ!」と言い2本の魔剣を差し出した。
「かたじけない!」と言うと、まずは赤の魔剣を抜いて掲げて見ている。
そして、次に青の魔剣を同じように食いいるように見てから、
「これはすごいぞ! ものすごぐ魔力を湛えた剣だな。」
「なんとなく、そうは思っていたんだが・・・」
「お主、この剣をどこで入手した?」
「これは込み入った話になるんだが・・・その前に、身の上話をするほど俺はあなたを信じていいのか?」
「大丈夫だ!としか言えないな だから今は信じてもらうしかないな。」
スタンにとっても、危ない奴の匂いはしていないため、何かこの剣にまつわることがわかるのであれば是非聞いてみたいという欲望の方が勝り信じることにしてみたのだった。
「わかった。では、話そう。俺は以前B級冒険者のパーティーリーダーだったんだ。それで仲間とあるダンジョンに入ったんだが、ラスボスを倒す時に想定外のレッドドラゴンが出てきて、俺のパーティは全滅してしまったんだ・・・」
「では、なんでお主が生きておるんだ?」
「それが、俺が重傷を負って気絶している間に、何者かに助けられたようで、気がついたら見知らぬ深い森の山小屋にいたんだ。しかも、かなり負傷していたはずなのだが起きたらほぼ治っていたんだよ。不思議な話だろう?」
「なるほど・・・で、剣は?」
「そして、誰もいない山小屋にロマン文字のMの紋章がある下にこの2本の剣が置いてあったのさ。」
「ロマン文字だって、古代文字の?」
「そうだ!」
「やはり、そうだったか!? それなら心当たりがあるぞ!」
「えっ??」




